ストレスは、心の動きと密接に関係しているということは、認知のゆがみから生じるマイナスの感情がストレスを増大させることからもわかるでしょう。
前回までは、「心」を中心にストレスを考えてみました。
今回は、脳の働きからストレスを考えてみましょう。
心はどこにあるんだろう?
そう、疑問に思うことはありませんか?
心臓だという人もいれば、脳だという人もいる。女性の場合は子宮だという人も。
私は、心は脳にあると思っています。 「脳内の伝達物質が感情の源になる」
人間が生きているという状態は、脳の働きが正常であるということの反映です。
「生きる」を大きく3つに分けると、
①ただ、生きている=生存している状態
これは、脳の中でも、脳幹・脊髄が機能している状態です。
脳幹は、生命活動の中枢であり、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、消化したりという生存するために必要な自律神経と呼ばれる神経の中枢です。
意識がなくても、生きている、いわゆる植物状態と言われる状態は、脳幹が機能している状態です。
②たくましく生きる
これは、古い脳と言われる大脳辺縁系の働きによります。人間の本能と密接に関係しています。
③よりよく生きる
人間の人間たるゆえん、最高の司令部である大脳新皮質に支配されます。
喜び・悲しみ・嫉妬などの感情が生まれる場所であり、退屈だと感じるのも大脳新皮質にある前頭連合野の働きによります。
もう少し、ストレスと関連性のある脳を見ていきましょう。
大脳は、機能的に3つの構造(新皮質・旧皮質・古皮質)に分けられます。
新皮質は、人間の本質である「創造する」ことと強く関係しています。精神活動を支配しており、人間が人間らしくあるために発達してきた脳です。
旧皮質・古皮質は、大脳辺縁系と呼ばれ、海場と呼ばれる本能・情動のシンプルな感情(快・不快など)が生まれ、記憶・学習の中枢でる海馬があります。
また、大脳辺縁系には、視床下部と呼ばれる組織も含まれており、ここは、自律神経の調整やホルモン分泌の調整を司どる中枢です。視床下部の外側には摂食中枢・内側には満腹中枢と言われる摂食中枢があります。
この、大脳辺縁系は、大脳新皮質からの情動面での抑制を受けており、本能が理性に勝つという状態で人間の生活は営まれています。
では、ストレスと密接に関係する要求は脳のどの部分で生まれるのでしょう。
こうしたい、こうありたい、という強い要求=自己イメージと現実とのギャップがストレスを生むというお話を以前しましたね。強い要求がなければストレスを感じないとも言えます。
人間の要求が生まれる場所は3つあります。
それは、
①呼吸する・休憩する・睡眠をとる。排泄するなどの生きるために必要な要求が生まれる 「脳幹」
②闘争・逃走の欲や人間の3大欲が=食欲・性欲・集団欲が生まれる 「大脳辺縁系」
③精神活動を営む「大脳新皮質」
前頭連合野と言われる領域では、高度な判断が行われ、感情のコントロールや判断・予測・計画立案などが行われます。
この、前頭連合野は、連続するストレスに非常に弱く、強いストレスにさらされ続けると、大脳辺縁系の機能への抑制をかけてしまします。(感情の抑制は社会活動に有益ですが、機能の抑制は様々な心身トラブルの原因となります)
前回お話しした「認知のゆがみ」もこの前頭連合野での誤った判断であるとも言えるでしょう。
大脳辺縁系に含まれる、視床下部は自律神経やホルモンバランスを調整する中枢ですので、この機能が乱れることで、体の反応へと繋がっていくのです。また、ダイエットと深く関わる摂食中枢も、視床下部の内外に存在するため、ストレスにより大きな影響を受けます。
また、ストレス過多の状態が続くと、交感神経が活性化され分泌されるホルモン=副腎皮質ホルモンにより、大脳辺縁系の一部である海馬が委縮することが分かっています。
ここは、記憶と学習の中枢。
ストレスは、目に見える体の影響だけではなくて、記憶力や学習能力の低下にもつながりうるのです。
ストレスは生きている限りなくなならないため、上手く付き合っていくしかありません。
この、大脳辺縁系の機能への影響が起こらないように、断続するストレスに上手く間を作り、体のコントロールをすることがストレスと友達になる一歩であると言えます。