実際に取引した土地の話と総括

につづく

③にあたる記事です。


 

 

①②の記事の内容をふまえ、

実際にあった取引事例の紹介です。


 売主が相当なショックを受けた話


南道路付き約340㎡の土地に古い木造住宅が1つ建っていて、この土地と建物を5000万円で売り出すことにした売主がいました。


仲介手数料等で200万円ぐらいの経費はかかっても4800万円ぐらいにはなるだろうという軽い気持ちだったのですが、そうはいかないという事を思い知らされる事になります。


不動産屋からは中古戸建として売るには築年数が経ち過ぎていて建物に値段がつかないかもしれないと言われながらも、愛着があり良い家だという自負もあり、しばらくは販売を続けていました。


しかし、一向に売れず、


そのうちにじっくり時間をかけて売る余裕がなくなり、現金化を急がなければならないことから買取業者(安いが即金で早く売却できる業者)に売る方針に切り替えました。


するとすぐに業者(買主)が

"解体更地測量渡し"

"契約不適合責任3ヶ月"

で4200万円で買いたいと申込をしました。


この土地を3つに割って3棟の建売分譲とする予定の業者でした。


売主は

すぐ現金化できる事がわかりホッとした一方、解体更地にする費用で350万円、測量費40万円、その他登記費用45万円、仲介手数料約150万円、地盤改良の杭撤去費用100万円をかけてやっと売却条件を成就しました。


この時点で4200万-685万=3515万円です。


売主は

これで無事、土地の引渡しを終えることができた


と思った矢先、

その土地で工事を始めた業者が土を掘り返す工事をしていた時に地中からゴミ(地中埋設物)がいっぱい出てきた事で、ゴミを撤去してほしいと連絡してきました。


"契約不適合責任3ヶ月"という条件があるので取引が終わってからも3ヶ月以内は安心できないのです。(この条件をつけたくないといって販売する事も可能ですが、普通はつく条件なのにつけたくない=やましい事があると見なされて買い手がつかない事もあります。)



そしてこのゴミ(地中埋設物)の撤去費用、

この時はなんと550万掛かりました。



売主は自分の家を建てた時にも多少ゴミがでたがその時に取り除いているのにまたそんなゴミが出るなんて嘘だろうとゴネましたが、この土地に3棟家を建てる業者は敷地全体、まんべんなく掘り起こす為、過去に掘っていなかった範囲も掘った事で、どっさり出てきたようです。


先程の式に当てはめると

3515万円-550万円=2965万円

になりました。


しかも、

これだけでは終わらないのが

税金です。


4200万円で売った不動産で

実質2965万円を手に入れる事になった売主ですが、確定申告をする時に

"取得単価"が分かりませんでした。


取得単価とは、この不動産を昔、いくらで購入し取得したかという事ですが、当時の契約書を無くしていた場合など、取得費が分からない場合は概算取得費として売却額のたったの5%(今回は210万円)と見なされるのです。

この人は昔の契約書を紛失しており、取得費が分かりませんでした。


式に当てはめると

利益2965万円-取得費210万円=2755万円が

不動産譲渡取得額(儲かった額)なので、

この2755万に対して

約20%(551万円)の税金を払うことになります。


結果

希望価値5000万円

売却価格は4200万円

実質手残りが約2204万円となりました。


※これはいろいろ重なった結果であるし、運が悪かったとも言えますが、その他条件が重なればもっと悲惨な事も起き得ます。逆に税控除などあるのでもう少し手残りが増える事が多いですがもっと減るパターンも考えられるのです。


 総括


 自分の所有している不動産を現金化した時の予想が出来ている人は少ないと思うので、自分の不動産を過大評価せず、理想の金額にはならない覚悟はしておいた方が良いです。


これから買う人は売る時の事も考えておかないと"運が悪かった"では済まない事になります。知っている人からみたらそりゃそうなるよねと思われてしまう事なので、売却経費を知らずに資産として(半ば投資として)戸建住宅を持つ事にはリスクがあると言えます。


ちなみに私はリスクがあっても、売るときに価値がなくなろうが、それを知った上で夢のマイホームは新築の戸建住宅で持ちたい派です。



"心の備え"が大事昇天

 

ということです。