SS 恋のスパイス | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもありがとうございます、一葉です。

 こちらは総拍手83300キリ番に該当した、匿名希望様からのリクエスト成就作です。


 現代パラレル蓮キョです。

 お楽しみいただけたら幸いです。



■ 恋のスパイス ■





 平日午後2時45分。

 リザーブした時刻通りにショップに足を運んだ。


 自動扉が開くと、俺に気付いた最上さんが、レジ向こうから笑顔で俺を出迎えてくれた。



「 いらっしゃいま・・・敦賀さん、お帰りなさいませ 」


「 ・・・ただいま 」



 花の笑顔がとにかく可憐だ。

 本日二度目の訪問だが、来て良かったと心の底から思った。



「 約7時間ぶりですね。再度のご来店嬉しいです 」


「 俺も。美味しいコーヒー(より君)に出会えてとっても嬉しい 」


「 うふふ。午後はどのように抽出しましょうか 」



 この店のコーヒーの味に魅了され、惚れこんで通い始めて3ヶ月。

 彼女、最上キョーコさんが淹れてくれるコーヒーは本当に旨いのだ。


 サイフォン、ブラックイーグル、クローバー、プアオーバー、コーヒープレス、モッドバー、ナイトロコールドブリュー、ケメックス。


 コーヒーの抽出方法にはいくつか種類があるけれど

 特に俺が好んでいたのは、バリスタの巧みなハンドドリップ技術で味わえるプアオーバーと、バリスタの知識と抽出技術がひとつになって、高品質のエスプレッソショットが味わえるブラックイーグルの2つだった。



「 そうだな。朝、ブラックイーグルで味わったから・・・ 」


「 プアオーバーですね。かしこまりました! 」


「 バレてる(笑) 」


「 だって敦賀さん、いつもそのどちらかですから。豆はどうしましょうか? 」


「 最上さんのお勧めで 」


「 はい、かしこまりました!少々お待ちくださいね 」



 この世の全ての花さえ霞んでしまいそうなほど花開く微笑みを浮かべた最上さんが、バリスタ位置に戻った。


 店内はほぼ満席状態になっていて、人気のほどをうかがわせる。




 ・・・あああ、可愛いな。


 コーヒーの味よりなにより君に惚れ込んで

 通い詰めること早3ヶ月。


 名前を覚えてもらうのにそれほど時間がかからなかったのは

 ネットリザーブのおかげだろう。


 バリスタリストをチェックして

 彼女の出勤を確認し

 居れば必ず彼女を指名して

 毎回、毎日、最上さんに淹れてもらっているから。

 ※蓮くんはキョーコちゃんが出勤しない日には来店しておりません。



 ・・・もうそろそろ、誘ってもいい頃かな。

 でも迷惑な顔をされたらどうしよう。

 それを考えると迂闊には声を掛けにくく

 こんな風に通い詰めるだけの日々だった。



 でも最近・・・。



「 敦賀さん、お待たせしました!どうぞごゆっくりお過ごしください 」


「 うん、ありがとう 」


「 お次のお客様、どうぞー。あ、香凪さん、いらっしゃいませ 」


「 どうも、キョーコちゃん。また来ちゃったー 」


「 良いんですよー。何度でもいらしてくださいねっ! 」



 とんだライバルが出現した。


 二人の会話から分かった事。


 あの女の名前は楠香凪というらしい。


 一見すると仲の良いお友達風だが

 俺にだけはちゃんと分かった。

 あの女はそうじゃない!!!


 彼女は絶対に最上さんに標準を絞っているのだ。



「 ご注文はお決まりですか? 」


「 そうねー。キョーコちゃん♡がいいかしら 」


「 ・・っっ!!! 」



 何を言い出すんだ、あの女。

 コーヒーが器官に入るとこだっただろうが!



「 あはははは。残念ながら私は売り物ではないのでー 」



 そうだ、そうだ。もっと言ってやりな、最上さん。

 私は敦賀さんからのお誘いしかお受けする気ありませんのでー、とか何とか。


 もっとも、現時点で俺と最上さんは客とバリスタ以外の何物でもないけれども。


 いいだろ、自分の好きに妄想するぐらいはさっ。



「 あら残念。ダメなの?じゃあいつものコーヒーで 」


「 はい、かしこまりました 」


「 ねぇ、キョーコちゃん 」


「 はい? 」


「 今度、二人でどこかに遊びに行かない? 」


「 え? 」


「 キョーコちゃんがお休みの日に。女同士ならそれほどかしこまらなくていいから気楽でしょう? 」


「 っ!! 」



 声高らかに微笑みながら、楠香凪がチラリと俺の方を見た。



 あの女、判ってやっている。

 俺が最上さんに片想いをしているのを知っていて・・・。



 させるか、そんなことっ!!



「 あの、最上さん!! 」


「 きゃうっ?!はいっ? 」


「 あ・・・大声出してゴメンね。あの、サンドイッチ、もらってもいい? 」


「 はい!少々お待ちくださいね 」



 覚悟を決めろ、敦賀蓮!

 もう迷っている場合じゃないだろう。


 ライバルがいるのは良いスパイスになる・・・なんて友人はあっけらかんと言っていたけれど要らないよ。



 じょーだんじゃない!!

 最上さんは俺の彼女になる人だ。

 他の誰にも渡さない。


 楠香凪!

 お前にだって俺は絶対負けないからな!!






     E N D


このあと蓮くんがキョーコをちゃんを誘えたかどうかは、ひみちゅ。


頂きましたリクエストは

『 香凪さん登場、成立前のパラレル。キョーコちゃんが香凪さんにロックオンされちゃって焦る蓮の話 』でした。お粗末様でした。



⇒恋のスパイス・拍手

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