マイルドセブンが、来年2月からメビウス(MEVIUS)にネーミング変更するとのこと。縮小し続ける国内市場から欧州市場への展開を図るに当たって、マイルドやライトという言葉が、健康に良いイメージを与えかねないという理由で使えないそうです。ご存知のように商品のネーミングは、最短のマーケティングメッセージであり、商品の売れ行きを左右するものです。
メビウスと聞いて、まず、頭に浮かんだのがメビウスの帯(おび)。これは帯を1回ひねって、両端を貼りあわせた図形のこと。表裏がない不思議な形として知られていますね。次に思い浮かべたのはシャープが発売しているノートパソコンのシリーズ名。きっと、こちらとは類似群が違うので、商標登録できたのでしょう。ちなみにメビウスという言葉で、特許電子図書館(WEBサイト)で呼称検索すると、143件がヒットします。その中には、静銀メビウスカードなるものもありました。
たしかにメビウスという名前は、ブローバル感と未知なるもののイメージがあり、これから新たな市場を切り開こうとするマイルドセブンにとってふさわしい名前であるように思います。ただ、気になるのは、この名前が何も語っていないということです。(たしかに、中には、私が感じたようにメビウスの帯を連想する人もいるとは思いますが・・・)
広告宣伝費が潤沢にあるJTのような企業のの商品ならば、たとえ言葉の響きだけが心地よい造語でも、それがかえって新鮮なイメージをつくりだすことができるかもしれません。しかし予算のない中小企業の商品はどうでしょう? それらはその商品の魅力や売りをわかりやすく表現したネーミングが必要となるはず。そして、売り場の棚から消費者に向かって声高に叫ばなければならないのです。それが働くネーミングであり、モノを売るためのネーミングであるといえます。たとえ同じ商品でも企業の規模の大小で、ネーミングのつけ方が変わってくる、それが販路までも視野に入れたマーケティングの世界です。
マイルドセブンからメビウスへ
