HENRYK SZERYNG / BRAHMS:VIOLIN CONCERTO | いえのレコードを聴きなおす

いえのレコードを聴きなおす

音楽やオーディオなどです。ステージ4の癌になりました。

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癌細胞って10年から20年くらいかけて大きくなっていくわけですから、昨年私の体から切り取られた癌細胞は13年前の震災のときにすでに私の体の中にあったはず。あの日は仕事だったけど、体調悪くて早退したのですが、帰って来て少し横になろうとしたらカタカタ揺れ始めて、わけわからずにレコード棚を押さえてた。あれから12年かけて癌細胞も育っていったのでしょうね。

 

でも、なんかそんなに時間がたった気がしない。相変わらず同じ棚からレコード出して聴いてるし、たぶんこのシェリングのブラームスの国内盤だって、当時から棚にあったはず。そこから今まで経験したと思っているあれこれって、はたして本当に起こったことなのかしら?仕事も変わったし、病気にもなったわけですけど、本当に起こったことだって証明できるかと言われるとよくわからなくなる。ただ、近所に内視鏡の専門医がいるということは当時から知っていて、なんかあったらそこに行くって無意識に決めていた。

 

証明できないけど、このレコードを聴きなおしたのも、たぶんあの震災以降では今日が初めてなはず。昔はよくシェリング聴いてたな。これは国内盤だから今でもかなり安く売ってるでしょ?でも意外に音がいいんですね。昔は国内盤はなんだかこもった音でいやだなって思ってたけど、今の環境で聴くとちゃんと鳴るから、これはこれでいいやって感じます。

 

私の食道でかなり大きくなっていた癌細胞を取ったらですね、なんだか色々と鈍っていた感覚が戻ってきた気がするんです。食べ物の味にも敏感になったから、これまで美味いと思ってたレトルトのカレーに、なんだかカレーじゃない味が混じっている気がしてね、結局みんな自分で作らないといけなくなっちゃったし。もちろん証明できませんけどね。いいさ、自分で食べるものくらい自分で作るさ。

 

外の光はまるで昔はじめてコンタクトレンズを入れた時のようにまぶしい気がするし、自宅のオーディオだってテレビだって以前と違って聴こえる。今日はちょうどあの日の揺れ始めた時間の少し前くらいに、頼んでたテレビの出張修理の方が来たんだけど、中の基盤見たら最近のテレビよりもずっと美しかった。

 

なんだかマルホランド・ドライブみたいな気分です。

 

ひょっとしてシェリングの国内盤がいい音に聴こえるのもそれなのかしら?