先日、熱海から経営相談にみえた洋菓子屋さんがありました。そのお店の
ユニークな商品が、カスタードクリームをつけて食べるシュークリーム。
ぜひ、この商品をお店のシンボルにするようにすすめました。(シンボル
があると人の頭に残りやすい→「つけシュークリームの〇〇〇」という具
合に)
その際に、この商品をシュークリームではない、まったく新しい商品とし
て売り出した方がいいのかと相談されました。もちろん、新しいカテゴリ
ーを創り、それが消費者に認知されれば、カテゴリー名=商品名となるこ
とが可能かもしれません。
例えば、セメダインやサランラップは商品名でありながら、そのカテゴリ
ー全体を総称する名前であると、消費者から認識されています。しかし、
そのためには莫大な広告費が必要となり、大企業とは違い、経営資源が限
られる中小企業では現実的ではありません。
それよりも、現在、消費者の頭の中にあるシュークリームという言葉を利
用して、(この言葉も、現在のように認知されるまでに長い年月とかなり
の情報量が必要だったはず)新たに、つけシュークリームを位置づけた方
がいいのです。
そのほうが、消費者の頭の中に、この商品が何者なのかがすんなりと入り
ます。これをポジショニングといいます。(ポジショニングは会議室のホ
ワイトボーデに書くものではなく、消費者の頭の中に書くものなのです)
しかも、生地がサクサクしているとか、クリームにいい牛乳や卵を使って
いるとか、これまでのシュークリームに比べて、何が優れていると言って
いるのではなく、何が新しいか言っているところもいい点です。(クリー
ムをつけて食べるところが新しい)
マーケティングは市場での戦いではなく、消費者の頭の中の“認識”をめ
ぐる戦いなのです。
