遊戯史学会、最後の例会 | 不況になると口紅が売れる

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遊戯史学会・第28回例会が下記で行われました。

日時:2017年11月25日(土) 13:30〜16:30
会場:東京富士大学本館・141教室
内容:

  • 講演1 「古代メソアメリカにおけるパトリに関する研究」 五木田まきは氏(金沢大学大学院 人間社会研究科 博士後期課程3年)
  • 講演2 「雙六手引抄による江戸時代前半までの雙双六のルールについて」 草場純氏(遊戯史学会会員)
  • 挨拶  「遊戯史学会の30年」増川宏一氏(遊戯史学会会長)、江橋崇氏(遊戯史学会副会長)

 

実はこの例会で、遊戯史学会の研究発表活動は終了、2018年末をもって遊戯史学会は解散いたします。

最後の例会ということもあり、会員・非会員含めて40人ほどの来場者がありました。

講演者は超若手と大御所、講演後の質問も絶えず、いずれも好評であったと思います。

草場先生のご指摘した「枕草子」「源氏物語」に登場する雙六に関する解釈、プレイヤーではないとわからない話であり、なるほど説得力があります。

 

例会の最後に、増川会長と江橋副会長から、ご挨拶がありました。

熱田公先生(神戸大学名誉教授)や網野善彦先生(歴史学者)らを発起人としたこの学会、それまで文化史においてほとんど省みられなかった「遊び」に焦点を当てた極めてユニークな存在でした。

外国の研究者からも熱い注目があり、「遊戯史研究」最終号にも海外からの寄稿があるそうです。

通常学会というと大学教員や院生の集まりなのですが(そこが息苦しくて嫌いなんですけど…)、遊戯史学会においては市井の研究者、コレクター、プレイヤー、ゲーム制作者、ジャーナリストなど、実に多様な人たちが集いました。

(プロ棋士も詰将棋作家も、でした)

 

解散は増川会長自らのご提案で、ご本人曰く"終活"の一環とのこと。

会員数の減少や運営上の問題からの解散ではありません。

われわれ会員としても大変残念ではありますが、こういう節目のつけ方もあるものだと思い、理事会ではその意気に賛同させていただきました。

 

当方も「創作文化としての詰将棋発展史-伊藤宗印の改革と在野棋客の影響力を中心に」(「遊戯史研究」第28号 2016年10月発行)を書かせていただきましたが、その際には増川先生より幾度もアドバイスや資料提供のお手紙を頂戴しました。

中学生の頃から読んでいた「将棋世界」で、ずっとそのお名前は存じ上げておりましたが、まさかその先生と一緒の学会で、直接ご指導頂くとは夢にも思いませんでした。

この場を借りて、改めて感謝申し上げたいと思います。

 

懇親会は17名、高田馬場「まき野」にて。

大変楽しくて深い、そして夢のような学会でした。