会いたい時は、会うべきとき | 席亭こう生の落語的な日々

席亭こう生の落語的な日々

子供の頃からの落語好きが高じて、

いつの間にか落語会を主催する事に.....

全くの素人だった私がいかにいして

落語会を企画、運営しているのか

席亭こう生の落語的な日々...

一昨日の深夜、電話がかかってきた

「M先生が亡くなった......お通夜は9日の........」

事務的な会話が終わり、電話を切ると後悔の念が
頭の中を回り始めた

M先生と出会ったのは、もう十五年以上も前の事

カウンターの自分の席が決まっている位に
通ったバーに彼もいつも一人で来ていた。

戦後すぐに立ち上がったというアマチュア劇団の代表で、演出家。

その年代にしてはかなり大柄で、外出時にはサングラスをかかさない
風貌は黒澤明に良く似ていた (そういえば名前も同じだ)

バーのカウンターでは、映画の話しに始まり、落語、小説に関して
先生の知識と含蓄のある話しは時を忘れるくらい楽しかった。
(実際、深夜過ぎまで毎回話し込んでいた)

ある時先生がある芝居をしたいのだが、出演者が足りないから
出てくれないかと私に頼んで来た。

最初は断っていたが、半年がかりの誘いと
「お前の一生の中の1日でいい。俺に貸してくれ」という殺し文句に
断る理由も見つからず、出演を承諾した。

その芝居が終わるとすぐに「次の芝居の台本だ」と
カウンターに台本を置かれた。

私の何がいいのか分からないが、
それから、毎回芝居が終わるとすぐに新しい台本をカウンターに置いていった。

先生との芝居の稽古は楽しいが、その劇団の古株女優との
人間関係の面倒くささに嫌気がさし、稽古場から足が遠のいた。

芝居に出る事もなく、そのバーも閉店してしまい
もう数年も前から先生に会っていないかった

主催する落語会が軌道にのってきた今年のはじめ頃から
落語好きだった先生を招待しよう、来年の1月に開催する大きな会には
お呼びしようと思っていた矢先の訃報だった。

「会いたいと思った時に会わないと取り返しのつかない事もある」と、
先日開催した同窓会で言ったの私自身だったのに


今、通夜から帰ってきたところ

これから、先生の好きだったキリンラガービールで献杯.......