おはようございます、一葉です。
つい先日お届けしたばかりのSSが予想以上に良い反応だったことをうけ、すっかり気を良くしてしまいました一葉脳。
調子こいて妄想滾らせ、再びSSをお届けします。
とはいえ、続き物ではありません。ついでに言うなら成立後蓮キョですっごく短い代物です。
可愛いキョーコちゃんのあとは、やっぱり蓮くんの登場でしょぉо(ж>▽<)y ☆
■ 幸福回帰 ■
この家で暮らし始めてどれくらいが経ったっけ。
クローゼットを整理している途中でふと、そんなことを考えたのは
新生活のスタートとほぼ同時にこの家にやってきていたクローゼットが、小さな軋み音を上げたから。
・・・ッ・・・・ッ・・・
以前だったら気づいたかどうかすら怪しいほど小さな音だったけれど、それを聞き逃さなかったのは、その音がキョーコの声に似ていたから。
恥ずかしいと言って口を塞ぎ
なるべく声を漏らさないようにと
閉めた細い喉の奥から微かに漏れる喘ぎ声
あの、独特な声音に。
おととい聞いたばかりのその声を思い出し
いつの間にか俺は
まるであの子を愛撫するように優しい手つきで
クローゼットの扉の開閉を何度も繰り返していた。
そのうちあの時のキョーコの熱まで思い出し、流石に苦笑を浮かべる。
「 こんなことで幸せ気分になれるなんて、ある意味病気だな、俺 」
ああ、そう言えば。
いつか坊くんから聞いたっけ。
些細なことに「幸せ」が伴うなら、それこそが恋なのだと。
あの夜のキョーコの顔を思い出し
噛み締めるように幸福感を堪能していた所で不意に携帯が鳴りだした。
足早に画面をのぞき込んだ俺は
そこにキョーコの名前を確認して、淡い笑みをふわりと浮かべる。
なんて絶妙なタイミング。
ふたたび優しく手を伸ばし
今度はスマホをそっと握る。
耳元をくすぐる声は
間違いなく俺を幸せにしてくれた。
「 もしもし、キョーコ? 」
「 はい、そう。私です。いま、何してました? 」
「 いま?いまは・・・・・・ 」
本当にそうだね、坊君。
例えば顔を見ただけで
例えば声を聞けただけで
こんなに幸せになれるのは、俺が恋をしているからなんだ。
この子を愛しているからだ。
「 クローゼットの整理をしながら君のことを考えてた 」
「 ・・・っっ、なにしてるんですか、まったく 」
「 そっちは?君はいま何してた? 」
「 私は、荷物の整理をしていたらふと敦賀さんの顔が頭に浮かんで・・・・電話をしてしまいました 」
「 ふっ・・・一緒じゃないか 」
「 そうですね 」
「 早く来月にならないかな 」
「 たぶん、振り返ればあっという間ですよ 」
「 そうかな 」
「 そうですよ 」
「 早くその日が来ると良いな 」
「 はい、そうですね 」
「 ね 」
本当にそう思うんだよ。
楽しみだよね。
これから始まる二人暮らしが。
E N D
設定は婚前直前(〃∇〃)
当然ながらワンフロア一室のあの家で、キョーコちゃんと暮らすのです。
⇒幸福回帰・拍手
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