不況になると口紅が売れる -19ページ目

不況になると口紅が売れる

~遊びゴコロで、世界を救おう!~

 有徴的なシンボルとは、古い物語と新しい物語との結びつきによって起こる。
 つまり、それまで人々が心の中で望んでいたり、思い描いていたりしたものに近い雰囲気をもつた存在がポーンとどこからか現れると、大衆はそこに飛びついて信仰や崇拝の対象にしてしまうということだ。
 そして、新しく現れた存在は、新参者でありながらも背後に物語性を帯びた、強力なシンボルとして君臨する。権力者を欲する者が、過去の英雄と身体的特徴を共にしようとする傾向があるのも、こうした理由による。

 こうした複合的なシンボルの最たるものが「サンタクロース」である。
 4世紀頃の東ローマ帝国小アジアの司教である聖ニクラウスの伝説、さらに遡ればサトゥルヌス(あの、ゴヤの怖い絵で有名なやつですね)信仰の習慣が、その原型といわれる。
 売り飛ばされそうな娘の家の煙突に金貨を投げ入れ、それが暖炉に干してあった靴下に収まって救う話や、悪どい肉屋の夫婦に殺された三人の子供たちを再生させる話などが、聖ニクラウス伝説として残されている。
 キリスト教会の拡張とともに、こうした伝説がキリストの生誕と結びついていく。
 正教会系の国では、聖ニクラウスの祭日である12月6日に、子供たちにお菓子のプレゼントをするという風習も生まれた。
 遠藤薫(2009)「聖なる消費とグローバリゼーション」によれば、聖ニクラウスは、共同体の力が最低となる冬至の季節に登場し、子供たちに「再生」のエネルギーを与える存在。
 恐らくは、その年に亡くなった子供たちへの哀悼と新年に向けての共同体的訣別を図った祭の司祭だろう。
 もともと欧州文化の古層にあった伝説が習合した結果、「老賢者的な聖人がキリスト生誕の日に突如現れ、子供たちに贈り物をして去っていく」という現在の形に収斂されていったのである。



 英国といえば庭園文化の発祥地というイメージがある。スタウアヘッド・ガーデンなどはその代表例である。日本では新宿御苑が、英国式庭園の流れを汲むとされる。
 しかし、その英国式庭園のルーツはどこにあるのか?
 実は、こうした庭園にはモデルがあった。
 それは、17世紀の古典主義の写実的な風景画である。それを、<現実の風景>の側が真似る形で、庭園のデザインが行われていったのである。

 クロード・ロラン(1600?~1682)は、「上陸するシバの女王のいる風景」などで有名な画家だ。彼の描いた、地中海風景や古代建築といった理想郷の絵(つまりは想像の産物)が、17世紀にロンドンの貴族の間で大流行した。彼らは邸宅の壁に飾られた美しい風景に憧れ、「こんなんあったら、よかんべ」と、現実の風景にも求めるようになる。そしてその要請に応える形で「イギリス式」と呼ばれる庭園が誕生することになるわけだ。

 ちなみに、ロランはほとんどローマで生涯を過ごしているものの、本来はフランス人である。だがロランの代表作「アポロとメルクリウスのいる風景」(1660)や、「聖ウルスラが上陸する風景」(1641)、「アイネイアスのいるデロス島の風景」(1672)などは、いまだに英国内の美術館に所蔵されている。

 風景式庭園の父と呼ばれるウィリアム・ケント(1685~1748)ももともと画家であり、建築というよりもアートの感覚で風景式庭園を築いていったものと思われる。
 英国式庭園の「自然礼賛」は、左右対称の人工的な美を追求したフランス式庭園に対するアンチテーゼでもあった。18世紀の英国の文壇では、フランス的な人工庭園をやり玉に挙げ、勝ち誇ったかのように「あるがままの自然」を賛美するようなことになっていく。
 しかしその「自然」とは、画家たちが頭の中で思い描いた「バーチャルな自然」がその原点にあったという点も忘れてはならないだろう。宮崎アニメを観て、「風の谷のテーマパークをつくってほしい」とか「さつきとメイの家に住みたい」とか言っているようなものである。

 今日、環境破壊が進む中で「自然環境の再構築」という視点も求められてきている。そうした中で多くの環境保護のメッセージが、「理念」や「数値目標」で語られるケースが多い。あるいは「禁止事項」「削減事項」として、である。
 しかし「地球にやさしいライフスタイル」や「目指したい姿」を、フィクションの形で示した方が効果的と思われる。
 むろん、虚構の理想世界がそう簡単に達成できるわけではない。ただ、どこに向かっていくのかというゴールビジョンを価値観の異なる者同士で共有するためには、フィクションの力を借りねばならないと思うのだ。人間は所詮、自然と対峙するにも、物語の力を必要とする動物なのである。



▼アポロとメルクリウスのいる風景
アポロとメルクリウスのいる風景

▼エジプトへの逃避風景
エジプトへの逃避風景
Facebookの話題が「食」「旅」「犬」「空」に集中するのには理由がある。

結局Facebookでは、大半の人が"消費者"としての側面でしかコミュニケーションできないからである。
だから近況を見る限り、フリーランサーしか仕事していないようにみえる。
しかし、組織に所属している人たちは自らの仕事内容について一切書けないから、犬がどうしたとか空が綺麗だとか言っているだけの話で、実はちゃんと仕事をしている(はずである)。

ソーシャルメディアの問題点は、このような個人の断面的な発信情報によるつながりが、時間とともにことさら強調されていく点にある。
しかし、消費行動または消費意識による関心コミュニティが今以上に肥大したところで、それほどの価値があるのだろうか、という疑問が最近湧いてきた。

特に日本においては、「仕事上の共通の関心事」でビジネスマンがつながっていく必要性があるように思う。
「業界」や「企業」でのつながりではなく、業務上抱えている課題や関心でのつながりだ。

実はこれらを言語として結実させ、異なる業界・企業に属する人々の間で共有化するのは難しい面もあるのだが、ひとつ可能性があるなと思うのは、ソーシャルリーディングである。
同じ本を読んだ人同士を「テーマコミュニティ」で結びつける、ということだ。
電子書籍を売りたいのであれば、ここを掘り下げるしかないと感じる。

また、日経新聞社などビジネス系の報道機関が今後生き残っていくためには、この視点が不可欠である。
いままでは情報供給サイドの事情で読者を組織化してきたが、これからは読者の都合で情報を組織化するべきだ。

例えば筆者の著書で恐縮だが、「物語マーケティング」というテーマがある。
この物語マーケティングでセミナーをやると、来てくれるのは現場のマーケッターや広告代理店も多いが、経営コンサルだったり、学生だったり、商店主だったり、社長だったり、人事部の人だったり、自治体の地域活性化の担当者だったりする。
これまでは、こうした異分野の人たちを「読者」としてひと括りにまとめるのは難しかった。
しかし、ソーシャルリーディング発のテーマコミュニティであれば、それは不可能ではない。

さらにこのテーマコミュニティの中に「筆者」も入っていく、という形。
それができると、出版社の新たなビジネスモデルにも発展していくと思う。
ギフト商品を選んでいて、自分も欲しくなってしまう、ということがよくある。

特にネットで選んでいると、だんだんと商品スペックや効能に詳しくなってきて、「おっ、これってお得かも」「自分でも使ってみてもいいじゃん」と思ってくる。

むろん、良いものを贈るためにサーチしているわけだけれど、結局自分が「いいなあ」と思うものを選んでいるわけだから、そのプロセスで欲求が顕在化されてくるわけだよな。

そういう人のために「贈る相手と自分とのお揃いギフトセット」というシステムを設定できないものかと思う。

単純に、「2つ買うと割引」でもいいし、「○○さんと同じ商品利用」を示したアイコンマークを入れるとか、ちょっとしたギミックでもいい。
最初から「2つセット」になっていて、あわせるとひとつのメッセージが現れるとか(指輪やTシャツなんかでは可能)、そういう形のギフトもありうる。

また、観光地のお土産なんかでも同様の手法が成り立つと思う。
自分が使いたいから、相手をダシにして買う、というパターンもあるかな?

ギフトを「to you」発想から「to us」発想に変えれば、購入量も倍になる。
とともに、ギフト機会やギフト商品のあり方なんかも、かなり変わってくるはずだ。


帰省の季節、ですね。
ある和食系ファミレスで昼食をとることに。
もう暑いから入ったような店で、混んでたけど他に行くのも面倒だし…的な。

私が注文したのは「カレーうどん」。
このくそ暑さで、カレーうどん以外は食べる気がしないのでカレーうどん、である。

座席はほぼ満員。
隣の席は6人組のビジネスマンで、そのうち2人は外国人であった。
話の雰囲気からすると、どうも2人はインド人である。
日本の中小企業と技術提携した感がありありと伝わるシーン。
ふむふむ。

しかしそこは、中小企業の昼の接待。
大して高級でもない「じゃぱにーず・ふーど」を食べさせられたインド人は、
やれ寿司がどうした、抹茶がどうしたとかつまらん話をしている。


しばらくして、私が注文したカレーうどんが来た。
何といっても、この強烈な香りである。

インド人の熱い視線が感じられた。
「あ、あれは何だ」という、驚きに満ちた視線である。
「う、うまそうだ。カレーっぽいけど、でも得体が知れないぞ」みたいな感じ(妄想だが)。

そうそう、日本にはね、カレーうどんっつー代物があるのよね、なぜだか。
あいつらホントは、これ食いたいに違いないんだ絶対。
クールジャパン…ではなく、ホットジャパンなカルチャーですよ。
輸入するなら、「カレーうどん」を検討したほうがいいですよ。


インド人もびっくりなこの食品、
豊橋市の町おこしでご当地グルメになっているのは有名だが、
めったに外すことのない、安定した満足感を得られるメニューだと思う。


というわけで、8/2は「カレーうどんの日」だったそうで。

あなたは好きですか、カレーうどん?