⑥「見立て」その2
「見立て」の精神は、今日なお生きています。
例えば、バーチャルアイドルなんかはその典型ともいえます。
「初音ミクのコンサート」というのも、現代的な見立ての一種でしょう。
これは神が降臨した(という設定の)場に集まり、祭を決行するようなものです。
実在する「何か」がなくても、人は萌えることができるわけです。
ロラン・バルトの指摘した「表徴の帝国」にも通じるものがあります。
ただ、非在の2次元アイドルを仮設して楽しむ風習(?)は、いまに始まったことでもありません。
「超時空要塞マクロス」に登場した「リン・ミンメイ」、
ホリプロのバーチャルタレント「伊達杏子」、
伊集院光がプロデュースした「芳賀ゆい」、
AKB48の「江口愛美」などなどです。
しかも、ローソンクルーのバーチャルアルバイト「あきこちゃん」、
NTT東日本やイケアのバーチャル受付嬢なんかも含めて、
コーポレートコミュニケーションにも「見立て」は使用されています。
ちなみに、バーチャル受付嬢はパイオニアで開発され、製品化されていますね。
しかしまあ、極めつけは「ラブプラス」ですか。
限定クリスマスケーキが都内3店舗で発売されたときは、開店前に行列ができて即完売、
熱心なファンは、早朝4時から並んでいたということです。
ちなみに「ラブプラス」とは、女子高生3人の「カノジョ」と恋人気分が味わえる
ニンテンドーDS用ゲームソフト(09年にコナミデジタルエンタテインメントから発売)です。
擬人化大好き、という特性もあります。
擬人化そのものは、古代ギリシアの比喩の手法からあるとのことですが、
日本でも、八百万の神々や妖怪、付喪神(つくもがみ)などの擬人化伝統があります。
さらには、自然現象やら都道府県やら乗り物やら大学やらブランドやら、
あらゆる対象を擬人化したイラストがpixivなんかに投稿されている現状については、
いまさらここで語るまでもないほど、花盛りといえます。
自治体のゆるキャラがいま全盛ですが、これらもまた、
地域の産物や特長をキャラクターに見立てたものと位置づけることができます。
今日、代替現実ゲーム(ARG=Alternative Reality Game)やOtoOマーケティングなど、
バーチャルリアリティを積極的に活用して現実生活を豊かにしようといった試みが
生まれてきています。
リアルを尊ぶのも大事ですが、虚構を楽しむという姿勢は、
乗法的な、高度な文化技法なのだと思います。