本日のテーマは、
「カーボカウントとカロリー式の比較をしてみました。」です。
先週。いつもの外来に行って来ました。
9月は高血糖をちょこちょこ起こしていたので、もっと高めかな?と思っていましたがヘモグロビンa1cは6.3%…、前月比▲0.2%と、そうでもありませんでした。
が、腎臓の検査ではアルブミンが出ていました。検査の項目で言うと「アルブミン」と「クレアチニン」という尿検査ですが、この二つの比率を計算して、蛋白質が多くないかを調べるんだそうです。
とこかの病院のサイトでみたのですが、だいたい病歴が7年目を超えると60%くらいの人が、長年繰り返した高血糖の影響で少しずつ腎臓の機能が落ちて来て、尿に微量アルブミンが出始めるそうです。
アルブミンが出ているうちは、腎症ではステージ2。普通は無症状で、これと言った具体的な治療はとくにありません。ステージ2から、次のステージ3Aの大量蛋白尿が出るまではまだかなり(人にもよりますが、大体は何年もの)期間があり、その間コントロールが良ければ、ステージ1へ戻ることも可能ですし、ステージ3へ進むのをずーっと先へ遅らせることも可能です。
とは言っても、普通は腎症が進むのは合併症の順番では後のほうで、合併症はまずは目の網膜症から始まります。ですから、年数を重ねたら、一年に1~2回は必ず眼底検査に行って、眼底の状態をチェックしましょう!合併症の防止はとにかくコントロールですが、始まるにしても早期発見は重要なポイントです。
私は年数が長いので、前は1年に1回でしたが、今は半年に1回は眼底検査を受けるようにしています。眼科の先生もいろんな人がいて、この間は3カ月に一度は調べたほうが良いと言う先生でしたが、なんとその眼科に行って2日後に巨大な「ものもらい」ができました。先生、言うことが慎重なわりに院内感染かよ…!いくらipocoさんがバカタレだからって、もうその眼科はごめんだぜ!!と思いました。
閑話休題。
本題に戻るためのお話をします。
実は私は発症当時から食事はカロリー制限でやっていて、カーボカウントにしたのは2年前です。
カロリー制限を守らずに暴飲暴食食べ放題したことなんか20年、本当に一度だってなかったし、言われた通りにやっているつもりでしたが、その割りにコントロールはイマイチで、どんなにがんばっているつもりでも、ヘモグロビンは7%台がやっと。どうしても6%台に行けませんでした。
だから医者は「あなたの血糖値が高いのは、隠れて何かを食べてるからではないのか」とか、「まあ、1型ですからある程度はうまくいかなくても仕方ないでしょう。」と、何度も言われましたし、自分でもどうにもならないのかと思ってました。
でも、体にも限界があるし、もう8%や9%のままにしておきたくない。そう決心をして、食事はカロリー制限からカーボカウント式に、4回注射はインスリンポンプにしました。
それでヘモグロビンは6%台前半まで改善できて今に至ります。合併症は、当時は腎症がステージ3Aと言われていましたので今だって油断はできませんが、現在はステージ1~2のあたりまで戻ってくることができたようです。
インスリンポンプ療法もコントロール改善の大きな要素だとは思うのですが、自分では、やはりカーボカウントがいちばんの理由ではないかと思っています!
もちろんカーボの見積もりを間違えて高血糖になったり、インスリンを打ち過ぎたり…と外れることもしょっちゅうですが、以前と違い、自分で血糖値を操作できているという根拠も実感もあります。
もちろん、病院で指導されるような食事をしていれば、糖質もだいたい同じになるのでカロリー計算や指定された単位のインスリンがが全くの的外れとは思いません。
が、カーボカウントを実際にやってみて、
これこそが、1型と2型の治療の違いなのではないか…と思うようになりました。
2型は食事全体の量を抑えることにより、血糖値変動に自分のインスリン分泌がついていけるようにしていますが、
一方で1型は自分のインスリンはないか、またはほとんどなくて、生きていけるほどの量も出ません。だから外から、注射で全部入れていますよね。食事に見合うインスリンを入れないと、どうしてもうまくいきません。
しかし、当時通っていた病院で、
情報遅れの私が、なんとかインターネットで「カーボカウント」という方法があることを知り、やってみたいのですが…と相談したところ、栄養士の回答はこうでした。
「あれは二型の人が使う方法です。一型の人は、今の食事のバランスは絶対崩せません。だからあなたがやっても、今の食事とほとんど変わらないと思いますよ。まあ、先生がいいと言うなら指導してあげてもいいですけど。」と言いました。
はい、この栄養士さんは、間違いだらけですね!
でも私はそう言われて、自分に知識がないばかりに「そういうもんなのか…」とガックリしたのを覚えています。
でも、今なら分かります!
その栄養士さんは「カーボカウント」と「糖質制限食」を混同していたのです。その人は栄養のプロだというのに、この二つの違いを全っ然、分かっていなかったのです!!
そこで試しに(先生がただのバカタレの藪医者で、栄養士さんもタダのバカタレ栄養士で、それでも本当に合併症が始まる寸前までその病院に通っていたipocoも、ただのバカタレ患者だったということを証明するために!笑)、カーボカウントとカロリー制限ではどのくらい使うインスリンが違ってくるのか、私の昨日の晩ごはんで検証してみました。
※以下、「C=」は、炭水化物の量です。
それ以外のg表記は、普通の重さです。
・ごはん100g(168kcal、C=37g)
・ナスのハンバーグ(342kcal、C=10g)
・キャベツのスープ(33kcal、C=6g)
・豆サラダ(104kcal、C=7g)
合計すると647kcal、
炭水化物は60gになります。
カロリー式で行くと、私は1日1800kcal、つまり1食あたり600kcalの決まりだったので、この時点でやや食べ過ぎですが、まあそんなにオーバーというほどでもないと思います。
なので、この食事で600kcalまで削れと言われたら、ハンバーグのお肉を少しと、お肉を焼く時の焼き油を半分くらいに減らせば50kcalくらいは簡単です。
が、お肉と油には炭水化物が含まれませんね!なので、600kcalまで削っても、炭水化物は60gのままということになります。
次に、インスリンです。
現在は、カーボカウントではとくに炭水化物の摂取上限は指示されていません。食べた量に合わせて、打つ量を決めて良いことになっています。私の場合、インスリン1単位あたり8.0gまで炭水化物が食べられるので、先ほど計算した炭水化物の総量60g÷8.0g=7.5単位が必要…となりました。これに対し、注射していた頃は夕食は8単位の指示で固定でした。
7.5単位と、8単位。打つ単位はそんなにずれてませんね。
じゃあ、先生はバカタレじゃなかったのか?私が隠れて食べていたのか?ということになりますが、これこそが本当の引っ掛け問題でした。
カロリー制限の食事のときは、食事の内訳が、カロリーで決められていました。主食が320kcal、たんぱく質が160kcalという決まりです。
先ほどの食事で、私が実際に食べたごはんは重さにして100g、168kcalぶんで、カロリー制限の指示320kcalの半分しか食べていませんでした。
ここでカロリー制限600kcalの構成で、さっきのごはんの内訳を、指示された割合にに直して炭水化物を再計算してみます。
・ごはん190g(320kcal、C=70g)
・ナスのハンバーグ(243kcal、C=10g)
・キャベツのスープ(33kcal、C=6g)
・豆サラダ(104kcal、C=7g)
指示に従ってごはんを倍に増やし、お肉と油も指示された量まで減らしてみましたが、ごはんのカロリーが倍になっていますので合計すると700kcalになり、オーバーしてしまいました。そこで、この中から食べなくても良いもの・一番最後の豆サラダ104kcalを、カットすることにしました。(おかずが一品減った…泣)
これでようやく596kcalですが…炭水化物はどうなったか?ごはんが倍に増えたので、なんと豆サラダを入れなくてもC=86gになってしまいました!!
カーボカウントで必要なインスリンを計算し直すと、86g÷8.0=10.8単位になりました。
これを…
この食事を…
考えるのも恐ろしいけど…
8単位の固定のインスリンで食べるとどうなるか?
10.8 - 8.0 = 2.8 単位の不足ですね。
2.8単位×8.0 = 22.4g の炭水化物が未消化と言うことになります。
22.4gの炭水化物が未消化になると、どうなると思われますか?
これは正確な数値ではなく、一般的な概算になりますが、炭水化物1gあたり、2型糖尿病の人では3mg/dl、1型糖尿病の人では5mg/dlの血糖値が上がるそうです。
つまり、残った炭水化物22.4g × 5mg/dl =112mg/dl
の上昇になります。
これがかなり正確で、私の血糖値は食前100くらいでも、食後2時間では200~250mg/dlくらいあることがしょっちゅうでした。
こうなると誠に恐ろしいことをしているとしか思えません。栄養指導の4単位70gの炭水化物が、私を殺そうとしていたとしか思えません。
あるとき先生がこう言い出したのです。
「あなたも糖尿病になってだいぶ年数が経ったから、これからは血糖値コントロールをしやすくするために、たんぱく質を減らして炭水化物を主としましょう。いまは炭水化物は3単位の指示ですが、これからは4単位にしてエネルギーをとってください。」
いま思うと意味不明ですが、私は従う努力をしました。
しかし実際には、私は4単位・190gものごはんは大量過ぎて食べられないことも多く、摂取カロリーは1800kcalのところ1300~1500kcal程度しか食べていませんでした。
もしかしたら、それで助かっていたのかもしれません…!それでも血糖値は延々と高く、下がったり上がったりを繰り返していました。
カロリーでやってるけどうまくいってない…という方は、ぜひカーボカウントについて調べてください。今までより沢山食べても、少なく食べても、血糖値はずっと安定します。食べたくなければ無理して沢山食べなくても、低血糖のリスクは確実に少ないです。カロリー計算ができれば、カーボだってそんなに難しくありません!
長くなってしまいましたが、
私の経験があなたの参考になれば幸いです。