ヴァイオリンのネックの変遷とバロックチェロのネックの取り付け | ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

クラシックの本場ヨーロッパで職人として働いている技術者の視点で弦楽器をこっそり解明していきます。

バロック時代から現代までのヴァイオリンのネックの変遷を見ていきます。これは演奏技術と関係してくる部分です。
今回はバロックチェロのスペシャリストを目指す音大生のための楽器ですから「プロ仕様」である必要があります。歴史を学び最適な答えを見つけましょう。


こんにちは、ガリッポです。



ニス塗の作業が続いています。
作業がなかなか進まないことに気が遠くなりそうです。

ちょっとしたアンティーク塗装でもそれをするために通常よりも4倍くらい作業時間がかかります。普通にニスを塗れば40時間くらいのところを4倍かかると160時間です。まともに計算したらこれだけで90万円プラスになります。

ちょっとアンティーク塗装にするだけで90万円プラスです。
本格的なアンティーク塗装なんかにしたらさらに4倍は必要でしょう。


そんなに凝らずに合理的な方法にしたら?と思うかもしれません。
その結果が大量生産品のわざとらしいアンティーク塗装です。私はそれは非常に見苦しいのでやりたくありません。無様なものを作ることが許せないからです。それだったら普通にフルバーニッシュで塗ります。それでも40時間です。スプレー以外できれいにニスを塗るだけでも名人の技量が必要なのです。




チェロの製造は産業として成立しない事を思い知らされます。
アンティーク塗装をしようというアイデアは「社会人」なら間違いだったと思います。

「楽器製作の道」という信念を達成するために生きているのならチェロの製作もあるのかもしれません。半年間仕事を止めてチェロを作るということです。楽器職人の仕事って何でしたっけ?


アンティーク塗装が難しいのは、本来なら数百年かかって起きることをたった数週間で再現しなくてはいけないことです。
以前革のカバンを紹介しました。

弦楽器で革を扱うのは弓に巻いてあるわずかな部分だけです。
それでも専用の接着剤があるので傷んでいる部分を修理しました。
30年以上は経っているでしょうか?古くなっているので味があります。
それでも手入れをしたいなということでクリーニングをしてみました。
革の扱いは素人ですが、私が工具を買っているような業者からは革の手入れに必要なプロ用のものが手に入ります。
楽器と一緒で一見汚れていないように見えても汚れがこびりついています。磨いても光らない部分があるとそこは汚れが層を作っています。一方衣服などが触れるところは常に磨かれているので光沢があります。革が難しいのは水分を吸い込んでしまうところです。あまりびちょびちょにするのも怖いので何度かに分けて光沢が出るまで専用の石鹸を使って汚れを取りました。靴に塗るクリームを使って傷を目立たなくするときれいになりました。


このような感覚は楽器の手入れをするときも同じなので勘が働きます。
汚れの上からクリームを塗っても光りません。革は特に水分を吸い込むので汚れは完全には取れません。2度と新品のようにはなりません。それでも手入れをすることによって美しいなと思います。靴など革製品の掃除をしていたら半日終わってしまいました。

カバンが古くなる変化は一つ一つ違っているはずです。
実際に使用する中で様々なことが起きたからです。

弦楽器でもなにがどう変化していくかを言葉で説明することはできません。
実際に古くなった楽器を見るしか理解する方法はありません。

アンティーク塗装のやり方を教えることができません。
自分で古い楽器を見て、それをするのに使えるニスを自分で作り、刷毛や筆、道具の使い方を編み出していくのです。

前回はストーンウォッシュということで汚れの層を模したニスをチェロ全体に塗ってそれを軽石の粉で削り取ることによって古い楽器に汚れが付きそれを掃除するということが何度も繰り返された様子を再現しようと思いました。しかしそんなに単純な方法では私は納得できる結果は得られませんでした。そこで、古い楽器をよく観察して人為的に汚れが多い部分や少ない部分、手や体が触れている部分を作らなければいけないと考えました。その結果が膨大な作業量の増大になったのです。

うちの師匠はビジネスに関してはいい加減な人で最終的に美しいものができ、お客さんが喜べばコストの増大は大目に見てくれることは私も長年の付き合いで分かっています。単にお金を増やすことを人生の目的とは考えていないのです。

それに対してドイツのような国は勤勉なので先輩から職業技能を学びます。
アンティーク塗装もプロの職業人として学ぶのです。その結果がいかにも「ドイツのアンティーク塗装」と感じられるわざとらしいものです。彼らは誰一人実際の古い楽器を見ようとはしなかったのです。






人間の脳は無数の神経細胞(脳細胞)がつながり電気信号をやり取りすることによって機能しています。アリやハチのような昆虫も集団によって情報を伝達し役割を分担することによって繁栄しています。このような昆虫は生まれながらに役割が決まっていて一匹の命というよりも集団としてのコロニーがまるで生きていて思考しているようです。あちらこちらを探索してエサを見つければ他のアリを呼び寄せて巣に持ち帰るのです。巣の設計図や指示をする監督がいないにもかかわらずそれぞれが役割を果たすことで巨大な建築物が作られ維持されているのです。

人間は言葉によって情報を伝達するわけですが年々その役割は増大しているようです。
IT機器がまるで神経細胞のようにつながっているのです。


一方で弦楽器のような楽器や音楽のような文化も一人の人が作ったものではありません。多くの人たちが関わり試行錯誤をした結果今の姿になっています。多くの音楽家や職人そしてそれを聞くファンもとても重要です。これらが一体になってまるでアリの巣のように一つの文化を作り上げているのです。

音楽家も職人もファンも高度な文化を生み出すには学んだり訓練することが重要です。
IT技術に適さない文化が滅んでいくとすればもったいないことです。


楽器職人は天才などではなく一匹のアリでしかありません。
職人が情報を伝達するには言葉だけでは不十分です。
過去に作られた楽器についてよく見て知る必要があると思います。


職業知識を本で読んで暗記しペーパー試験で試すとしたら楽器についての知識は全く伝わっていません。集団としての知能が働いていないのです。

言葉で説明された知識などは大したものではありません。
言葉に表せないようなものを一生かけて理解しようとするのが職人なのです。


私が知ってもらいたいのは弦楽器の知識というのはそれくらい簡単に説明できないものだということです。言葉では伝わるレベルの知識は大したことがないのです。今の時代にはIT技術によって何もかも理解できると考えている人がいるかもしれません。そうなると人類が培ってきた文化は失われることになります。


ネックの変遷





ネックの取り付け方が時代によって変わってきます。ヴァイオリンで説明します。


これが最も古典的なヴァイオリンのネックです。イタリアや南ドイツのオールドヴァイオリンに見られます。ネックは横板の上面に対して水平についています。
指板はくさび状になっていてこの厚みを変えることで駒の高さに合わせます。ネックをはじめに取り付けてから表板を取り付けます。駒の高さにあうように指板を作るのです。
アーチや駒の高さが高くなるほど指板の傾斜が大きくなります。

この欠点はbの部分が分厚くなることです。
演奏するときに高い方に行くほど肉厚になっていくのです。

特にアーチが高いほど駒も高くなるので指板の傾斜が大きくなります。
ヤコブシュタイナーではオリジナルのネックの楽器が残っていて、高めのアーチに合わせるととんでもなく指板が厚くなります。

それに対して



これは東ドイツのものです。

ネックが斜めに取り付けられることによって指板が薄くなります。
このようなものはイギリスのオールド楽器でも見たことがあります。

このような東ドイツのものは現存しそのまま使われているケースもあります。現代の演奏者にも違和感なく使えるのです。

東ドイツのようなものは1700年代の後半ではイタリアでも取り入れられます。


初期のモダンヴァイオリンはこのようなものを応用したものです。
ネックはさらに斜めになり胴体に溝を掘って埋め込まれるようになります。このタイプは20世紀の初めまで続きます。1920年くらいまでのフランスの楽器ではこのようなネックがそのまま残っている場合があります。


それに対して現代のものです。
現代ではネックの角度はいくらか水平に戻り根元が高くなっています。
19世紀後半にドイツで大量生産が始まるとこのようなネックが普及しました。

初期のモダン楽器に比べると持った感じも自然だと思いますし、弦が表板を押し付ける力も軽減しています。

現代では強い張力のナイロン弦やスチール弦が使われるので強く表板を押し付けすぎるとのびのびと音が出なくなります。欠点はネックが水平に近いと弦の力に耐えられずネックの角度が狂っていくのです。数十年で修理が必要になります。そのため20世紀初めのフランスの楽器ではオリジナルのネックがそのまま残っていることがありますが、現代のネックはそんなに耐久性がありません。

しかしながら楽器の能力を最大限引き出すにはまめに修理することが必要でオリジナルのネックが付いてるフランスの楽器でも現代風に改造が必要です。この時期に修理されたオールド楽器についても同じです。


角度が戻っているため弦の角度自体はバロックと現代のものはあまり変わりません。バロックはネックの根元が分厚く感じられるだけで、音響的な構造は変わりません。初期のモダン楽器は斜めにネックが取り付けられたため弦の角度も急になります。


ということはバロックの音を再現するならネックは現代のものでも良いことになります。
最低限の改造でバロック楽器の音にしたければバスバーと駒と弦を変えればいいのです。


ネックの取り付け方と指板


イタリアや南ドイツのネックは釘で固定するものです。
それに対して東ドイツではシュピールマン式と言って上部ブロックと一体型になっています。

シュピールマン式も安価なものは上のようになっていて高価なものは下のようになっています。
溝になっているところに横板を差し込むのです。



ヴィオール族の楽器ではさらに別にほぞを彫ってはめ込むものがあります。
ヴァイオリンでもこのようなものはあったと思います。
もっと単純になっているのがモダン以降のものです。

バロック楽器の場合には表板をつけるより先にネックを取り付けます。駒の高さに合わせて指板を作るのです。それに対してモダン楽器では胴体が完成してからネックを取り付けます。そのため微妙な角度にすることができます。ブロックを加工して傾斜をつけることでネックの角度を変えるのです。バロックヴァイオリンの場合にはできてみないとネックの厚みが分からないということになります。ものによってはものすごく厚かったり、ものによってはそれほどでは無かったりします。東ドイツの方式ならネックは薄くなります。

現代ではどの楽器を持ち替えても同じように演奏できるようになっています。
楽器が標準化されているので音楽教室でも生徒ごとに楽器が全く違うということはありません。指導はしやすいでしょう。



ヴァイオリンで説明しましたが基本的にはビオラやチェロでも同じことです。
しかしながらチェロでイタリア・南ドイツ式のネックではとんでもなく指板が厚くなります。
チェロでオリジナルのネックが残っているものは滅多にありません。トノーニのチェロが残っていますが、ネックは斜めの取り付けられ根元は高くなっています。したがって当時も臨機応変にやっていたのだと思います。



このようなことは理論となります。
受注生産であれば演奏者と相談して決めることになります。


今回はネックを水平ではなく6度傾けるとともに根元を10mmほど高くします。それでも指板はかなり厚いですが演奏できる範囲内だと思います。

ネックの長さは昔は決まっていませんでした。昔のように釘で着ける方法では長さをきっちり合わせるのは難しいはずです。したがって適当だったと思います。実際ネックの長さはいろいろです。短いものが多くありますが決まりがあったわけではなさそうです。

現代ではすべての演奏者はモダン楽器から始めていて、バロックと持ち替えて使うことがあります。それを考えるとモダン楽器と同じネックの長さにすると持ち替えてもそのまま演奏することができます。ホールの条件や作品によってモダン楽器にガット弦を張ったものを使うこともプロであるほど必要になります。多くの方と相談した結果ネックの長さはモダン楽器と同じにすることが望ましいと考えています。もちろん注文に応じます。


もっとモダン楽器のようなネックの厚みにしたければネックの角度を付けます。東ドイツでは本当のバロックのネックですから間違っているということはありません。むしろバッハの曲を弾くなら東ドイツ式のほうが正しいとさえ言えます。









次は指板の問題です。
バロックに指板と言うとスプルースで芯を作って表面に黒檀の薄い板を張るということがよく行われます。このようなものが正しいバロックの指板だと広まってしまいました。

確かに分厚い指板をすべて黒檀で作ってしまうととんでもなく重くなります。特にヴァイオリンやビオラの場合、肩当やあご当てがありませんのでネックが重くなると支えるのが大変になります。

しかし私はこのような指板がかつて作られたのは黒檀が材料として手に入らなかったからだと考えています。黒檀はアフリカや南アジアで取れるもので植民地を持たないドイツの楽器では梨などが使われ黒く染めてあります。弦楽器の材木はほとんどはヨーロッパのものを使っていますが黒檀は南の国のものです。

かつては非常に貴重なものだったはずです。
最近も環境保護の観点から伐採や貿易に規制ができて年々入手は困難になってきています。


現代ではバロックの指板を作るときに薄い黒檀を張りつけて使うことがありますがこれには問題があります。指板は使用しているとすり減ってきます。現代の弦は金属が巻いてあるので摩耗が激しいです。裸のガット弦であればそれほどではありませんがスペシャリストとして使用する場合にはやはり摩耗してきます。2mm厚の黒檀を貼りつけた指板なら貼りつけた時点で面は正確に仕上がっていませんから削りなおすと残りは1mm程度です。5~10年もしたら新しい指板が必要になります。

バロックをメインにする人にとっては耐久性が無さすぎるので「業務用」にはなりえません。
したがって私は5~6㎜は黒檀の厚さがあり通常のモダンチェロの指板と同じくらいの耐用年数を確保することにしました。



バロックの指板には様々な装飾があります。
しかし指板に装飾を施すことは演奏上邪魔になります。硬さが違う材質ものもが埋め込まれていると摩耗の仕方にむら出て来るからです。私はシンプルな真っ黒なものを薦めます。たとえばストラディバリのテノールビオラでは象牙と思われるものが埋め込まれています。指板自体はローズウッドです。象牙とローズウッドでは硬さが違います。それがちょうど弦の真下に来るのです。これはややこしいです。

依頼主はバロックらしい雰囲気を希望したので演奏の邪魔をしない最低限の装飾を施すことにしました。周囲をカエデで縁取ります。

現代のピアノと違ってチェンバロには絵が描かれていました。それに比べればシンプルなものです。当時は今よりもあやゆる芸術や思想、宗教などが一緒になっていてイマジネーションはずっと豊かだったと思います。音楽は様々な芸術や文化のほんの一部でしかなかったと言えます。

現代の人たちはそこから音楽だけを切り取って現代によみがえらせています。バロック音楽が表現しようとしていたものも現代のクラシックファンには興味のないものです。現代の人たちがバロックの作品の優劣について語るとき見逃して抜け落ちていることが多くあると思います。



実践


ここからは実践です。

まずは指板からです。

指板は古いチェロの指板を再利用します。新しいものを使っても薄くしなくてはいけません。黒檀は入手が難しくなってきていて古い時代のもののほうが質が良いのです。もちろん安価なものに使われていたものはそうでもないです。

指板の厚みを稼ぐためにスプルース(ドイツトウヒ)を貼りつけます。

黒檀の部分の厚みが十分にあるのでモダンチェロと同じくらい長く使えるはずです。
縁にはカエデを貼りつけます。私は黒檀を薦めましたが依頼主の希望でカエデになりました。
作業の難易度はカエデのほうが楽ですが、材質が弱いので縁がボロボロになってくるかもしれません。


消耗部品なので手の湿気や温度ではがれてこないように現代の耐水性の接着剤で強力に付けます。


上端と下端の面は額縁のように45度で貼りつけます。これは実はとても難易度が高い仕事で木材の木口方向を加工するのはとても難しいのです。とりわけ黒檀は難易度がとても高い材質です。
取れてくるような品質ではいけません。


縁にカエデが付きました。

額縁のように継ぎ合わさっています。
最終的には3mm程度の幅にしますが、木口方向は変形しやすいので大きめにしてくっつけてから切断します。水分を吸い込みやすく接着剤でも大きく変形します。

おもしろいのは目の錯覚で縁取りを同じ幅にすると上端と下端は幅が狭く見えます。かなり狭く見えるので幅を変えます。


あまり見たことのないような物体でしょう。

これをカットするとバロックの指板のようになります。




弦の真下にはカエデの部分が来ないようにギリギリの太さにしています。それでも見た目には普通の指板とは違うのが分かると思います。

長さはモダンより短いです。音大教授の方に相談して必要な長さを決めました。本来ならもっと短いはずですがいろいろな曲に対応するために長めにしておきましょう。それでもモダンチェロより短いので雰囲気は違うはずです。

最終的にはニスを塗った後に駒の高さに合わせて正確に仕上げます。




指板ができたらネックを取り付けます。

今回は工場で胴体がある程度できたものを使いますが本来なら木枠に横板が付いているときにネックとを取り付けなくてはいけません。木枠を外してしまうと横板はゆがむためネックの角度が動いてしまうからです。裏板と表板を先に接着してしまうと釘で付けることができないのです。そのためあり得ません。

しかし今回はオリジナルの製法を再現することは無理です。
妥協案を考えましょう。


このように角材を固定することで横板の歪みを起こさずにネックを取り付けることができます。こんなのも誰から教わることもありません。自分で考えました。


ネックは角度を正確にするためモダン楽器のように埋め込むことにしました。釘は使いません。


このようにして左右の傾きも正確にします。楽器のセンターに駒が来るようにするためです。
ネックの角度は6度ですが最終的に6度になったということです。
初めに紙の上に作図して6度で行けるはずだと設計はしました。実際にやってみないと誤差が出て分かりませんが見事に6度で指板の傾斜とも合いました。

骨にした角材を基準にして高さを見ましたが実際に表板をあてがって確認します。

高さも調べます。

昔ならネックの角度なんて考えずに取り付けて指板でつじつまを合わせれば良かったのですが、その方法だと指板を含めたネックの厚みが予想できません。演奏者が手で持ったときに違和感を感じてはまずいので私は計算して正確に取り付けます。


ネックの仕事で特に大変なのがネックの加工です。モダンとも多少違います。指板は今はネックと同じ色ですが、あとで少し違う色に着色しましょう。ネックは茶色に指板は黄金色にします。

表板を付けていない状態で接着します。


表板を取り付けられるように仕上げます。

横から見るとこのような感じです。


表板を接着します。

ネックにはニスを塗るために保護用の板を張り付けてありますが、このように表板に埋め込んでいません。古い時代のものではパフリングはつながっていなかったりします。

これがモダン楽器です

モダン楽器では表板を接着して胴体を完成させてからネックを取り付けます。正確な角度で取り付けるためです。今回は表板がついていない状態でネックを付けたので正直誤差がどれだけ出るかわかりませんでした。表板を付けてから調べてみると寸分の誤差もありませんでした。モダンでも接着すると微妙に狂うことがよくあります。自分に驚きです。

まとめ

ストラディバリのモデルということもあってイタリア式のネックが正しいということになります。博物館に展示するならそうするべきです。

しかし実際の使用を考えると東ドイツのようなものの方が演奏しやすいはずです。様々な妥協によって指板の厚みを抑えました。それでもモダンの演奏者からするとビックリするほどネックと指板が胴体に近い方で分厚くなっています。

これくらいは弾いてもらわないとバロックのスペシャリストとは言えないでしょう。

正しい寸法というものは決まっておらず、歴史から可能性を学び、演奏者と協議を重ね、教授のような人とも相談して仕様が決まってきます。製造直売の職人ならではですね。