プロチョーネです。週の頭に捕獲があってからはおとなしかったんですが、「4,5日前から天井裏で物音がする」という家から調査依頼があったので覗こうとしてるところです。
この猛暑続きの時期に天井裏に何かがいるという連絡はあまりないので少々驚きました。この時期の天井裏の暑さは去年覗いてから思い知ってますので(→去年覗いた記事https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12500681925.html)。
が、意外なことにこの家の天井裏はそこまで暑くもなく、普通に動物も過ごせそうな感じでした。この区画には何も見当たらなかったんですが、確かに壁の向こうからかすかに鳴き声は聞こえます。さすがにアライグマとは違うみたいなので少し安堵しましたが、ネズミでもなさそうです。
また別の点検口から覗いてみると・・・
しばらくしてから奥の方から何かがヌッと登場。
なんだかブルドッグっぽい顔にも見えましたが三毛猫のようです・・・^_^;家の人によれば子猫の鳴き声も聞こえるということなので、妊娠したこの猫が安全な場所としてここを選んでもぐりこんだみたいですね。ただしこの天井裏は人が動ける広さでもなく子猫もどこか奥まった所にいるようなので対処できず、そもそも猫は捕獲するわけにもいきません。姿を見られたことで危険を察して出ていくと思うと家の人にお話してひとまず退散しました。
こういう仕事をしておいてあまり知らなかったんですけれども、確認がてら猫という生物についてわれらがさいたま市さんの情報を見ると、とんでもない繁殖力ですね
猫は繁殖力の強い動物です(さいたま市)
https://www.city.saitama.jp/008/004/003/newsfromawmcenter/newstogeneralpublic/p040242.html
大抵の哺乳類は自然排卵なのに対して猫は交尾をした際に排卵するという・・・つまり事を済ませばほぼ妊娠してしまう交尾排卵という体質をしてるというのは恐ろしい話です。さすがのアライグマでも発情期は晩冬から初春と決まっていて、途中で子供を失ったり発情期に交尾できなかったりした場合もまた妊娠できますが、さすがに1年に1度の子育てをするに留まります。
それが猫は日照時間が長い(人工灯でも可)、餌が豊富、子育てしてないといった条件が揃えば年に2回出産(妊娠期間は60日程度)が可能というわけなので、どれだけ増えるかという話です。このページだと「環境省の計算上、1匹のメス猫が3年後には2000頭以上に増えると試算しています」とおぞましい事が言われています。
なので、この性質を利用して悪質なブリーダーが光を当て続けて猫を年中妊娠可能な状態にして無理矢理繁殖させたりもするみたいですね。手術をしていない野良猫もこのような問題を理解していない人々が用意した餌場に集ってあとは勝手に増えていってしまうわけですからたまったものじゃない。
なんというか、今や野生の犬猫はほとんど存在せず大抵がヒトの制御下で食住、繁殖(多頭飼育崩壊のように制御できてませんけど)をしている状況が「自然」か「不自然」かは断言できませんけど、ヒトの制御をかいくぐり、あくまで野生生物として地球上の様々な場所でヒトを利用しながら生きていけるアライグマが逞しいと思えてくるのも確かです。 なかなか難しい問題ですね。