小説の続き書きました。遠いデザイン12-8 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

遠いデザイン12-8

 

2001年 春

 

「課長、私の方だって、オンラインショップ立ち上げるの大変だったんだから。それに印刷と違ってネットの方は、ずっと、メンテナンスしなけゃならないし」

 横から口を挟んだ美紀が、突然言葉を切った。七瀬の方へ向き直った顔に笑みが浮かんでいる。

「でも、七瀬さんは寂しいでしょう? もう川奈さんと会えなくなってしまって」

七瀬は一瞬、言葉を失ったが、それが不自然な沈黙となる前に、三谷の頓狂な声が走った。

「ああ、そういえば、観光課の女の子たちがおかしなこと話してたぞ。亮子、あっ、いや、川奈さんね、なんでも、七瀬ちゃんの前に出ると、いつもと様子が変わるっていうんだ」

「えっ、課長、それってどういう意味?」

 美紀の声のトーンが上がる。

「急にそわそわしだすとか、顔が赤くなるとか、なんか、そんなこと話してたよ。ほら、新館にできただろう、喫茶室が。オレ、テーブル隣だったから、話し、筒抜けだったんだよ」

「そっ、そんなことないよ。川奈さん、いつも落ち着いた感じだったし。それに、オレたちの打ち合わせなんて、いつも、素っ気ないものだったし」

 七瀬は頭の中が白くなり、慌てて言い返した、

「なに、 顔が赤くなるって、いつの時代の話? まるで田舎娘じゃない。あの子、いったいどこの生まれなのよ?」

「たしかS町だよ。組合報にそう書いてあった。学校は、えっ~と、どこだったかな~」

 S町。こんな状況にあっても、三谷のその一言が頭に引っかかる。ほとんど信じられないことだが、それは七瀬が亮子について知り得た、唯一のプライベート情報だったのだ。入社以来JA一筋、職場通、裏事情通の三谷から、さらに亮子のことを聞き出してみたくなった。


遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

 

13年前の2001年が舞台。

中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。

地域の産業支援を本格的にやりだしてから、

コピーを前みたいに書けなくなったので、

その手慰みのつもりで書いています。