【書籍情報】
なぜ僕らは働くのか -君が幸せになるために考えてほしい大切なこと
 佳奈 (著), 池上彰 (監修), モドロカ (イラスト)
出版社: 学研プラス (2020/3/19)
ISBN-13: 978-4052051715

【概要・コメント】
とてもよく出来た本である。

まず,最後のエピローグが感動させられる。
終わりよければ全てよし,などという言葉があるが,エピローグを読んだだけで本書を読んでよかったと思う。

この手の自己啓発本にしては,著者らの主張を押し付けることなく,様々なプロファイルを有する読者に配慮した大変素晴らしい表現であった。

特に,何が良いと決めつけることなく,「~~かもしれません。」「~~と考えることもできます。」のような表現は,高い感受性を持つ若い世代が読む書籍に相応しい表現であると思う。
強い表現は強いメッセージ性を持つが,一方でそのメッセージに賛同できない読者に強い違和感をもたらしかねない。
本書は,そのような違和感なく,読み進められる大変素晴らしい書籍であると思われる。

何のために働くのか?
何を目指して働くのか?そして勉強するのか?

これは非常に大きくて,重要な問題であり,悩みでもある。
この問題に対して多角的な視野を提供しつつ,日々の行動に対してヒントをくれる本書は大変素晴らしいと思う。

特に
P.80 「好き」を活かせる仕事は1つだけではない
あたりは非常に重要なことが書いてあり,ぜひ自分の子供にも読み聞かせたい内容である。

科学技術が急速に進歩する中で,人が行う仕事の内容は日々変化する。
それでも我々人間には,”働く”という使命が残されており,それによって我々は社会に認められ,そして社会は我々に生きる糧を与えてくれる。

その意味では,"働く"とは生きることそのものであり,その生きるプロセスを辛くするのか,楽しくするのかも,我々にゆだねられているのである。

自己啓発本をただスキルアップのために読むのではなく,我々が楽しく生きるためにも読むという姿勢も大切なのかもしれない。