今日は曇って底冷えする日ですね。
空気も乾燥しています。風邪やインフルエンザに気を付けてお過ごしください。
私は教育をすることよりも、飼い主さんと犬の関係が崩れてしまい、問題で悩む飼い主さんと犬に再度信用、信頼関係を互いに戻せるようにサポートするのが私の仕事です。
人間同士、同じ言葉を話すし、理解できるのに関係修復ができないのも現実。
むしろ、人間と犬は言葉では相互理解ができない中で、相互の誤解も解き得てしまった互いの心の傷をも癒さなければなりません。
簡単ではありませんが、こんな状態でも実は飼い主さんと犬は一心同体。
こころの状態は同じということになります。
犬をどうにかするのではなく、犬を見て飼い主さんの心を知り、飼い主さんを見て犬の心を知る。
そして犬の問題を解決するのではなく、犬と飼い主さんの双方の心のケアリハビリを行うのが、家庭犬の問題行動を改善を行うプロフェッショナルの務めだと思っております。
咬む問題は特にこのポイントが大事になる。
犬も飼い主さんの動きが怖く、飼い主さんも犬の動きが怖い。
動物的解釈で考えれば、怯えるものは殺される。
しかし、自己保存(自分の命を守る、生きる)の為には殺さなければ、殺される。
人間が考えている以上に、咬む行動を取る犬は命に関わる重大事。
それは実は自分たちにとっても命を奪われる状況にある命に関わる重大事。
そこに人間まで自己保存の為の攻撃(罰による対処)をしかければ、愛犬と飼い主さんは戦になり、最終的にどっちが死ぬか?の闘いになるだけになってしまうのです。
だから犬の行動を、咬むという行動をどう改善するかと犬にアプローチするのは、命はあって生きれたとしても、心は死んだと同じになってしまう。
共生って簡単に言うけれど、共に生きる道を築くのは、容易いことではない。
だからこそ、私は仲介に入り、互いの生きる道を取り戻す。
人間は人間として、犬は犬として、それぞれを尊重した生きる道を取り戻すことこそ、真の問題解決になるのです。
まず心(気持ちや感情)に目を向けます。
双方の気持ちは、感染しあって悪化や傷が深まる負のスパイラルとなる感情感染から、互いに癒しあう正のスパイラルで感情感染をさせるのです。
感情感染は、人間同士でもあるのですが、イライラした人のそばにいると、イライラしていないのに、イライラしてくる。
緊張した人のそばにいると緊張してくる。
これが人間と犬との間で起きているのです。
恐怖を感じる飼い主さんの緊張と恐怖が、犬に感情感染し、犬は逃げるか、襲うかの選択葛藤状態に陥る。
そこで襲うという選択で咬みつきにいく。
咬まれた飼い主さんは咬まれた痛みとショックでパニック状態になる。
ここで逃げるか、襲うかの選択葛藤状態に陥る。
襲うを判断したら、一般的に言われる暴力や体罰となる。
逃げれば、戦闘にはならないが、相手はより強気に出てきて手に負えなくなる。
この冷戦を促すために、私は気質トレーニングという方法でまずは相互アプローチを目指す。
人間が犬に近付くという時に恐怖を感じない距離まで近寄り、そこからおやつを犬の方に平和の約束品として送る。
次に犬が人間に近付く時も犬が恐怖を感じない距離まで近寄り、恐怖反応がでない距離で犬が止まったら、また人間側から犬の方に平和の約束品としておやつを送る。
これをくり返していき、人間から発せられる感情(恐怖)の脱感作という作業をすることで、視覚による安全、聴覚による安全、ケミカルというフェロモンを介した嗅覚情報による安全を維持する。
それをくり返していき、飼い主さんには正の感情(可愛い、だいじょうぶだと、愛してるよ、楽しいよ等)を維持できる距離を保って繰り返していき、正の感情感染を引き起こす。
どんどんと距離を縮めていき、お互いに大丈夫だったという経験をくり返していく。
これが第一ステップの飼い主さんと犬のアプロ―チ方法となる。
まだ飼い主さんの力で、恐怖を克服するのは無理なので、専門家が仲介で行う。
そして、安心度が増してくるとお互いに感情感染はいい効果をもたらすようになってくる。
そして専門家が飼い主さんではなく、自らが行うリハビリは、犬は人間に触れられること=死を意味するくらいの恐怖を得ていたら、小さな刺激から触れても大丈夫という経験を積んでいく犬自身の皮膚感覚の刺激脱感作を行う。
これを慎重に、また状態を神経質なくらい全体を集中して観察し、刺激の強弱、増減をコントロールしていく。
もうこの時は経験の中で得ている感覚というゲージで微調整をしていく。
まずは、カウンセラーが飼い主に代わって人間代表で行う。
気質トレーニングと犬への皮膚感覚や視覚感覚による脱感作が進み、お互いに恐怖レベルの感情感染が低くなり、安心度の感情感染の影響に変わってきたら、状態を見て、飼い主さんと少しずつコミュニケーショントレーニングから行い、大丈夫そうなら行動トレーニングに移りながらここで正の感情感染が起きていい影響ができるようになってきたら、徐々に飼い主さんによる犬の視覚感覚や皮膚感覚の脱感作の工程をゆっくり入れていき、とにかく一緒にいて、安全、楽しかった経験を積んでいく。
これで、互いに楽しい、安心の感情感染が優位になってきたら、問題解決となります。
その後、お互いのコミュニケーションをより深めていきたいのであれば、ここで初めて家庭犬トレーニングの実施となり、家庭犬トレーナーからの指導に変わるし、そこでOKなら互いに一緒にいられる幸せを感じて暮らしてもらえたら別にお座り、フセ、マテがしっかり出来なくても安全に暮らせるのならそちらを優先する。
こうして良くも悪くも感情は感染しあって、影響しあうのです。
この作業は、大げさかもしれないが、私は心の関係の病を改善するオペだと思っている。
私はこのお手伝いをするときに、正の罰(弱化)とか負の罰(弱化)というものを選択するレベルではないので、正直ここでは行動教育に使うオペラント条件付けの罰なんて、使う段階じゃないし、そこを論議することでもない。
互いが安心して、安全で、そして大好き!ってなれる感情を相互で交流しあうことが大切なのです。
問題行動のプロフェッショナルにとって、大切な観るポイントは感情の感染ポイントです。
問題行動の改善はトレーニングでは改善できない。
トレーナーはトレーナーとして、カウンセラーはカウンセラーとして互いの尊重と協働も大切な共生だと思います。
バトンタッチしながら必要な専門性を活かしあい、飼い主さんと犬の共生サポートを出来ればと日々願っています。
悪い細菌と良い細菌が共生しているように、感情も悪い細菌(最近)と良い細菌(最近)のバランスをうまく取れたら共生は実現する。
だから最近(細菌)良くなったとか、最近(細菌)悪くなったとか話を聴きます。
最近(細菌)良くなったと言ってもらえるように、私は人間と犬の共生を支えていきたいと思います。
長々と今日は書きましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
