今日は2021年、蓮誕。でもさすがに9回も蓮くんの誕生日を迎えると、ネタも出し尽くしています…。
それでも何かお届けしたいな~と思っていたら、こんなパラレルを思いつきました。
蓮くんちょこっとしか出て来ませんけど(笑)
■ スタイリストスタイル ■
最近の最上キョーコは、とにかく腹黒いと自分で思う。
仕事で嫌なことがあったとき。
むしゃくしゃしてしょうがないとき。
どうしようもなく鬱憤が溜まっちゃったときとか
そういう汚泥の滓のような憂さを自覚したときに私は決まってこれをする。
それは、お洒落なアパレルショップにたった一人で優雅にお出かけすることだ。
もちろんウィンドウショッピングな訳だけど、ただお洒落なだけの店じゃない。
お店は必ず値段だってデザインだって一段も二段も高いところが鉄則である。
なぜかと言うと、そういうショップの店員さんは、まず外見で客を判断するから。
ご近所ルックを意識し、トレーナーにレギンスを合わせ、スニーカーを履いて、いかにもお洒落のことを知りませんって感じに身を包んだ私は、今日も憂さを晴らすべく、某有名アパレルショップに足を運んだ。
さて、今日はどんな反応が見られるかしら♪
自動ドアではなく、今日はドアマン役なのだろう売り場の女性が、入り口に立った私に気付いて店内側から扉を開けた。
「 いらっしゃいませ 」
一歩、踏み入る。その途端に冷めた視線が私に集まったのを私は肌で感じ取った。
そのまま歩みを進めても誰も近づいて来やしない。
ここにいる店員の誰もが、さりげなくアイコンタクトを交わしているのが分かる。
たぶん、こんな事を考えているのだろう。ご近所ルックで店に入って来た私をひと目見て。
『 ねぇ、すごくない?いま入って来た客!! 』
『 分かる!!あのひと、ダサいからどうせ買わないわよ。接客するだけ、無駄無駄 』
『 もう、最低。冷やかしとかやめてよね~~~(笑) 』
『 うちのお洒落な服はあなたのような人には無理よー 』
なんてとこかしら。
たとえば同じラックの服を、他のお客さんと並んで見たとしても。私に声はかからないんでしょうね。
「 いかがですか。そちらは昨日入荷したばかりの新作なんですよ 」
「 わぁ、そうなんですね。どうりで、春を先取りした色合いだと思った。綺麗でお洒落な色ですよねー 」
「 よろしければ是非試着してみて下さい 」
はい、やっぱりそうですね。
いいわよ、それそれ。
そんなあなたたちが見たかった。
私は何にも気づかないふりをしながら、腹の中で思いっきりあっかんべーを撒き散らした。
ねぇ、あなたたちって本当にプロですか?
そんな風に外見だけで客を分別して良いの?しかも私が誰だか判らない?
子供の頃からお洒落が好きで
一日中、スタイリング妄想に明け暮れた挙句
それを仕事にしちゃったらあっという間に有名になっちゃったっていう、プロスタイリストの最上キョーコなんですけど。
そうよね、誰も気づくはずがないわよね。
だってあなたたちが見ているのは人じゃなくて服だもの。人の外見だけだもの。
普段の私なら間違いなく、ショップの店員さんは私を見つけるなりリスペクトしてくれるのですけどね。
お客さんの数より店員の数の方が多い店内で
ラックの服を丁寧に見て回りながら
私は自分がこれ、と思う服をいくつか手に取った。
それでもやっぱり声を掛けて来る人は一人もいなくて
ふとこんな事を実感する。
やっぱり、服って大事よね。
だって服装ひとつで社会からの見え方が全然違っちゃうんだもの。
カジュアル、綺麗め、コンサバ系
フェミニン、ガーリッシュ、セクシー系
ファッションの系統には色んなものがあるけれど
その中でも注意しなきゃいけないのはやっぱりカジュアル。
物によってはお洒落から縁遠い人にしか見えないことになっちゃうから。
そうね。ちょうど今の私のように。
「 すみません。これ、試着してもいいですか? 」
「 え?あ、はい、大丈夫です。どうぞ、こちらへ 」
「 ありがとう 」
腹の中で秘かに笑っているのだろう店員に向かって、密かに腹の中で笑い返しながら、私は試着室のカーテンをさっと閉めた。
さぁ、見ものなのはここからよ?
外見は違っていても、頭の中はいつも通りの私なんですからね。
試着室から出たあとで、いつものように店内を練り歩き、とっかえひっかえにスタイリングを始める。
すると今まで私のことを腹の中で笑っていたのだろう女性店員さんたちが、一斉に唖然とした顔で私を遠巻きに眺める視線を感じた。
これに得も言われぬ快感を覚える。
そう、つまり。
これが私の憂さ晴らしというわけです。
どうです、相当腹黒いでしょう?私ってば。
でもこれは当分のあいだ続ける気。
だって面白いんだもの。
「 ・・・このワンピースに合うベルトって無いかなぁ♪ 」
ベージュが基調のドルマンスリーブのロングワンピは、ウエストの位置が高めでスタイルを良く見せてくれる一品だった。けれどクライミングウォールのようなデザインは少しだけ単調気味。何かアクセントを加えなきゃ。
「 そうね。金の飾りがついた黒の皮ブーツ・・・に合わせて、黒のベルトなんて素敵かも 」
でも、ありきたりなベルトじゃ論外だわ。
お洒落で、映えで、可愛くなくちゃ。
「 お客様。ベルトをお探しならこちらはいかがでしょうか? 」
「 え・・・ 」
突然話しかけて来た男性から差し出されたベルトはとても面白い形をしていた。
バックルが溶けた知恵の輪のように大きく歪んだ円を作っていて、その大きな口にベルトを通し、穴に金具を固定してベルトを潔く垂らすというもの。
ふくらはぎまで落ちたベルトの長さが、足長効果を発揮している。なかなかいい、と素直に思った。
「 すご、こんな面白いデザインも置いてあるんだ。なかなかいいお店なのかも、ここ 」
店員さんのレベルはイマイチみたいだけど(笑)
「 でしょう?ご評価いただきありがとうございます。あなたはそう思ってくださるんじゃないかって、実はそわそわしていたからとても嬉しいです。あなたが入店してきた時から、いつ話しかけようかってタイミングを計っていたんですよ、俺 」
「 ・・・え? 」
「 緊張しちゃって・・。俺、あなたのファンなんで 」
「 はい? 」
「 最上キョーコさんですよね?プロスタイリストの・・・ 」
「 ・・・っっ!? 」
だけど今日
腹黒い私の前に、おかしな男が立ちはだかった。
その男の左胸を飾っている、店長・敦賀・・・と書かれたネームプレートを見つめながら
この先、色んなことが変わってゆく予感がした。
E N D
憂さ晴らしの方法が変わる予感ね(笑)
ちなみに以前にもキョーコちゃんがスタイリストさんなパラレルの読み切り を書いたことがあるのですが、それとは違うお話でお届けしました♡(〃∇〃)
⇒スタイリストスタイル・拍手
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※蓮くんside書いてみました⇒「スタイリストスタイル・2」
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