【書籍情報】
マティーニに懺悔を
今野敏
出版社: 角川春樹事務所; 新装版 (2012/9/13)
ISBN-13: 978-4758436861

【概要・コメント】
久しぶりにこの手の軽いハードボイルドを読んでみた。
通常は主人公が真の力を隠していて,危機が起きた時のみに実力を発揮する,シティーハンター系の物語である。

この手の実力隠している系の話は,後半になってくると,実力を隠しているという設定に無理が生じてくるのが残念なところである。
それでも,気軽にストレスを発散するには,なかなか良い小説である。

 

 

 

【書籍情報】
トコトンやさしいにおいとかおりの本
倉橋 隆,福井 寛,光田 恵
出版社: 日刊工業新聞社 (2011/12/1)
ISBN-13: 978-4526067990

【概要・コメント】
においの効果を用いた新しい技術を開発したが,その基礎となるにおい(かおり)の仕組みについて概要を把握するためにこの本を手に取った。

結論からすると,この本は専門書・入門書,どっちつかずという印象である。

においの基礎だけを押さえたい読者にとっては,途中の化学式や生理学の説明はかなり難易度の高い内容であると言え。

一方で専門的な内容を理解したい読者にとっては,後半の具体的な香り成分の議論は(定量的ではあるものの)網羅性には欠け,具体的な香料選定などには至らないという印象である。

基礎を抑えたい読者が“途中の難解な解説を読み飛ばして分かった気持ちになる”というのが,本書の一番適切な使い方のように思う。

 

 

 

【書籍情報】
天空の蜂
東野圭吾
出版社: 講談社 (1998/11/13)
ISBN-13: 978-4062639149

【概要・コメント】
海外出張する際に空港で衝動買いした本の2冊目である。

映画化もされた有名な小説なので,ご存じの方も多いかもしれない。

あらすじとしては,高度に自動制御可能な最新型のヘリコプターが盗難されて,実験用原子力発電施設に墜落されようとするというものである。

防衛技術の開発手順や原子力発電所の現場で働く労働者の実態まで細かく取材を行って書いたことが分かる,丁寧な小説である。

一方で,いわゆるミステリー小説として考えると,あまり大どんでん返しはなく,非常に淡々と話しが進んでいるとも言える。

おそらく東野先生はこの小説にメッセージを込めたかったのだと思う。

原子力発電技術の良否・必要性の有無について簡単に議論することはできない。

福島第一原子力発電所の事故後はなおさらで,事故から6年たった今,都会の人間は特に節電する気配もなく,思うがままに電気設備の恩恵にあずかっている。

この状況下にあって,やはりこの小説に込められたメッセージを日本人全体が受け止めるべきではないだろうか。
原子力というパンドラの箱を開けた我々は,その箱を閉じる最後まで,責任を取らなければならない。

特に高度経済成長や複数の好景気を体験した世代は,その責任を全うして欲しいと思う。

自分自身への戒めとして,この小説を読んで非常に良かったと思う。