アマティ型のビオラを作る【第1回】木材の選定から | ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

クラシックの本場ヨーロッパで職人として働いている技術者の視点で弦楽器をこっそり解明していきます。

アマティ型のビオラを作るということではじめていきます。
まずは木材を選ぶとこからです。



こんにちは、ガリッポです。

まずは雑談から。
演奏についてはともかく弦楽器の楽器自体に興味を持って趣味とするのはマイナーなものです。本屋の雑誌売り場にはコンピューターや自動車バイク、カメラやオーディオなどいろいろな趣味があります。ギターならあるかもしれませんがヴァイオリン族の弦楽器ではそのような雑誌はありません。他の趣味のように弦楽器でも楽しみ方というのが広まっていくお手本にならないかなと思います。

私は学生時代にオーディオ店でアルバイトをしていました。
弦楽器とも似たようなところがある製品です。

昔はアナログレコードで針で振動を読み取っていました。そうなるとレコード盤自体が振動してしまうと読み取る振動と混ざってしまいます。そのようなこともあって振動を抑えるということが行われてきました。いろいろなグッズが売られていますが、「振動対策」という具合に振動をいかに抑えるかということで考えられています。
弦楽器は全く逆でできるだけ振動したほうが良いのですぐに考え方を取り入れるわけにはいきません。


アナログレコードやスピーカーが振動の影響を受けるということは理解できます。よくわからないことで有名なのはコードやケーブルです。
オーディオケーブルというのはただの電線かと思いきや、何十万円もするものがあります。オーディオマニアでない人はこれを「オカルト」だと言います。

それはひとまず置いておいて、正社員の営業の人は特定の製品を強く勧めることで多く販売していました。よくわからないウンチクを述べて特定の製品を「ごり押し」するとよく売れるのです。その結果営業成績が優れていて上司からも信頼も厚いのです。その人は本当に自分で良いと思う製品を薦めていたのだと思います。

しかし、私は個人の感想ですと、あるものは低音がボヨンボヨンとしたものであったり、また別のものは高音がカシャカシャとしなやかさを欠く金属的なもので全く気に入りませんでした。もちろんアルバイトの私が文句を言うわけにもいきませんでしたが、別の社員の人はやはり音が気に入らないと陰で言っている人もいました。

非常に高価な製品でスペシャリストの販売員のお墨付きをがあるということで、喜んで買っていたお客さんの多いこと。でももしその日別の店員が担当していたのなら全く別のものを買うことになります。私は自分が消費者であるのなら、自分が気に入ったものを買いたいと考える人物なのでこのようなゴリ押しする売り方にはあまり賛成できません。

オカルトについてですが、いかに高価な製品であっても高価だからと言って自動的に優れたものだとは思いません。しかしまったくすべて嘘でどの製品も音が同じということもありません。あるものはボヨンボヨンし、別のものはカシャカシャするわけですから。

少なくとも単純に分厚いゴムで包まれた電線はゴムのようなブヨブヨしたような音になるし、硬い線材のものは金属的な音になるように思います。なぜかはよくわかりませんが何らかの影響があるということです。

したがって実際に自分で使ってみて音を聞いてうまくいけば良しということで、気に入らなければダメということになります。それはウンチクも値段も関係ありません。

音については信じられないほど個人差があります。

いろいろな説がありますが納得のいくものもあります。
例えば部屋の中でスピーカーを設置する位置を丹念に調整するという説です。
左右の間隔や壁や床からの距離などによって音が変化します。はじめに大きく動かしながらいろいろな位置を試して傾向をつかみます。バランスが良いと思うところに持っていき、さらに微妙な位置を調整します。これは理論などはなく実際にやってみるしかありません。
これを丹念にやっていくととても効果があります。(オーディオ専用の部屋が必要)

立派なウンチクの高価なアクセサリーを買えばたちまち音が良くなるというものではないのです。弦楽器を弾く場合も部屋の中の立ち位置によって音が変化しますので試してみてください。


弦楽器でも同じように評判の良い有名な弦に変えればたちまち音が良くなると考えてしまう人がいます。我々の同業者でもかなりの割合でいます。演奏者がどんな音を求めているか?使っている楽器がどんな音を持っているのか?それがあってどの弦にしたら良いかという話です。

ご自身に音を出していただいて、これが不満でこうしたいとか言っていただければ薦めることができますが、相手の好みや楽器自体の音を知らずに「この弦は素晴らしい」と勧めるのはおかしいと思います。
難しいのは音は違うのだけれども言葉で説明できないのです。症状や希望を訴えるのも難しいし我々が薦めるのも難しいのです。

弦だけでなく魂柱の位置や駒の位置とかなんでもそうなのです。
明らかに音は違う、でもどう違うと説明できなかったり、優劣を決めたりするのは難しいです。

しかし何かをごり押しするほうが営業成績が良いのです。
そういう人たちが業界に残っていくのです。



オーディオには振動対策のグッズがあります。
それをまねてヴァイオリンのE線のアジャスターとテールピースの間に薄いゴムを挟んでみたことがあります。その結果E線のスチール弦の音がはっきりと聞こえるようになりました、つまり金属的な音になったということです。
アジャスターはテールピースと一体になることによってテールピースが持っている響きが加わってマイルドな音になっているのだと思います。同じことはテールガットにも言えます。
現在はプラスチックのスクリューループというネジになっているものが主流です。それに対してカーボン系のものが売り出されています。
カーボン系のものは柔軟なものでテールピースが楽器の胴体から遮断されたようになります。その結果音はダイレクトになり、耳障りな音はより強くなります。これもプラスチックのものは胴体とテールピースが一体になって振動が多く伝わっているからだと思います。

カーボン系のものが良いのかプラスチックのものが良いのかは、楽器の持っている音と演奏者の好みの問題になります。

我々の業界が単細胞なのは、「軽い=良い」という考え方が広まっていることです。
メーカーは軽い素材でアクセサリー製品を作ります。音が良いとかは関係がなく軽い素材で作れば高く売れると考えているだけではないかと疑う必要があります。実際に試してみるしかありません。値段が異常に高いものを私はあまり進めません。現実的な値段になった時にはどちらを使うか選択肢があるというのは良いことです。


何かもっともらしいものをゴリ押しすればよく売れるのです。我々の業界の人はそういう思い込みの激しい人が多いように思います。自分が気に入った楽器やグッズをごり押しするのです、楽器の調整法などもそうです。社長や上司がそういう人で従業員は「上司はあれをやたら薦めるけど、自分はあの音は好きじゃないな。」というのは同業者のあるあるでしょう。
それも含めてあくまで自分の好みでしかないのです。



さて午前中にビオラを作って午後は修理、夜と休日はヴァイオリン作りという予定でしたが、今のところ上手くいっているようです。これが破たんするとすれば期限の決まった修理に追われてしまうことです。休職中の同僚も夏から復帰するようなのでなんとか行けそうです。

良いところは、一日中同じ仕事をするのに比べて体への負担が分散することにあります。修理をやっていると全身の力を使う作業が少ないのに対し、楽器の製造は力仕事が多くあり、また作業によってはずっと細心の注意を払うこともあります。

楽器作りの腕前として我々の間では仕事の質と作業の速さというのが問われます。
作業の速さというのは同じ値段なら多くの利益を上げることができるし、同じ利益なら値段を安くできます。

製造業においてとても重要なのは作業にかかる時間です。フォードが大量生産のシステムを自動車産業に導入して庶民にも自動車を買えるようになったように作業の時間を短縮することは大きな意味のあることです。

今週散髪に行きました。
客の立場として作業が速いのが良いのかというと、あまり速くても雑にやっているように感じます。「さっさとこの人は終わらせよう」という感じがします。遅くても長い時間待たされてしまうのです。

楽器も製作に何か月もかかってかなり待ってもらうわけですが、時間がかかっているのに雑だとしたらどうでしょう?

ブログでもいつも言っているように雑に作ってあるからと言って音が悪いということはありません。ただ、注文したお客さんからすると雑に作られるのはどういう気持ちになるでしょうか?


雑ということについてアメリカの人で「自分たちはリラックスしている。多少のことで機嫌を悪くしたりしない。」と言う人がいました。なるほど、そういう考えがあるのかと思いました。粗雑な品物を目にしてもそれでがっかりしたり頭に来たりしない、そういう器の大きいことを誇りに思っているのでしょう。

それはとても面白いお話です。


とはいえ、私は好きで楽器作りをやっているので、やっつけ仕事のようにやりたくないのです。せっかく作るのならできる限り良いものを作りたいのです。丁寧に仕事をしてくれることを望んでいる人に楽器を使ってもらえると幸いです。好きなことを短時間で終わらせなくてはいけないというのは残念です。楽器作りを堪能したいのです。

ビオラ製作のコンセプト

毎回全く同じ楽器を作る人なら悩むこともありませんが、私の場合にはいろいろなタイプの仕事ができるように研究しているのでどういうものにするかは悩むところです。

お客さんと話をして「こういう風にもできるし、こういう風にもできます。どっちがいいですか?」とか写真を見てもらって「こういうのが良い。」と言ってもらったりして作る楽器を決めました。

ビオラで重要なのはサイズですが、これもきっちりと話をしておく必要があります。

いわゆるオーダーメイドということになると、「すごく高いんじゃないか?」と思うかもしれませんがすでに購入が決まっているということでむしろ安くてもいいんじゃないかなと思います。というのも大量生産品なら特注すれば高くなるのは当然ですが、見込み生産でも手作りならコストは同じなのです。私が将来独立するのならオーダーメイド割引みたいなことになると思います。

注文される方は当然アマティがどうだとかはわからないのでこちらで演奏のしやすさや音響的な構造、外観の美しさなどが優れているということを説明して納得していただきました。過去にも作っていますのである程度音も計算ができます。

例えばストラディバリのモデルであれば、細くて長いモデルですからサイズが大きい割に幅が狭いということになります。ビオラに求められるのは長さが短い割には幅が広いものということになりますからアマティのほうが適しています。いずれ詳しく解説しますが表板の形状もなで肩になっていて高いポジションでも邪魔になりにくいものです。

これまでビオラでは古い楽器に見えるような「アンティーク塗装」はしませんでした。ビオラの場合には良質で適当なサイズのビオラ自体が市場に少ないためそこまでしなくても単にきちんと作るだけでも十分貴重で魅力的だからです。
特にビオラ作りのおもしろいところはヴァイオリンに比べると定まった形がなく、こう作らなきゃいけないという決まりがないところにあります。したがって、アンティーク塗装でなくても自分の楽器の特徴をはっきり出すことができます。


ただ今回は依頼者の希望でアンティーク塗装にすることになりました。ニスの色も希望にこたえることができます。「赤みの強い色」を希望されましたが、アマティで赤いニスというのはあまり見たことがないです。そういうことも含めて必ずしも特定のアマティをそっくりに作るのではなくアマティが作りそうなものということで、モダン仕様に適すように多少のモディファイもします。f字孔やアーチングなども必ずしもアマティのオリジナルに忠実というよりも、私はこれまでもたくさんアマティのコピーを作ってきましたから、アドリブでアマティの作りそうなものを作ることにします。アマティ自身も毎回全く同じものを作ったのではなく、その時のアドリブで作っていますから、なんとなく作りながらバランスを見ながら形を決めていくということで行きます。

それに対してグァルネリ・デル・ジェズのヴァイオリンの複製は特定のヴァイオリンをオリジナルに忠実に作ります。木目も似たものを選び、モデルはもちろんアーチや板の厚さ、ニスの色合いやはげ方もすべてそっくりに作ります。パフリングのグチャグチャ具合も再現します。・・・この時期のヴァイオリンはそんなにグチャグチャでもないのですが、デルジェズのヴァイオリンを多く見ていると感覚がマヒしてきます。

木材の選定

木材もオーダーメイドですから依頼者が希望するものを使うことができます。


この木を選んでいただきました。木の種類は通常通りカエデです。

裏板が一枚板のビオラというのは珍しいのかもしれません。私はこれまで一枚板のビオラを多く作ってきましたし、ヴァイオリンでも一枚板が多いので何も珍しいとは思いませんが、人に見せたりすると驚かれることがあります。

ビオラの一枚板は大きな幅が必要で、チェロの裏板の半分では小さすぎます。ヴァイオリンならチェロ用の木材に割れや節など欠点などがあって使えないときに転用できますが、ビオラの幅には足りません。したがって相当太い木が必要になります。この材料もギリギリです。

私が一枚板を好む理由はアーチの立体が見やすいからです。
二枚の板の場合には杢が真ん中で途切れてV字なっているのでそれに影響されてしまい立体が見にくくなります.欠点は大きな一枚の板は変形しやすく中を薄くくりぬいてしまうとたった2~5mmくらいしかありませんからすぐに歪んできます。2枚でも歪みますが左右が不規則に歪みます。

また製造時に中心線がないため作業しにくいという意見もあります。
私は全く気になりません。センターは見た目でこの辺だろうという具合でやっているので問題ありません。慣れてくると見た目でかなり正確にできます、それが職人というものです。初心者には難しいかもしれませんがベテランがそんなことを言っているのならいつまでも初心者の時と同じ作り方でしか作れないということですね。

アマティも一枚板のヴァイオリンやビオラをよく作っています。おそらく当時としては高級だとされていたのでしょう。一枚が足りないときは端っこを少し足したりしていることがよくあります。
リンクをご覧ください。
http://keimages.ram.ac.uk/emuweb/php5/media.php?irn=21265
これはアマティのヴァイオリンですが、二枚の板でも一枚の板に似せるために目の向きが真っ直ぐになるように貼り合わせています。これは一枚の上下をひっくり返します。最近では珍しいです。

さらにポイントはこの木は板目取りという板の取り方になっています。裏返すとこうなります。

板目(いため)は右上の図のBのように板を取る方法です。写真で皮が残っているのでわかると思います。アマティはよくストラディバリはたまにこの板目板を用いました。

板目板は強度としては柾目板よりもやわらかくなります。また変形しやすいものです。とんでもなく変形していきます。昔板目板で作られた将棋盤を持っていましたがとんでもなく曲がってしまいました。
そんなことを嫌ってか現代では用いる人は少ないのかもしれません。ほとんどの場合は一枚板のみで使われます。さらに珍しいということですね。杢の特徴は不規則なものになることで一般的に板目板よりも弱く出ます。


これが柾目板です。違いが分かりますか?もう一度先ほどの画像です。


雰囲気が全然違うと思います。板目板の場合には杢は薄くなりますがこれだけ出ているのはすごい材料です。

カンナがけをして平面にして裏板の形をけがくとこのような感じです。大きさがギリギリです。
杢が雲のようにふわふわと不規則浮かび上がってきます。光の当たり方によっても見え方が違います。よく見ると年輪の木目も地図の等高線のように見えます。柾目板なら縦に縞になっているはずです。

板が柔らかいということは音にも影響がありそうなものです。これまでもいくつか作りましたがよくわかりません。どんな音になるのでしょうか?以前板目板で私が作ったヴァイオリンはメジャーレーベルからCDも出ている楽団のプロの人が使っています。二度と同じ音のものが作れないのですが…

表板


表板は一枚のものではなく真ん中で貼り合わせます。一枚の板もあるのですが特に魅力もありません。弦楽器に使用するのはドイツトウヒ(スプルース)です。今回使用したのは26年前に購入したものです。20~30年くらいが使いやすいと思います。あまり古くても割れやすくなったりします。今回使用したものが特殊なのは通常は表板はのこぎりで切断されたものしか市販されていませんが、割ってあるものです。薪のように割ってあるのです。
割ると真っ直ぐには割れないため相当余裕を持って割らないと板が取れません。そのためノコギリを使って切断されたものが売られているのですが、問題は木の繊維が斜めになった状態で切断されているのです。割った板は繊維に沿って割れているのでこういうことが起きません。

2枚の板は真ん中で貼り合わせる必要があります。
ここはトラブルが起きやすいところでテールピースを外してみたら継ぎ目が開いていたなんていうことはよくあります。正確な加工が必要です。

このように長いカンナを使って接着面を加工するわけです。
カンナがしっかり調整されていれば10分で完璧な接着面ができますが、調整ができていないと何時間やっても微妙な接着面にしかなりません。木製の長台カンナでは狂いが生じ、上手くいかない日があります、カンナを微調整しながらの作業になります。その点この鋳鉄製のカンナはいつでも同じ結果になります。その代わり調整ができていないと何度やってもうまくいきません。カンナの調整とは、鋳鉄の台を削って適切な面に加工することです。カンナを削る金属加工です。市販されているものを買ってすぐに使えるというものではありません、このカンナは50年以上前の中古品で7000円くらいのものですが調整に2か月かかりました。
おかげでヴァイオリンでもチェロでも10分で正確な接着面ができます。接着面が正確であることは買った後に表板や裏板が開いてくるというトラブルが防げます。ここが開いてしまうとごまかすような修理はできても2度と完璧に直すことはできません。チェロの多くはこの問題を抱えていてこの前修理したチェロも表板と裏板の合わせ目が両方とも開いていました。

楽器を買う人はこんなことには全く興味がないと思います。音が良いか悪かだけですからね。


クランプで固定してしっかりつけます。最終的な板の厚さは2.5~3.0mm位ですから接着面もそれしかないのです。たった3mmしかないのですよ。どれだけ重要な作業かわかっていただけたでしょうか?


けがいてみるとこんな感じです。こちらもサイズがギリギリです。

年輪が縦の縞になっていますが中央が間隔が狭く外側に行くにしたがって広くなっています。ビオラですのでヴァイオリンより少し荒い木目のほうがマッチします。外に行くに従て均一に広くなっていくのではなくイレギュラーなところがあってアマティらしさが増します。

木の質はきめが細かく持った感じはとても軽いです。材料としては最上のもので期待が高まりますが、結果楽器になってみるとそれで音がどうってことはないです。

いろいろなルートで仕入れた木材を使って何度も弦楽器を作っていますが音が極端に良かったり、悪かったりすることはありません。木の選び方で音の良し悪しが決まるなんてことはありません。

木材の質は見た目の違いに貢献すると考えてください。

そのほかの材料


先ほど見ていただいたように裏板は木の塊なのでこれを切断して横板を取ります。裏板は幅がギリギリだったので板を斜めに切ることで若干幅を広げることができます。長方形の対角線のほうが長編よりも長いということです。

今回はバンドソーという電動のノコギリを使いました。とても正確な加工が必要で手動のノコギリで切るのは無理です。バンドソーもしっかりした製品でなおかつメンテナンスをしっかりしなくてはいけません。

写真のように切断して横板も取ります。
横板も当然通常の板目取りとは木目の方向が違います。板目板のほうが柔らかく曲げるのは楽です。厚さを仕上げるてためのカンナがけは表面が逆目で割れにくいという点で楽ですが、抵抗が大きく重く重労働になります。

作業ごとに適したカンナを使用します。職人が使う工具は作業ごとに種類が多いのです。


内部のブロックとライニングには柳を使います。アマティやストラディバリは柳を使用したためです。グァルネリはドイツトウヒ(スプルース)を使っていますので音にメリットはないでしょう。

写真は加工済みですが柳も塊から切り出します。柳は繊維がねじれていて節も多く、乾燥させる間に割れも生じます。大きな塊からちょっとしか材料が取れません。

まとめ

板目板の裏板というものを初めて知った人もいるかもしれません。アマティは割とよく使っています。
http://www.ram.ac.uk/museum/item/25091
リンク先には板目板で作られたアマティの画像が出ています。下のほうの画像をクリックすると大きな画像で見れます。完成すると板目板はこのような感じになります。板目板でも模様の出方はいろいろあって3種類の中から選んでいただきました。

アマティは当時は王様や貴族が注文したりしたのでしょう。工芸的な魅力にあふれたものです。木の美しさを引き出すということも職人の仕事のおもしろいところです。