あまちゃん最終週「見所は全部」 | id120のブログ

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さん、どうぞ、後はお好きになさって下さい」

 ガイストが子供達を連れて退避しようとした時、突然ひとりの男が海から岩場に上がってきた。
 思わぬ場所から登場した男にギョッとしたリュリュだが、それがゼズだと気付いて胸をなで下ろす。サニアは波をかき分けて泳ぐ水音を聞き取っていたので驚かない。

「あぁ、これは何事だ?」クロエ ハンドバッグ

 ゼズがサニア達に背を向け、海水で濡れた頭を掻きつつ周囲を見回した。ガイストの側に子供達が居るのを不思議がっている。
 領主軍が近づいていると知らされたゼズは武器代わりに漁で使う銛を取ってくるため村の外れに行っていた。そのため、子供達が教会に寝返った事を知らない。
 リュリュが端的に流れを説明するとゼズは顔を顰めた。

「ゼズさん、ですね?」

 ガイストが笑顔で確認する。真っ暗な水底から引き上げたような薄ら寒い笑顔だった。

「無駄な抵抗をしないで下さい。子供の前で大人がみっともないところを見せてはいけない」

 ゼズの右隣に控えていたサニアが彼の服を握る。
 ゼズは安心させるために笑い返し、ガイストに視線を移した。

「確かに、人の信頼を裏切るみっともなさは子供に見せられんな」

 言い返したゼズにガイストが眉をひそめる。

「教会に協力する事がどれほど素晴らしいか、分かりませんか?」
「生憎と、惚れた女と夢物語に弱いもんでな。教会の理想とやらに手を貸す気は起きん」
「堕落していますね。あなたも人間ではありませんか」

 ガイストは不愉快そうに顔を背けた。
 既に日は没し、周囲には暗闇が手を伸ばし始めている。波音は微か、潮は村の様子に怯えて引いていく。
 完成間近の桟橋には船があるが、海に逃げるのは難しい。仮に船を出しても暗闇に呑まれ、方向も分からぬまま岩礁に叩きつけられるのがオチだ。
 一か八か、領主軍を相手に足止めし、他を逃がす役割が必要だろう。
 ゼズはそれが己の役割だと腹を括った。

「リュリュもサニアも上手く逃げろよ。逃げ切ればラゼットかソラ様が手を打つだろう」

 リュリュが頷く。一緒に逃げると思っていたサニアが疑問を抱くが、リュリュに頭を押さえられて口を開けなかった。

「それじゃあね、ゼズ」
「おう。ラゼットみたいな良い女になれよ」クロエ 長財布

 気負いなく短い別れを告げて、リュリュはサニアの手を強く引っ張って走り出した。
 領主軍が馬から降りて武器を片手に岩場に駆ける。酷く悪い足場だが、流石は治安の悪いクラインセルト領の軍というべきか、経験だけは豊富だ。互いの邪魔にならない距離を上手く取っている。
 絶望的な力量差と人数差だが、ゼズは銛を構えて迎え撃つ。
 ──いざとなれば海に飛び込むか。百に一つは助かる。生き残ったら、いくらあいつでも見直すだろう。
 そんな淡い期待を抱きながら、ゼズはうっすらと笑みを浮かべた。

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12月14日修正第十話  逃亡そして合流

 夜闇の中、月明かりを頼りに森を行くのは危険だとリュリュが判断し、サニアと二人で大きなミズナラの根元に腰掛けた。
 村を追われて三日。
 初めの内は領主軍の影に怯えて慎重に移動していたが、どうやら追っ手を撒いたらしいと分かり、適度に休憩を取っている。
 十三歳のリュリュと六歳のサニアの体力がほとんど変わらないのはサニアが獣人だからだろう。
 それでも精神年齢には差があるらしく、サニアは道中の暇を持て余している。リュリュは方向を見失わないように気を付けつつサニアの相手をしてやらねばならなかった。
 焚き火をおこして道中に拾

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