床下エアコン仲間の方に解説する約束をしたのでリブログ。

 

詳細はリブログ先のコメントを見ていただければいいのですが、sinamo6さんは平屋の方が2階建てより暖かいと説明されたそうで、個人的には別意見だったので、ちょっとコメントしたのですが、実は先ほどsinamo6さんから直接メッセージをいただきまして、事の詳細をお聞きできました。

 

結論から言うと、sinamo6さん邸の場合は工務店の方の説明が正しい可能性が高いですね。

なんか勝手に指摘して、不安にさせた挙句、結局大丈夫なのかと一人相撲みたいな感じになり申し訳ないショボーン

先に謝っておきます。

 

 

とはいえ解説する約束なので、解説します。

 

まず、”平屋は2階建てに比べ、温熱環境的に不利になりやすい”と私は思います。

たぶん一般論じゃないかなと思います。

なりやすいってところがミソで、そうでない場合もあります。

 

まず、単純化するのに、家を箱型に例えます。

①が平屋、②が2階建て(総2階)の簡略図です。

延床面積は両方とも32坪(105.6m2)、各階の高さは3mとします。

平屋は2階建ての2階部分が1階の横に並ぶような形にしてます。

 

見た目でも分かると思いますが、同じ広さでも家の表面積に大きな違いがあります。

表面積が大きいほど外気に触れる面積が大きくなるので、

熱が逃げやすくなり温熱環境的には”寒い家”になります。

 

今回の例の場合

①の平屋の表面積

14.56m×3m×2面 + 7.28m×3m×2面 + 14.56m×7.28m×2面 = 343m2

 

②の総2階の表面積

7.28m×7.28m×2面 + 7.28m×6m×2面 + 7.28m×6m×2面 = 281m2

 

となって、今回の例の場合、平屋は総2階に対し表面積が1.2倍以上広いことになります。

 

これは家の形が立方体に近ければ近いほど表面積は小さくなります。

表面積が小さければ熱が逃げる面積が少なくなるので、

熱が逃げにくくなり温熱環境的には”暖かい家”になります。

 

これが”平屋は2階建てに比べ、温熱環境的に不利になりやすい”理由です。

実はパッシブハウスも平屋の事例は少なく、総2階かそれに近い事例が多かったりするので、この辺の影響が大きいのでしょうね。ちなみに我が家も総2階で設計してます。

 

実はさらに言うと、熱工学的には垂直な壁と水平な天井では対流による熱損失が違ったり、基礎底板から奪われる熱は壁や天井と熱の移動方法が違うなど、いろいろ加味することが多すぎて、一概には言えなかったりするのですが、そこまで考え始めると、専門のPHPP等のシミュレーションソフトが必要になるので、割愛します。

 

平屋は他にも、基礎、屋根の面積が大きくなるのでその分建築コストがかかるなどのデメリットがあります。

 

 

では例外で平屋の方が温熱環境的に良い場合とは何かというと、

一例としては

基礎断熱の場合

関東で多い床断熱の場合、1階の床面積が増えるとそれに比例して、床からの熱損失が増えますが、

基礎断熱の場合、外気に触れる面積は基礎の外周部分だけなので、家の形が単純な矩形であれば、1階の床面積が増えても、床断熱より熱損失が増えにくい傾向があります。

(上記は基礎底板部分の熱損失を無視しているので、プロの方から見るとそうじゃないだろと言われそうですが。。。)

上記に加え、床断熱は土台の厚さという断熱材を入れる厚さの制限があるのに対し、基礎断熱は自由に厚さを設定できるというメリットもあります。

 

壁の断熱性能に比べ天井や屋根の断熱性能が高い場合

平屋は2階建てに比べ、外壁の面積は少なく、天井や1階床の面積が多くなります。

そのため、その工務店の標準仕様が壁の断熱性能より天井や床部分の断熱性能が高い場合、

2階建てより熱損失が少なくなる可能性があります。

 

sinamo6さん邸は上記の条件が両方当てはまっていることに加えて、床下エアコンで1階床を主に温める暖房方式であることから、工務店の方の『平屋だと二階建てよりは暖かくなりますよ』という表現につながったのかなと思います。

 

 

ふー、デレデレ

なんとか説明しきりました。

我ながらなんというマッチポンプって感じですが、sinamo6さんの疑問と不安が晴れたなら良いのですが。

 

ちなみに、ひのきの個人的なお勧めな家の形は、総2階と平屋です。

総2階のメリットは上で話した通りで、平屋も上で話したことを行えば2階建て以上の性能になる上、平屋ならではのメンテナンスや高齢でも使いやすいというメリットもあります。

逆に1階に対し、2階の床面積が少ない2階建ては、下屋(1階の上に2階がない部分)と2階の間の気密・断熱に関わる施工が1段難しくなったり、総2階や平屋に比べ耐震的に弱くなりやすいというデメリットがあるので、お勧めしにくいですね。

ただ総2階は間取りに、平屋は土地の大きさに制約が出るので、その辺を加味して自分にあったものを選ぶことがより重要だと思います。