主人公に対するモデリング効果① 自己イメージとの適合 | 不況になると口紅が売れる

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 コンテンツは物語の形式をとることがある。

 そして物語には、主人公(ないしは感情移入できる他の登場人物)が登場する。

 この主人公をモデル(規範)としながら、消費者は自分自身の生活スタイルや消費行動の意思決定をすることがある。


 このモデリングには、次の3パターンがある。

 ①主人公に自己イメージを重ね合わせる(ああいう人になりたい)→人格モデル設定

 ②主人公の抱く変革欲求を自分の欲求に転移する(あのような目標を持ちたい)→欲求モデル設定

 ③主人公の行動への模倣・追体験をしようとする(ああしたことをやってみたい)→行動モデル設定


 まずは、①顧客の自己イメージとの適合を図っているケースを見てみよう。


 「Lois CRAYON(ロイス・クレヨン)」は、ちょっとコンサバ系の女性服ブランド。

 東京でも16店舗が設営されており、店内にはなぜかCDやら洋書やらが並んでいる。 

 これは、架空の女性ミュージシャン「ロイス・クレヨン」によってプロデュースされた商品群、という設定をとっているからだ。


 ミス・ロイス とは「ヴァイオリンを得意とする音楽家で、クラシックからジャズまで幅広い演奏・作曲活動をして生活している23歳の女性」という設定。

 店内にかかるBGMも、ロイス作曲・プロデュース(という設定)のCDである。

 同ブランドのホームページには、ロイスの「ストーリー」 と称して、祖父から姪に至るまでのファミリーが紹介されている。

 父は建築家の英国人、母は日本人の翻訳家、姉は作家で、お爺ちゃんは「永遠の青年」だそうだ。

 ちょっとリカちゃんファミリーみたいだけれど、いわゆる「ペルソナ」としてはよくできていると思う。


 すなわち、「ロイスのセンスや生き方に対して共感を持ってくれる人」が顧客というわけだ。

 (大阪の会社だが、あまりコテコテの、押しつけになっていないところがいいのかも知れない)


 「消費者が憧れる人」を提示するのは、むろん広告でも可能である。

 しかし生身のタレントやセレブリティの場合、あまりに顧客の現実とかけ離れた像となる可能性もある。

 さらにはスキャンダルやら失言やらのリスクもある。


 こうした物語型コンテンツの場合は、架空の主人公を設定することにより、消費者との距離の微調整が可能であるともいえる。


 そのためには、ただの理想像提示ではなく、主人公の悩みや欠点なども共感ポイントになってくる点も意識しておきたい。