遠いデザイン 10-3
亮子が何か言おうとしている、七瀬がそう感じた時、受付嬢が足早に近づいてきて声を落として亮子に来客があることを告げた。
店内に目を向けた亮子はすぐにその相手を認めたらしく短く嘆息した。職域から出てきた数名の男性職員がおじぎを繰り返しながら、紳士風の年輩男をソファー席へと案内している。
「それでは、よろしくお願いします」
慌てて席を立った亮子の様子から、七瀬にもその男がJAにとって大切な客だという察しはついたが、どういう種類の客なのか、なぜブランド推進室の亮子がその男の担当になっているのかはわからない。
七瀬が打ち合わせブースを出る時、階段口近くに固まって自分を見ている男たちの存在に気づいた。その視線は見ているというより、射すくめているというほど鋭いものだった。見覚えのある顔もいくつかあったが、その誰とも言葉を交わした記憶はなかった。
七瀬が見返すと、何人かは慌てて視線を外したが、中にはますます挑発的に睨み返してくる者もいる。
いったい何がおこったんだ?
七瀬は男たちから顏を背けて玄関口へ向かったが、視線が集まっていると感じる背中が不快だった。
駐車場に向かう途中で、七瀬は何度か後ろを振り返ったが、男たちが追ってくる気配はない。車の前に来てみると、駐車場の端に停めておいたためにぶつけられてしまったのか、片方のサイドミラーが根本から折れて地面に転がっていた。
遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。
13年前の2001年が舞台。
中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。
この歳になると。そんなことしか書けませんので…。
地域の産業支援を本格的にやりだしてから、
コピーを前みたいに書けなくなったので、
その手慰みのつもりで書いています。