両想い蓮キョ、お届けします。
えっと、前にもこの分類をお知らせしたことがあるのですが、弊宅では「成立後」の場合は公言済みという設定で、「両想い」の場合は非公言。つまり、46巻時点での設定です。
■ こんなことでメロるんだ ■
いま思えば、付き合っただけの女の子なら何人もいたよ。
でも、自分から好きだと告白したのはあの子が初めて。
でもそれ、しょうがないよな。
だってあの子が俺の初恋の子なんだから。
某局の廊下を自分の楽屋に向かって歩いてた。マネージャーの防御付きで。
だから先ほど聞いたばかりの社さんの言もあって、俺の警戒心はちょっとだけ薄れていた。
「 今日の今の時間、キョーコちゃんもこの局にいるはずなんだ 」
てっきり映画の番宣的な・・・と予想したのだけど、聞くところによると、ナツとして出演したドラマのスピンオフの関係らしい。
そうなんだ。
俺としてはどっちでもいいんだけど
あれから顔を合わせる機会がなかったから
少しでいいからあの子と話がしたいかも。
途端に俺の口数が少なくなって、視点だけがあちこちと移動し始めた俺のそれに社さんは気づいたはず。
気づいて、でもそれを口にしないのもいつもの事。
次の瞬間、俺の片耳がダンボになった。
「 あ、京子ちゃん!!ねぇ、今日このあとも仕事? 」
「 いえ、今日の仕事はこれで終わりなんです 」
「 そうなの、良かった!京子ちゃんの事務所ってLMEなんでしょ。これから私たちと一緒にお茶しない?それで色々お話しましょうよ 」
「 え?それって、敦賀さんの話が聞きたいだけじゃ・・ 」
「 ん? 」
「 あ、いえ、ごめんなさい。このあと仕事は無いんですけど、別の用事がありまして・・・ 」
「 別の用事?なに?それ終わってから合流でもいいよ? 」
「 あ、すみません。それは無理かと。なぜかと言うと・・・・・じゃーん!ご覧ください、この美しいプリンセス・ローザ様をっ!! 」
「 っっ?!!ぷ、りんせすローザ?? 」
「 はいぃ!!今日は私、プリンセス・ローザ様が鎮座するにふさわしい、新たなペンダントトップの開発に勤しもうと思っているんです!!そのために材料を買い揃えに行かなければという使命があり、そのあとは制作に入りますので時間が無いのです。すみません、せっかくのお誘いなのに、申し訳ありませんが急いで帰らねばならないので!! 」
「 あ、そ、そうなんだ。それは大変そうね。そうなの、どうか頑張って 」
「 はいっ!ありがとうございます。そんな訳でお先に失礼しま~~~~す!! 」
そう言って、張り切った笑顔で敬礼を捧げた最上さんが
トムがジェリーを追いかけるかの如く
遠く離れていた俺に背を向け、ぴゅーっと走り去ってゆく。
そんな訳で結局、あの子を見つけることは出来たけれども、話をすることは出来なかったんだけれど・・・・。
「 ・・・・・・っっ 」
「 蓮。カオ 」
「 っっっ!!! 」
警戒心が薄れていたせいなのか、自然とほころびてしまった顔を瞬時に戻すことがどうにもできず・・・。
俺は左手で顔を隠して
右肘を頭より高く持ち上げて
壁に額をこすりつけ、その姿勢のまま微かに肩を震わせた。
後姿の俺に向かって社さんが呟いた。
「 大事にしてくれているみたいだな、キョーコちゃん。お前が仕込んだプリンセス・ローザを 」
「 ・・・・・・そのようですね 」
「 で、お前はそんなことでメロると。天下の敦賀蓮も好きな子にかかれば形無しだな 」
「 放っといてください。っていうか、そんなこと迂闊に口走らないでください 」
「 ほっとけないから突っ込んでんだろ。あと、マネージャーとして一応言っておくが大丈夫だ。誰も聞いちゃいないから 」
俺だって
俺だって
俺だってね
付き合っただけの女の子なら何人もいたんだ。
だけど、好きになったのはあの子が人生初だから。
色んなことが新鮮で、あの子の一挙一動が俺に色んな感情を覚えさせる。
そしてまたもや今日、俺は新たなことを知ってしまった。
好きな子の言葉なら
こんな些細なことでもメロるんだって。
・・・・・大切に、してくれているんだ。
ただそれを知っただけで
この上もなく幸せになれるということも。
E N D
ふと思いついた。キョーコちゃんの言動で人知れずメロメロっている敦賀蓮、萌える(笑)
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