恋は甘い囁き ◇後編 | 有限実践組-skipbeat-

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 一葉です。いつもお付き合い頂きありがとうございます。

 弊宅500記事を記念して、一般枠からリクエストしてくださったセーちゃん様リクのラストをお届け致します。


 長いですから覚悟して下さいね♡

 お愉しみ頂けたら幸いです。



 前のお話はこちらです⇒恋は甘い囁き【前編中編】


■ 恋は甘い囁き ◇後編 ■





 

 その所為で、敦賀さんへの想いを隠せなくなっている自分がいた。




「 京子ちゃん、メール? 」


「 あ、はい。そうみたいです。誰だろ 」


「 おや。誰だなんてわざとらしい 」


「 ふえっ? 」


「 そうよぉ。もしかしなくても敦賀くんでしょ?だって京子ちゃんの顔、いま危険なぐらい崩れているもの 」


「 うっ……嘘です!!崩れているはず……っ!!! 」


「 嘘ウソうそ~。だって京子ちゃん、いま倖せオーラ全開でものすごいニヤけているじゃない 」


「 あはははは。自覚ないんだ 」


「 ……っ……ちが……っ…… 」



 それこそ、否定するのが無駄ってぐらい緩んだ頬が戻らない。




 だって、仕方がないじゃない?


 叶わないと信じて疑いもしなかったこの恋が、周りの声援を受けて成就しかけているような気になったとしても。



 敦賀さんが言った通り

 敦賀さんは周りの言葉に従順になって私に接してくれているだけに違いないのに、だけどその態度はまるで本当に私を想ってくれているかのようだった。



 紅葉を優しく見守りながら、幾度も真綿のように甘く包み込む蓮真の如く。




 だから私は敦賀さんの姿を見るたびに心が震えて


 敦賀さんの声を聞くたびに鼓動を高鳴らせる自分がいて


 そして敦賀さんが私に近づいて来てくれるたびに私は

 私たちの心の距離が縮まっているような錯覚を起こしていた。



「 違くないでしょ。だって実際にキョーコちゃん、敦賀くんのことが好きでしょ? 」


「 うえっ?!あの、いえ、そりゃ、敦賀さんは事務所の英雄ですし、尊敬する大先輩ですから後輩としてはそれは至極当然のことで… 」


「 なはははは…。英雄って… 」


「 京子ちゃん。それ、俳優の間違いでしょ。なにテンパっちゃってるの、いまさら~ 」


「 ……っっ!!!! 」


「 そんな恥ずかしそうに肩を縮める必要ないわよ。だって敦賀くんだってそうなんだから。そこをどうして隠すのかな二人とも~。見ていて二人ともバレバレなんだから隠す必要ないでしょ。でもそんなとこが可愛すぎ♡ 」


「 な…… 」



 待ってください。なんですか、それ。

 あなたは敦賀さんの何を見てそんな事を言うんですか。



 敦賀さんはただ

 蓮真フィーバーを受けて周りの人達の希望を挫かないようにと、それをいつでも心に留めて努めている凄い人なだけですよ。




 そりゃ、私は敦賀さんのことが好きですよ?

 本当の本当に大好きですよ。


 ドラマを演じている間、幸せ過ぎてたまらなかった。



 泣いている私を抱きしめてくれる蓮真の腕は、悲しみにくれた私のそれを受け止めてくれた敦賀さんそのもので…。


 正直に言えば、あのドラマで誰よりも私が一番、現実と物語の区別をつけられていなかったかもしれないぐらいに。



「 もーがみさんっ 」


「 ………っ 」


「 最上さん! 」


「 うきゃっ?!敦賀さん、いつの間に? すみません、ボーっとしていました 」


「 知ってるよ。顔を出すからってメールを入れたのにその返信がないばかりか、何度話しかけても反応すらしないんだから 」


「 すみませんでした!! 」


「 おー、お二人さん。相変わらず仲が良いね。じゃ、こっちは退散すっか 」


「 スタジオの端っこだからってエッチなことするなよ? 」


「 しませんよ(笑) 」



 しない!しないです、する訳ない!

 だって、どうして私と敦賀さんがそんなことっ……!!!



「 ……っ!!! 」


「 ん?最上さん? 」


「 うにゃっ……はい……っっっ… 」


「 顔真っ赤。どうした?いまなにか想像していた? 」


「 そ…… 」



 やめて下さい、敦賀さん。

 私の顎を持ち上げながらそんなに顔を近づけないで。



 私、もうダメなんです。

 あなたへの気持ちをぜんぜん隠し切れなくなった……。



「 京子ちゃーん…って……ありゃ、いま敦賀くんと一緒か。じゃ、ちょっと遠慮しておこう 」


「 あっ…… 」



 遠慮なんてしないでくださいって言いたいのに

 そんな風に気遣われるのが嬉しくて仕方がない。



 敦賀さんはこの現状をどう思っているのかな。

 知りたいけど今さら聞けない。



 だけど、敦賀さんも悪いんですよ?

 敦賀さんだっていまこの状況を作り上げている原因の一人なのだから…。



「 最上さん 」



 やめて。

 そんな甘い声で私のことを呼ばないで。


 こらえきれずにあなたが好きですって口に出してしまいそう。



「 最上さん。ほら、逃げてないで顔をあげて? 」


「 ……っ…… 」



 もうだめ。

 この恋心は完璧にダダ漏れている。


 だって敦賀さんの顔を見ただけでこんなに嬉しくなる私がいるもの。

 いま目の前にいることが恥ずかしくて仕方がないのに、泣きそうなぐらい嬉しさが溢れる私がいるもの。


 もうこの恋はどうにも隠せない。



「 いやん、見つめ合う二人♡ 」


「 なんだ。いま頃こんな所で告白し合うのか? 」


「 結婚式はいつですか~? 」


「 そうねぇ。キョーコちゃんが高校を卒業したらいいんじゃないかしら?いいわね、若妻♡ 」


「 きゃっ♡ それ、素敵!!早く幸せな二人が見たいわね♡ 」



 何を言っているんですか。

 私はもう充分すぎるほど幸せです。



 ただ紅葉と蓮真を演じただけだっていうのに

 こんな風に公認カップルみたいに扱われるだけじゃなくて


 あまつさえ周りの人に祝福までされてしまったらもうどうにも身動きできない。



 だけど

 ねぇ、敦賀さん…………



「 敦賀さん…… 」


「 ん? 」


「 ……は、いつまでこれを続けるおつもりですか? 私としては……もうそろそろ…… 」



 一体いつになったら世間はこれに飽きてくれるのか。


 あのドラマが放映されてからもう半年が過ぎようとしているのに、なぜこのフィーバーは冷めないのだろう。



 私を見下ろす敦賀さんの視線から逃れ、顔を背けた私の頬を敦賀さんが強引に元に戻す。

 照れに照れまくった私の顔を見つめた敦賀さんは嬉しそうにクスリと笑った。



「 最上さん、俺を見る! 」


「 うひゃ……はい、すみません 」


「 ………本当だ。本当にダダ漏れだな、お互い 」


「 はい? 」



 私たちが近づけば近づくほど周りの人達が温かく微笑む中、私の前を陣取った敦賀さんが私の耳元にそっとうつ伏せ、信じがたい言葉を囁いた。




「 …………… 」


「 ……っ?!! 」


「 ね? 」



 …――――――― え?




 敦賀さん。…ね…ってなんですか?

 いまの囁きは空耳?




「 ……あの、敦賀さん?もうとっくにご存じだと思いますけど、私、ラブミー…… 」


 ラブミー部員なんですけど…って言おうとしたのに、周囲の人はそれを口にするのを許してはくれなかった。



「 きゃー!!紅葉が蓮真に私を愛してって言った!!!!しかと聞いた! 」


「 なにっ?!とうとう紅葉が素直になったか!京子ちゃん、頑張った!! 」


「 いまこそ結ばれる時なのね~。おめでとう、お幸せにね 」


「 だから気が早いよ。まずはお付き合いからでしょ 」


「 なっ…!!!! 」



 違うでしょ?その全部がおかしいですよ。


 だって私は最上キョーコであって紅葉じゃないし

 敦賀さんは敦賀さんであって蓮真じゃないのに。



 それに、付き合うっていうのは好き同士がすることで

 周りの人に後押しされたからって私たちが付き合うのはおかしいと思うのに。


 なのにどうして祝福だけが飛び交うの。

 なぜ誰も疑問を持たないの。



「 すみません。再三お願いしているんですけど出来ればこれからも温かく見守って下さい。ご声援は嬉しいんですけど、この子、いつまでたってもそういう事に慣れないみたいなので… 」


「 もちろんよ!温かく見守りながら応援しちゃう!! 」


「 やっぱり両想いが一番素敵よね。つい応援したくなっちゃうもの 」


「 ねー。でもそれが一番自然な形だからつい周りもそういう風にしたくなっちゃうのよね。だって二人ともバレバレだったもの 」



 色々な人からの喜声を受け

 満面に笑みを浮かべた敦賀さんが自然と私の肩に手を置く。



 そんな敦賀さんを控えめに見上げてみたら、敦賀さんもどこか気恥ずかしそうにしていて



 そして、私と視線がかち合った途端に頬を真っ赤に染め上げた。



「 ……つるがさ…? 」


「 やばい、不意打ちだった。ごめん。ちょっとだけ待ってて 」


「 え? 」



 あの、聞き間違いかも知れないので確認してもいいですか?


 バレバレだった…って、それって私の恋心のことでしょう?

 私の敦賀さんへの気持ちがダダ漏れだった自覚があるもの。


 だけど、どうして二人って言われるの?

 敦賀さんがどうしたっていうの?






 ――――――― じゃあそろそろやめにしとく?

 そうすると恋人同士になるのは今だよな。お互い好き同士なら…。ね?





 …ね?って

 さっき意味不明な後押しまでされてしまったその耳打ちされたセリフには、一体どんな意味があるの?




 頬を赤く染めてから、そっぽを向いてしまった敦賀さんは10秒ほどの間をおいて再び私に視線を戻した。

 その顔がひどく照れくさそうに歪んでいて、敦賀さんは大きな右手で自分の口元を隠していた。



「 ……最上さん。バレバレだったって。俺達の気持ち 」




 鼓動があり得ないほどの早鐘で

 息が上手く入って来ない。




 気持ちって

 それってまさか、敦賀さんも私を好きって意味ですか?



 それを頑張って確認したいと思うのに、どうやっても自分の口から声は出てこなかった。




 空気を求めて水面に顔を出した金魚のように口をパクパクさせている私に向かってもう一度、敦賀さんは私の耳元に近づき甘く恋を囁いた。




バレバレだったなんてカッコ悪いよな。

 俺、誰に気付かれるより一番に君が好きって君自身に伝えるつもりでいたのに…… 」


「 ……っ??! 」



 ゴキュンと激しく唾を飲む。


 慌てて私が上を向く。



 そしたら敦賀さんは顔を真っ赤に染めたまま

 見た事もないような照れ笑いを浮かべて愛おしそうに私のことを見下ろしていた。






     E N D


セーちゃんから頂いたリクエストって実はものすっごく長くって(笑)、一番に書いてあったのは『両片想いなんだけど二人の気持ちと態度が表に出まくりになっちゃった二人を…』


それ以外にも『二人にその自覚はないのに二人きり・外野アリ、そんなの関係なく漏れまくる』とか、『双方相手の言動に動揺しながらドキドキばくばくして、ギクシャクとは違う良い意味での自然じゃない態度』とか。


正直全てをクリアする内容を始めから考えるっていうのはかなり無理があるので、最初に書いてあったそれを主体として考えようと決めてほぼ一年……。

両片想いのまま二人の気持ちが出まくるってどんな状況だよ(笑)とツッコミにツッコミを重ねてやっと出てきたのがスピンオフでした。


私的には蓮真、かなり気に入っております。

ドラマの中だけど二人で夜明けを迎えるなんて!!目撃者(…って表現するのおかしいけど)多数に超絶萌え。…すみません、こんな奴で。

ちなみに両想いにしてってリクエストは無かったのですけど、そこはご愛敬ってことで(笑)


セーちゃん、リクエスト有難うございました。

そしてお付き合いくださったお嬢様方、ありがとうございました♡ 蓮真、超絶萌え♡



⇒恋は甘い囁き◇後編・拍手

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