恋は甘い囁き ◇前編 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 一葉です。いつも本当にありがとうございます。

 弊宅500記事を記念して、一般枠からリクエストを下さったセーちゃん様からお与かり致しました記念リクエストをお届け致します。


 500記事記念リクエストは一葉から8名様にリクエスト権をお渡しする形を取らせて頂きましたが、実は500記事記念リクお知らせ記事拍手内にて、二週間限定で一般枠リクエストを受け付けておりました。


 そこからリクエストを下さったのはなんと魔人さまお一人だけ。


 頂いたリクエストに関しては後編の後記でお知らせいたしますが、原作沿いだというのになかなか至難で思いつかず。それが先日、お仕事中にふと(笑)

 ちなみにお話自体は、キョーコちゃんが紅葉役を演ったあと、こんな事あったらいいな妄想に準じております。



 ネタバレ等一切ありません。

 楽しくお付き合い頂けましたら幸いです。


■ 恋は甘い囁き ◇前編 ■





「 最上さん、ちょっと…… 」


「 はい? 」



 某テレビ局内で偶然、敦賀さんと一緒になった。

 先輩俳優から名指しで呼ばれて彼の元へ歩みを進める。


 敦賀さんの前で足を止め、一礼してから私が敦賀さんを見上げると、それがドラマのワンシーンを彷彿とさせてしまったのだろう。周囲の人が一斉に口を開いた。



「 おっ、なんだ。どうした、恋人同士の密談ですか~? 」


「 いや~ん♡ 私、お二人はお似合いで良いと思う~。早く結婚の報告が聞きたいわ~ 」


「 いやいや。その前に交際宣言とかした方が良くないか?ちゃんと順序を踏まないと 」


「 順序?それこそ要らないでしょ。だってもう二人は公然の仲なんだし。いいの、いいの。気にしないでそこでラブラブしちゃって 」


「 そうよね。こんなに大勢の人が二人を祝福しているのよ。早く倖せの報告を聞かせてね~ 」



 もう何度この類のことを言われただろう。

 ニマニマしながら私たちを見守っている周囲の視線を浴びた私は気恥ずかしさから顔を赤く染め、たまらずその場で俯いた。


 実は最初のうちは抵抗を試みたこともあったのだ。けれど敦賀さんや社さんからは敏感に反応しない方がいいと言われてそれから私は敢えて口をつぐむようにしていた。



 だけど針の筵過ぎる。

 敦賀さんとのことは私の盛大な片想いだというのに、まるで両想いかのようなフィーバーぶりで本当に困っていた。



「 すみません。俺達のことを応援して頂けるのは嬉しいですけど、出来ればからかわないでもらえます?この子、そういう事に慣れていないので… 」



 何てことを言いながら敦賀さんの顔だってどこかニヤけているのだ。

 余裕たっぷりって感じで敦賀さんは堂々としていたけど私はもう限界だった。


 だって私、本当にこの人のことが好きなのだもの。その私の気持ちがバレバレみたいな気がして生きた心地がしないのだもの。



「 きゃん♡ 彼女をかばう敦賀さん。まさしく好感度アップ! 」


「 うーん。やっぱり芸能人だって男は堂々としているのがカッコいいよな。いや、ほんと二人はお似合いですわ 」


「 あの…だから……。いや、もういいや。ちょっと最上さん、二人になりたいからこっちにおいで 」


「 でも敦賀さん。私もうすぐ収録が… 」


「 あーん。いいわよ、いいわよ。5分後に戻って来てくれれば 」


「 5分か。それじゃハグとチュ―ぐらいしか出来そうにないな。ごめんな、敦賀くん、平気? 」


「 やっだ。おっさんか!そういうのは二人っきりになった時にいっぱいしているんだろうから余計なお世話なの! 」


「 あの、ですから……。俺は良いんですけど出来れば……からかわずに温かく見守って頂けると… 」



 余裕の笑顔を浮かべた敦賀さんがそっと私の肩を抱き寄せ私の頬に右手を添える。


 大丈夫?と小首を傾げて顔を覗かれた私は敦賀さんを直視することが出来なくて、返事もしないで顔を背けた。





 実は、いま私がこんな事になっているのは、ある女性の呟きがきっかけだった。



 泥中の蓮のオーディションを受け、願いかなって手中に収めた紅葉役。


 配役が決まってから撮影は急ピッチで進み、あれよと言う間にクランクアップ。有難いことに映画は大ヒットとなった。



 実写化された物語は原作の世界観を損なわないようにと配慮され、私、京子こと最上キョーコが演じた紅葉もその通り。

 叶わぬ恋心を抱きながら二本の刀を駆使して血にまみれ、志津摩のために戦いくれて物語の幕は下りた。



 その紅葉の切ない恋心に共感してくれた人がいて

 映画を見てくれた観客の一人がSNSでこんなことを呟いたのだ。





 ――――――― もう、紅葉が可哀想だった!!

 あんなに志津摩を慕っているのに報われないのは切な過ぎる。紅葉が倖せになるお話が見たいと思ったよぉぉ…(。>0<。)




 意外にもその呟きが瞬く間に拡散し、多くの人が共感してくれたのか紅葉が倖せになる話が見たい…の声はあっという間に高まった。

 それが、各情報番組でも取り上げられるようになるとさらに賛同の声が強まり、やがてはそれが映画関係者やスポンサーを動かすまでに至ったのだ。


 そうして紅葉にスポットを当てた話が作られることに。



 映画を見てくれた多くの人からの呟きで実現する運びとなったことから、紅葉の相手役は若手人気俳優の中から一般投票によって選ばれることになったのだけど、その際、主役を演じていた古賀さんが、泥中の蓮の宣伝をするたびに志津摩のオファーが最初は敦賀さんだったことを暴露していたこともあって、スケジュールの都合で志津摩を演じられなかった敦賀さんに多くの票が集まった。



 そして紅葉の相手役が敦賀さんになったのだ。



 大先輩の役どころは、紅葉が幼い頃から彼女を見つめ、秘かに紅葉を想い続けて来た忍者であり、かつ志津摩のいとこの蓮真役。


 スピンオフはお金と時間の関係からTVドラマで放映されることに。



 前後編というとても短いドラマではあったけれど、視聴率は驚くほど高かった。

 そして、暗い森の中で叶わぬ恋に疲れ果て、一人泣き叫んでいた紅葉のそばにいつでも駆け付け、少しでも紅葉の辛さを癒そうと彼女を抱きしめ続ける蓮真のそれにキュン萌えする人が続出。


 一途に紅葉を想う年上忍びの蓮真は多くの女性の心を惹きつけた。



 視聴者の希望に反し、二人はドラマの中で両想いになることはなかったのだけれど、ドラマのラストシーンで寄り添ったまま眠りに落ちた二人が迎えた夜明け。

 優しく胸を貸してくれた蓮真の腕の中で目覚めた紅葉が、蓮真を見上げて信頼の笑顔を浮かべた所でエンドが付いたその終わり方に多くの人が二人の未来図を猛烈に想像。


 それがまた大きな波紋として広がった。



『 二人はこのあと絶対、付き合うでしょ!! 』


『 絶対そうだよ!だって付き合うしかないっしょ! 』


『 紅葉、蓮真に決めちゃいなよ!蓮真がいいよ。志津摩より絶対イイ男だって! 』


『 蓮真、いい!!優しいし、包容力ある! 』


『 紅葉の傷を優しく癒すのは絶対に蓮真だよね! 』



 などなど。


 でも、自分で演じておいてなんだけど、敦賀さんが相手だったからとかそういうのは関係なく私も蓮真は素敵な人だと思った。


 志津摩に対して多くの嫉妬を持ちながらも、彼はじっと耐え忍び、ただ紅葉のことを深く想っていたのだ。



 世の中に無償の愛…というものが本当にあるのだとしたら、蓮真は間違いなくそれを持っている男性だと思えた。


 世論の声に合わせて急遽このドラマのシナリオを手掛けた原作者の実力を目の当たりにした気分で、この作品が人気のある理由が改めて判った気がした。



 ドラマ終了後、しばらくのあいだ蓮真推し現象は続き、それを受けて関係者各位は視聴者の熱が冷めないうちにとすぐさま映画のそれと併せた特別DVDセットの販売に乗り出した。

 そしてまた二人の恋の行く末が超絶な話題に。



 ちなみに言うと、同業者の多くはリアルタイムでドラマを見られなかった人が多かったらしい。

 それだけに、これだけ世間を騒がせているドラマなら…と意識的にDVDを手に入れ鑑賞してくれた人が居た様で、ドラマ放映直後には無かったのに、DVD発売後、私はあらゆるところで色々な人に声をかけられた。


 その多くが

 紅葉は蓮真と付き合うのよね?…という確認で、その度に私は頭を抱えた。



 だって、同業者なのにドラマと現実を混同するのはどうか…と思うもの。


 けれど、このドラマの影響はそれだけにとどまらなかったのだ。






 ⇒中編へ続く


一葉、初めて物語の登場人物に名前を付けてしまったぜ。

お話を進めるにあたって名前が無いと不便だったからなのだけど、蓮真としたのは分かり易い様に蓮くんの一文字と志津摩のマの字を取ったつもり。


PCでレンマを漢字変換したら「蓮真」って出てきたからこれでいいやと思って(笑)



さて、いつもの如く前編より中編が、中編より後編が長いお話となっております。順次お届けしてまいりますのでどうぞよろしくです。



⇒恋は甘い囁き◇前編・拍手

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