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いえのレコードを聴きなおす

音楽やオーディオなどです。ステージ4の癌になりました。

 

直近の個人的なブームは島木健作なので、音楽のこと以外も書くことにしましょう。

 

 

2023年の5月に食道癌のステージ4Aと診断されまして、「治療はしますが、効果がなければ新しい年は見られません。」と言われて、終活をしてくださいと言われたときに、私が正直に感じたことは、ホント言うともっと軽いと考えてたので、そうなんだ、死ぬんだ、と思ってショックもあったけど、本音としては終活って何すればいいのかな、ということでした。

 

そう言われて、最初に、一年前に離婚した元妻に電話をしたのは、住宅ローンが残っている自宅マンションのこと。私が死んだら保険でローンが完済されるので、自分がいなくなっても彼女が住むところはあるようにと思って移り住んだのですが、当時は都心に勤務していて、駅の地下道なんかにいつも同じ女性のホームレスがいたり、結婚した以上は自分がいなくなってから自分の家族がどうなるのか責任があるだろうという気持ちがありましたので、そんな意図は話したことはありませんし、何なら性急に購入を決めてしまったことでちょっと意見の相違があったりもしたのですが、結果として今の自宅に引っ越してきた。でも離婚したことによって、私が死んでも彼女が所有することにはなりませんから、そのことで相談したかった。できれば私がいなくなったあとに住んで欲しかったと思ったのです。でも、電話には出ませんでした。仕方ない、まあ、いいや。

 

次に考えたのは、自宅にある、まだ読んでない本のことでした。残りの時間が半年なら、まだ読んでない本をどこまで読めるのだろう、優先順位をつけて読んでいかなければ、むしろ持ってないあれとかそれとか、残された時間で読みたい本を入手しておきたい気持ちも浮かんできて、何とも言えない感じに。終活ってそんなの?なんだか遠足前の子供みたいになって、最初の入院から帰って来た時には、本とかあれこれ買い集めた。そこで感じたのは、まだ読んでない本があるうちは死ねないかな、ということ。それなら遠慮なく本を買いましょう。元々私はレコードと本ばかり買う人なのです。

 

ということで、死なないためには読んでない本をどんどん増やすこと。最近にわかにハマったのはなぜか島木健作で、なぜだかわからないけど、これまでの人生ではほぼあり得なかったことなのですが、どうしても今は島木健作みたいです。レコードと一緒で、できるだけオリジナル版的なものを入手するのですけど、途中から、未完で放置された「冬の旅」なんかは全集でしか読めないとわかって、一気に全集を買ってしまいました。全部揃っているのは高いので、半端なやつを買って、抜けているものを別に買い足して揃えるという、何だか手慣れた感じで。

 

「生活の探求」など、確かに面白くて一気に読んでしまいますが、最終的には死を前にした最晩年の「赤蛙」とか「黒猫」とかが、みんな好きなのでしょうし、私もそう思います。何ならちょっと近い位置に私もいるかもしれないわけですから。

 

コレクション的に、持ってない当時の単行本を買ってしまうのは、これからもあるかもしれませんけど、全集でいつでも読めるという心の安らぎを得たという安心感ですね。ただ、本棚を増やす場所がなくて、置き場所にずっと試行錯誤しています。きっと私が人知れず亡くなって発見された折りには、多数の本とレコードに埋もれていることでしょう。