前回の続きです。
今回は信長が来る前の観音寺騒動です。
観音寺騒動とは1563年10月に、
六角氏の家中で起こったお家騒動です。
観音寺城跡を守る会様作成図です。
この図を参考にします。
上図右端にある、六角定頼が当主
の時代、北近江の戦国大名であっ
た浅井氏を事実上の支配下に置き、
さらに、室町幕府からも管領代の
地位を与えられ全盛期を迎えてい
ました。定頼の死後、後を継いだ
六角義賢は、畿内に一大政権を築
きつつあった三好長慶と抗争して、
中央政界での勢力を拡大しようと
しますが、長慶に敗れて失敗しま
す。
管領代になっった六角定頼肖像画
六角氏の畿内における影響力は
六角定頼で頂点に達します。
定頼の死去で服属下にあった、
浅井氏が独立します。
定頼以降の系図です。
1560年に義賢（六角承禎）は大軍で
浅井を攻めますが、浅井氏と野良田の
戦いで、浅井長政に敗れます。佐々木
氏の家中問題も絡み、義賢の近江にお
ける権威は低下します。この前年に
家督を子の六角義治に譲っていた義賢
は、この敗戦を契機に出家しました。
また、この頃から義治の婚姻問題など
で、義賢（六角承禎）と子の義治の対
立が深刻化します。
義賢（六角承禎）
跡を継いだ義治は、配下の種村道成
三河守、建部日向守の両名に対し、
重臣である後藤賢豊と後藤壱岐守の
父子の殺害を命令。種村と建部は主
君を諫めますが聞き入れられません。
1563年に観音寺城に登城するのを
待ち受けて殺害させます。理由は
諸説ありますが、後藤賢豊は定頼
時代の六角家臣の功臣として人望
も厚く、隠居した義賢からの信任
も厚かったのです。また進藤貞治
（騒動当時には子の代）と共に、
「六角氏の両藤」と称されるほど
の宿老で、奉行人として六角氏の
当主代理として政務を執行できる
権限を有していたことから、後藤
賢豊と若年の当主：六角義治とが
争った末に、当主として権力を取
り戻すために暗殺したと言われま
す。
後藤氏と進藤氏の屋敷があります。
この観音寺騒動は、六角氏の家臣
団に衝撃を与えます。後藤賢豊は
重臣の筆頭格であり人望も厚かっ
たから、守護代のような立場です。
この観音寺騒動で六角氏内部では、
六角家臣団が義治に対する不信を
持ちます。そして、浅井氏が六角
氏を攻める動きを見せたことで、
浅井方につく者までいました。
さらに六角義治はこの事件に不満
を抱く永田・三上・池田・進藤・
平井ら重臣達（上図にあります）
によって、父と共に一時的ですが、
観音寺城を追われました。
その後、蒲生・三雲らの重臣の仲
介により２週間後に、義賢・義治
父子は観音寺城に復帰出来ました。
しかし、家督を六角義定（義治の
弟）に譲ることや、1567年には
「六角氏式目」に署名して、六角
氏の当主権限を縮小することを認
めました。
後藤氏の家督は長男の壱岐守が父
と共に暗殺されたために、次男の
後藤高治が継ぎました。
この次の年
1568年9月に足利義昭を奉じて、
上洛の途にあった織田信長と近江
守護である六角義賢・義治父子と
の戦いは、六角氏式目を定められ
ていたので、実質は六角氏家臣団
と信長の戦いでした。
秀吉の夜襲に支城の箕作城兵は防
戦したが支えきれず、夜明け前に
落城しました。箕作城の落城を知
った和田山の城兵は、戦わずに逃
亡します。
やる気に欠ける家臣団を見たので、
義賢・義治父子は甲賀に逃れます
が、落城を聞いても蒲生氏の支城
だけは1千の兵で日野城に籠城し、
抵抗する様子を見せました。しか
し、織田家の部将だった神戸具盛
が日野城に乗り込んで説得した
結果、蒲生氏は降伏し、信長に人
質を差出して降伏します。
この人質が蒲生氏郷でした。
蒲生氏郷肖像画です。
後に織田家重臣になりました。
その後も義賢（六角承禎）・義治は
信長と戦いますが滅亡しました。
六角本家が滅んだ後に、分家の高定
が本家を継いで、江戸時代は旗本と
して生き残りました。
今回はここまでで、次回に続く
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