【書籍情報】
クスノキの番人
東野圭吾
出版社: 実業之日本社 (2023/4/7)
ISBN-13: 978-4408558035

【概要・コメント】
東野先生の新シリーズ、面白いテーマである。

恵まれない素性の主人公が、特殊な能力を持つという意味では、よくある物語であるとは思うが、その特殊能力の設定が絶妙である。

よくある異世界転生のように、無敵というわけでもなく、ただ一方で人と人がさまざまな情報を共有し、分かち合うには十分な能力であると思う。

ミステリー要素は必ずしも強くないが、ヒューマンドラマとしては十分に驚きの展開があり、十分に心の温まりを感じることができる名作であると思う。

 

 

【書籍情報】
入社1年目の教科書
岩瀬 大輔
出版社: ダイヤモンド社 (2011/5/20)
ISBN-13: 978-4478015421

【概要・コメント】
とてもよく出来た自己啓発本である。

まず文章がとてもうまい。
#おそらくこの文章は岩瀬さんが書いた文書ではないと思う。
#岩瀬さんの口述またはメモをベースに,ライターの人がとても上手に文章を書いてくれたのではないだろうか?

文章がうまいので,とても読みやすい。
まだ書籍を読むことが習慣づいていない若い世代の人に読んでもらうのには,とても優れた自己啓発本である。

書いてある内容は,新しくはない。
科学的でもない。
様々な自己啓発本に書かれている内容であるので,すでに自己啓発本を何冊か読んだ人は,もしかすると少々残念かもしれない。

しかし,この書籍のまとめ方,そして1つ1つのルールの書き方が上手である。
複数の自己啓発本を1冊にまとめたという意味では非常に価値のある本だと思う。

一方で,各々のルールに関連する書籍は多数あるので,できればそれらを引用して,知識の繋がり(広がり)を持たせてくれたら,なお素晴らしい書籍になったと思う。
作家ではない人には求めすぎかもしれないが,第二版を作るときには,ぜひ共著者を探して,広がりのある書籍に仕上げて欲しい。

実はこの書籍,他の書籍を購入するときに誤って購入してしまったものである。
最初は読まなくてもよいかと思ったが,若い後輩の指導に役に立つ内容かもしれないと感じて,目を通してみた。

書籍のジャケット買いはよくするが,書籍の誤購入は(おそらく)初めてで,これも本との出会いだなーと,感慨深い経験だった。
世の中には読むべき書籍が溢れているので,なかなか自分が読みたい本を探すのは大変である。
そして,どの書籍を読んでも,(特に自己啓発本は)書いてあることが同じなので,最近はなかなか刺激が足りない。

 


さて,愚痴はこれくらいにして,以下本書の中で強く印象に残った記述をいくつか抜粋する。

P.93 あなたにとって重要なことが、相手にとって重要とは限りません。

P.119 <本は>自分から乗り込んで宝探しをするように読んでいく<べき>

P.153 Managing Your Boss (自分の上司を上手にマネージせよ)

 

 

 

 

【書籍情報】
なぜ僕らは働くのか -君が幸せになるために考えてほしい大切なこと
 佳奈 (著), 池上彰 (監修), モドロカ (イラスト)
出版社: 学研プラス (2020/3/19)
ISBN-13: 978-4052051715

【概要・コメント】
とてもよく出来た本である。

まず,最後のエピローグが感動させられる。
終わりよければ全てよし,などという言葉があるが,エピローグを読んだだけで本書を読んでよかったと思う。

この手の自己啓発本にしては,著者らの主張を押し付けることなく,様々なプロファイルを有する読者に配慮した大変素晴らしい表現であった。

特に,何が良いと決めつけることなく,「~~かもしれません。」「~~と考えることもできます。」のような表現は,高い感受性を持つ若い世代が読む書籍に相応しい表現であると思う。
強い表現は強いメッセージ性を持つが,一方でそのメッセージに賛同できない読者に強い違和感をもたらしかねない。
本書は,そのような違和感なく,読み進められる大変素晴らしい書籍であると思われる。

何のために働くのか?
何を目指して働くのか?そして勉強するのか?

これは非常に大きくて,重要な問題であり,悩みでもある。
この問題に対して多角的な視野を提供しつつ,日々の行動に対してヒントをくれる本書は大変素晴らしいと思う。

特に
P.80 「好き」を活かせる仕事は1つだけではない
あたりは非常に重要なことが書いてあり,ぜひ自分の子供にも読み聞かせたい内容である。

科学技術が急速に進歩する中で,人が行う仕事の内容は日々変化する。
それでも我々人間には,”働く”という使命が残されており,それによって我々は社会に認められ,そして社会は我々に生きる糧を与えてくれる。

その意味では,"働く"とは生きることそのものであり,その生きるプロセスを辛くするのか,楽しくするのかも,我々にゆだねられているのである。

自己啓発本をただスキルアップのために読むのではなく,我々が楽しく生きるためにも読むという姿勢も大切なのかもしれない。