なぜ、一つのカテゴリーに1商品が原則のコンビニに、265もの銘柄があるのか? | コピーライター 兼 中小企業診断士の日常旅

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

検索エンジンなら一番役に立つものだけが残り、2番目は生き残れない。そんな「勝者総取り市場」への転換が進んでいると言われています。

 

しかし、「ニュータイプの時代」の著書の山口周氏は、市場にはそれぞれの特性があり、「寡占化しやすい市場」と「寡占化しにくい市場」があることを唱えています。

 

これをフレームワークを用いて考えてみると、以下のようになります。顧客に提供している2つの価値軸によって市場を分類したもので、「役に立つ・立たない」(機能的価値の有無)という軸と、「意味がある・無い」(情緒的価値の有無)という軸で4つに区分しています。

 

 

結論からいえば「勝者総取り市場」となるのは、1の枠(役に立つ・意味がない)ということになるそうです。わかりやすいのはICチップで、その価値は単純にコストと処理能力で決定します。「職人が丹精込めて作る」という意味的な属性は製品の評価に全く組み入れられていません。

 

一方で「意味がある」市場では多様性が生じます。例えばコンビニを見てみると、一つのカテゴリーに一商品しか置いていない棚管理の中で、200種類以上取り揃えてある商品があります。それがタバコです。

 

なぜ、そんなことが起きるのかというと、タバコは「役に立たないけど・意味がある」からです。フィリップモリスを愛用している人にとって、その銘柄は代替不可能であり、人が感じる意味は多様なので、タバコの銘柄も多様になるのです。

 

これが「役に立つ」と「意味がある」の市場の違いであり、大企業は「役に立つ」市場でし烈な戦いを行っていますが、そこを避けて「意味がある」市場で独自のポジションを築いていくという選択をするのはいかがでしょうか。


近くのファミマを覗いたら、タバコ棚には265もの銘柄がありました。