家起こしするには、反力を獲るための仕掛けが必要です。 | 曳家岡本のブログ

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東日本大地震以降、ご招聘いただきましたら全国で曳家・家の傾き(沈下修正工事)、家起こしなどをさせていただいている曳家職人・岡本直也の現場と時々(笑)子どもの悩みを書いているブログです。

千葉県いすみ市の古民家修復の現場。

沈下修正工事は終わりまして、腐っていた土台を取り外し、改めて、柱勝ちの状態に戻しました。

それをあらたに造った大きな独立基礎に降ろしてゆきます。

 

この基礎のサイズは65cm×65cm 厚みは20cmです。

これは自分の東日本大震災の後、郡山市のお寺や熊本県益城町の被災家屋を見せていただいた経験から、

あのような地震でおよそ前後に30cmほど動いていましたので、それならば同じくらい動いても落ちない大きさにしようと、このサイズにしました。

もちろん耐圧板としての効果も狙っています。

そして、その新しい基礎の廻りを碁盤の目のように、鉄骨を組んでゆきます。

画像をよく見ていただくと判りますが、下段の鉄骨を通すために、またまた掘り込んでいます。

これは、またまた貫や大引きを残すための細工です。

邪魔なものは撤去してしまって、その後、リフォームしてしまえば簡単でしょうし。

「家起こしするために、やむを得なかったんです」と云えば誰も文句は言わないでしょうが。

自分が言います。

 

たぶん家起こしそのものは30分程度で終わるのに・・ワイヤーの反力を確保するためだけに、ここまで床下に鉄骨を組んでいます。

もうすぐ、この現場のクライマックスです。

 

こちらの現場に入ってから、急遽、ご依頼いただいた、曳家および沈下修正技術に関するセミナー「曳家塾」を夷隅文化会館で7月4日(火曜)に開催していただきました。

平日、しかも台風が近づいている中、50名を越える建築士、大工、などなどが集まってくださいました。

自分として今回も反省するばかりでしたが・・評価は高く、この後の秋にも他での開催を打診していただきました。

 

曳家の技術を知っていただいて、活用していただくために、お声かけいただければこちらも全国対応のつもりです。