おはようございます、一葉です。いつもお付き合いくださり誠にありがとうございます。
さて、本日お届けしますのは、現時点での最新号である2021年22号に掲載されたACT.299の派生妄想です。某ボクシングマンガとは何の関連もありませんw
私を含んだ多くのスキビ読者様が心待ちにしているのは蓮キョの絡みですよねぇ。その欲望のままに、妄想力が突っ走ったちょっと未来の両想い蓮キョを届けです。
こちらにはバッチリと本誌ネタバレが含まれておりますので、ネタバレ回避お嬢様は回れ右を推奨です。
■ 初めの一歩 ■
数か月の上映期間を経て、私が紅葉として出演した『泥中の蓮』が、先日DVDとして発売された。
希望する出演者には配給するよと言われて、「よろしくお願いします」を秒で返した私の元に舞い降りたそれ。
それを今夜、敦賀さんと一緒に鑑賞します!
「 どうぞ、最上さん 」
「 ありがとうございます!お邪魔します 」
「 ・・・くす。こうして俺の家で過ごすの、久しぶりだね 」
「 はい、そうですねっ 」
久しぶりに訪れた敦賀さんのおうちは相変わらずキレイで
だけどあの頃の私とは立場が変わってしまったせいか、なんだか妙にドキドキしちゃう。
「 コーヒーでも飲みながら鑑賞しようか 」
「 お気遣いなく~~~ 」
「 ん?気遣うな、は無理でしょ。好きな子とこうして二人だけで過ごせる時間なのに。ちなみにずっと心待ちにしていたんだよ 」
「 っっっっ! 」
このとき私はたぶん、だいぶ浮かれていたと思う。
だって人生で初めて春を迎えたかもって心の底から思えるぐらい、うきうきしていたんだもの。
『 ・・・下手糞・・・・・っ 』
『 ・・・初めて使うのだ、仕方あるまい 』
敦賀さんと並んでソファに腰かけ、DVDを再生してからずっと私たちは無言だった。敦賀さんの視線はずーっと泥中の蓮に注がれている。
『 ・・忍びの矜持の話だ・・・ 』
あうぅぅぅっ!メチャクチャ緊張するぅ。
だってもうすぐ紅葉の見せ場。
あのとき私は台本通りのセリフを口にしながら
けれど心に思い描いていたのは
いま隣にいるこの人だった。
間違いなかったと確信している。
紅葉を演じ終わってもう数か月が経つけれど
紅葉を理解できたのは
私以外にいなかった・・・って。
『 もっと違う形で出逢いたかった 』
そんなことに意味はない。
出生がどう変わろうと
どのような生い立ちを辿ろうと
私の心は間違いなく、敦賀さんの方へと引き寄せられた。
きっとどんな出会い方をしたって、それは変わらないに違いない・・・。
『 ・・・最後まで、つれねぇ女・・・ 』
あれ、おかしいな。
自分で演じたDVDを見ているだけなのに、あのときの感情が沸きあがって涙が浮かんできちゃった。
今もまだずっと敦賀さんは画面に食い入って見ている。
思ってくれていたらいいな。
面白いって
私の演技もなかなかだって
そう思ってくれていたらいいな。
「 ・・・なに泣いてるの? 」
「 っっ!!あ、ずびばぜん、静かにしていたつもりだったんですけどっ 」
「 そうかな、と思ったから敢えて聞いてみた。はい、ティッシュ。我慢せず鼻をかんで? 」
「 すびばぜん、ありがどうございます!!じゃ・・・ 」
その場で鼻をかむのはかなり恥ずかしいと思い
廊下に向かおうとしたら思いっきり阻止されてしまった。
転がり込んだ敦賀さんの腕の中、思いっきり敦賀さんの心臓辺りにおでこを押し付けてしまった私に、敦賀さんは紳士然としたいつもの声で、ここでどうぞと促した。
「 え、ここでっ?! 」
「 ええ、ここで 」
ええって、どんな返しですか。
しかも好きな人の前で鼻をかむって、乙女じゃなくてもすっごく勇気がいることなんですよ?!
でもでも、このまま下を向いていたら間違いなく鼻が垂れるに決まってる。
だから、私は覚悟を決めてかみました!
思いっきりズビバビバーって、かみました。
「 ・・・すっきりした 」
「 それは良かった 」
「 あの、敦賀さん、どうでした?! 」
「 うん、凄く大きな音だった 」
「 そっちじゃありません!だから部屋を出ようとしたのに・・・ 」
「 あははは、うそうそ、ごめん。すごく良かったよ。君の紅葉はとてもキレのある動きをするくの一だった。ただ・・・ 」
「 ただ?! 」
「 ただ、そうだな。俺だったら瀕死になっている君を前にあんな風には口説かないかな 」
「 は?! 」
「 ちょっと再現してみようか 」
「 はえ、えっ? 」
そう言って敦賀さんは隣の私をソファから浮かせると、そのまま床に押し倒した。
寸分違わず私を紅葉姿勢にさせ
2、3歩離れたところから敦賀さんが私を見下ろす。
「 出来るなら、もっと違う形で出逢いたかった 」
いきなり始まった泥中ごっこ。
映画の兵蔵とは全く違う優しい声音の敦賀さんは、
柔らかいトーン、愛おしむ眼差し。
・・・・え。
ここで私、作品と同じセリフを紅葉として返すべき?
逡巡している間に敦賀さんがその場でパッと跪いた。
えっ。
「 君が泣いているとき、いつでも抱きしめてあげられる場所にいたかった。
君が喜んでいるとき、一緒に喜んであげられる場所にいたかった。
そうしたら、あの男に君が傷つけられることもなかったかもしれないのに 」
あの男、って、志津摩さま?
それは敦賀さんバージョンの兵蔵のセリフなんですか?それとも・・・
「 つる・・・ 」
「 でもこれからは全力で駆けつける 」
「 え 」
「 傷つけられた君に最初に手を差し伸べるのは俺。俺は君を放っておかない、放っておけない。君に何かがあったなら必ず俺が助けるから 」
寝転がったままの私の頬を軽く撫で上げ
敦賀さんは私を掬い上げるとそのままキュウっと抱きしめた。
敦賀さんの熱が伝わって
敦賀さんの香りに包まれて
ぜんぜん力を緩めようとしない敦賀さんの腕の中で
予想外に萌え悶えて瀕死になってゆく私。
あうぅぅぅ~~~。照れくさくて仕方がない!!
っていうか、この状況、どうすればいいのでしょう。
こんな事を言われたら、紅葉のセリフなんて一つも出て来やしませんけどぉぉぉぉ。
「 ・・・・・最上さん? 」
「 はい!! 」
「 良かった、生きてた。反応してくれないからまた全機能スリープされてしまったかと 」
「 違います!てっきり敦賀さんバージョンの兵蔵で来るのかと思ってたのに、全然違ったからっ 」
「 ああ、なんだ。俺ちゃんと言ったよね?俺だったら、瀕死になっている君を前にあんな風には口説かないって 」
直訳。
敦賀蓮だったら、瀕死になっている最上キョーコを前にあんな風には口説かない。
「 わっかりにくっ!! 」
「 あははは、そこは察してくれなくちゃ 」
「 そういうハイレベルをいきなり私に求めないでくださーい! 」
「 ハイレベル?そっか、ハイレベルだったか。それはごめんね? 」
「 その笑顔、全然悪いと思っていませんよね? 」
「 うん、全然。ただ嬉しくて 」
「 え 」
「 君がこうして俺の隣にいてくれるのが嬉しくて。こうして俺と笑顔で会話をしてくれているのがとにかく嬉しい。この時間がこの世の何より尊くて愛おしいよ 」
「 ・・・・・っっっ!! 」
「 あれ?最上さん???? 」
「 恥ずかしいっっ!!やっぱり、私ごときに敦賀さんの相手をするなんて無理なんだわ!! 」
「 こらこら、いきなりそっちに切り替わらないで。ごめんね、俺、浮かれすぎてて 」
「 え 」
「 ・・・君がここに来てくれたのって久しぶりだろ。だから、普段思っていた事を全部いま口に出しちゃっているんだ。だって二人きりだし? 」
「 浮かれてる?敦賀さんが? 」
「 浮かれてる。生まれて初めて、こんなにも 」
相手の気持ちが分からなくて、不安になるのは女の子だけじゃないんだよ。
もしかしたら、あれと同じ?
不安なことだけじゃなくて
嬉しいって思うのも?
敦賀さんと私で差はないの?
「 ・・・・たしも 」
「 ん? 」
「 私も浮かれていました。敦賀さんと二人で会えるの、久しぶりだったし、うううう嬉しくて 」
「 本当に?それを聞けて俺も嬉しい。この気持ち、大切にしようね 」
「 ・・・はいっ 」
今日、私は一歩を歩むことが出来たかな。ううん、出来たんだって信じたい。
常に自分を隠さず正直に。
敦賀さんの前ではそれでいいのかもしれない。
出来ることならこれから先も、少しずつで構わないから
敦賀さんのことも、自分のことも
ちゃんと分かっていきたいな。
E N D
原作で言うとこの時期の蓮くんは間違いなくルートプロジェクトで忙しいでしょうけど、二次作なので問題なーい♪
それよりですね、私は最新号を読んでちょっとショックだったのですよ。
だってあの内容ですと、もし泥中の次作映画話が持ち上がったとしても、キョーコちゃんに声はかからないってことじゃないですか!
ということはですよ?「恋は甘い囁き」 のようなスピンオフ話すら湧き上がらないってことでしょー?!あああああ、信じられない、なんてこと。
でも、いいか。別作品で蓮くんと共演してくれれば。
⇒初めの一歩◇拍手
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