いちよーっす( ̄▽+ ̄*)……いつもありがとうございます。
連載再開したまでは良かったが、予期していた通り予想通りにおさまらん事態。
何話になっても書く気でいますがいい加減、笑ってしまいそうだ。
さてこのお話は魔人sei様のリク罠№160 をお題として頂いております現代設定パラレル蓮キョ。
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
前話こちら【1 ・2 ・3 ・4 ・5 ・6 ・7 ・限8 ・9 ・10 ・11 ・12 ・13 】
■ 恋する生徒会長 ◇14 ■
息はだいぶ上がっていた。
疲労感だって半端なかった。
だけど俺はそれでも拳を強く握りしめた。
「 ……ようやくお出ましってところか 」
「 あ?…ああ、ワリィ。なんか待たせたか?どうにもウチの連中とやりあって満身創痍…って感じになってっけど、大丈夫か、あんた 」
「 驚いたな。お前がそんな四字熟語を知っているとは。卑怯な手を使う男の頭にまさかそんな知識が入っているとは夢にも思っていなかった 」
「 この前…バカにすんなって俺、言っただろうが 」
「 素直な思いのままを語っただけだ 」
ブン…と大袈裟な音をたてて彼女の幼なじみが拳を振り抜く。
一歩を退き空振りにさせることも出来たそれを俺は敢えて受け止めた。
「 ……っっっ!!! 」
重い。だが敵わない相手じゃ決してない。
視線同士を互いにぶつけ、互いに睨みを利かせ合う。
「 どうした?心なしか足がブレてねぇか?やっぱりお疲れか? 」
「 どうかな。ただ、お前とやり合う前の準備運動に余念がなかったことは事実だ 」
予想はしていた。
とにかくガラが悪いことで有名なアカトキの連中をこれだけ引き連れて来れるんだ。
それなりに腕が立つ男なのだろう…と予想はしていた。
「 そうか、お疲れさん。けど俺は手を抜くつもりはないぜ? 」
「 先刻承知っ!!! ……っっ!! 」
撃を受けるたびに腕がしびれる。
足を動かすたびに息があがる。
それでもいま自分の心に浮かんでくる感情が俺を突き動かしていた。
『 俺になんの連絡もよこさねぇとか、ムカツクにもほどがあんだよ! 』
俺の目の前で彼女に手を上げたコイツの事が許せない。
『 おい、キョーコ!! 』
『 わぁ、ショーちゃん?すっごい偶然、どうしてここに? 』
当たり前の様に名を呼んで
あの子の笑顔を当然顔で受け止めたコイツの事が許せない。
『 実はショーちゃん、私の幼なじみなんですけど、高校に入学してすぐ、新しく出来たお友達を私に紹介してくれたんです 』
こんな男が
彼女の人生に深くかかわっている事が許せない。
判ってる。理解している。
これが嫉妬ってやつだろう?
俺が知らない彼女の17年を知っているコイツが許せない。
疲労困憊になりながら、それでも俺を突き動かす大きな原動力となっていたのは今まで味わったことなど無いこの嫉妬ってやつだった。
「 …ふっ…。あんた、バカじゃねぇか? 」
「 なんだと? 」
「 キョーコなんかのために体を張ってるアンタが哀れに見えるぜ 」
「 ……キョーコ? 」
「 あ?……ああ、悪ぃ。なんだよ、俺がアイツを呼び捨てにしたからって、ンなあからさまに睨むことねぇだろ。クセなんだからよ 」
「 クセ…ね 」
「 クセだよ。何しろ俺が一番キョーコと付き合いなげーんだ。そこ行くとアンタとアイツの付き合いなんて高が知れてるだろうな。キョーコを最上さん…なんて呼んでいる時点でそれが見える 」
「 呼び方?残念だけどね、俺は特にそれを重要視していないんだ。大切なのは二人の気持ちだと思うしね 」
「 はっ!なにが二人の気持ちだ。お前がキョーコと付き合うようになったのは恋人役をやってくれってアイツが土下座でもして頼んで来たからじゃねぇのか? 」
「 ……もしそうだとしたら、俺がここで体張ってるのは何のためだと思ってるんだ、お前は 」
「 だからバカじゃねぇのかって言ってんだ。合同学園祭をただ平穏無事に終わらせたいがために。会長様の意地ってやつでいいカッコをしたいだけならとっとと降参でもなんでもしろってんだ!! 」
「 それこそ意地でもお断りだ 」
「 ちっ!! 」
――――――― 社さんの話から
最上さんが俺に対して少なからずの好意を持ってくれていたことは判った。
社さんは俺にとって最も信頼できる人。
だから彼が教えてくれたことは本当なのだろうと思う。
『 お前の本当の彼女になりたいって、そう言ってキョーコちゃん、この契約の恋人役を引き受けてくれたんだぞ。お前、ちっともキョーコちゃんの気持ちに気付かなかっただろ? 』
だけど、それでも俺はどこか不安だった。
心にある葛藤が真実だけを求めている。
あの子に関する事柄を
あの子以外の人間から聞き及ぶことは、結局うわさ話と変わりない。
だから俺は……
『 君を捕まえに行くのは俺だから…って、そう伝えておいて。絶対に逃がさないって 』
そう言ったんだ。
笑っちゃうほど疲れているのに
かつてないほど苦しいのに
だけど俺はどうしても、ここで座り込む訳にはいかなかった。
100人近い男達を休みなく相手にすれば、こうなることの予想はついていた。
それでもスタート時よりアカトキの頭数はだいぶ減っていたし、実際いま自分が相手にしているのはこの男だけだった。
「 はっ!疲れ切っているはずなのにほんと、埒が明かねぇな、これじゃ 」
「 お前こそ、疲れて来たんじゃないのか? 」
「 ほざくな。後悔させてやるぞ 」
人数が多い分、奴らは休息を取ることが出来る。
それを見越したのだろうこの男が、俺から視線を逸らした瞬間が俺的には一番緊張感が高まった時かもしれない。
「 おい、お前らも見てねぇで手伝え。もう充分休んだだろうが 」
「 そうだけどなー 」
「 けどもうオレらはイイかなって感じぃ~ 」
「 不破!お前が頑張れ 」
「 よっ、ラスボス!! 」
「 ラスボス…。なるほど言い得て妙だな。
思い通りにいかない腹いせを毒の言葉でまき散らし、挙句彼女に危害を加えようとしているお前を形容するに相応しい言葉だ 」
「 腹いせ?おかしなことを言うな。…ま、いっか。じゃあラスボスに相応しい戦い方を選ぼうじゃねぇか 」
そう言って俺に視線を投げながら、小癪なまでに目を細めた不破が鼻の先でせせら笑いを浮かべる。
次の瞬間、俺は眉をひそめた。
「 おい、よこせ 」
「 ほらよっ!! 」
「 ……エモノ… 」
あらかじめ用意しておいたのだろう。不破の手に渡ったのは棒だった。
竹刀より短く、端材より頑丈そうな武骨な木材。
俺の隣で村雨が口を開いた。
「 てめっ!卑怯な手を使ってんじゃねぇぞ、こら!! 」
「 村雨。手を出すな 」
「 出したのは手じゃねぇ、口だ!! 」
「 ふっ……。確かに 」
「 おい、いいのか?よそ見こいて笑っていられるのも今の内だぜ 」
「 くっ!!!……っっ…… 」
気配を察した神経が、目で見るより早く俺を動かす。
前を通り過ぎた棒切れが空気を殴った音が聞こえる。
空振りしたのが余程面白くなかったのか、不破は手にしたエモノを乱暴に振り回し始めた。
「 どうした会長サン、疲れてんなら降参した方がよくね?
だいたい、あんな女のためにそんな無理することねぇだろうに。なぁ? 」
……っ…ざけんな!
お前の方がよっぽど彼女に固執しているくせに
あんな女呼ばわりするなんて絶対に許せない。
「 こうする理由があるから俺はこれをやってるんだ!! 」
「 うおっ!!…あっぶねぇな~~ 」
「 おーい、不破、どうしたぁ?エモノ持ってるお前の方がやられる瞬間を披露したらとんだお笑い種だぜぇ 」
「 うるせぇよ。んなこと言うなら見てねぇでお前らも加わりやがれ 」
「 いやいや。もうタイマンの域だろ、それは。お前ひとりで頑張れ、不破 」
アカトキ連中の笑い声が上がる中、少しでも呼吸を整えようと深く息を吸い込んだ。
奴らにとっては雑談でも、俺にとっては大切な休息だ。
どれだけ息が上がろうが
どれだけ疲労が溜まろうがそんなのは構わない。
だけどそれこそ意地で
絶対にこの男にだけは負けたくないと心底思った。
「 ……っ?! 」
「 あれ、避けやがった。あんたでかい図体の割には結構機敏だな。それともエモノが長すぎたか? 」
「 ……っっっ……お前… 」
「 なんだよ 」
「 ここまでして俺を潰そうとするぐらいだ。お前にだってあの子を追いかけたい気持ちがあるんだろう!?だったら拳でかかって来いよ!! 」
「 はぁ?なんでこの俺がそんなことしなきゃならねぇんだよ。誰がキョーコを追いかけるか 」
「 なに? 」
「 キョーコなんかな、俺が呼べば尻尾振って俺のところに来るっつーの。アンタこの前の夜、それを目撃しただろうが 」
「 ……っっっっっっっ!!!! 」
刹那、堪忍袋の緒が切れた。
「 お前にだけは死んでもあの子は渡さないっ!! 」
「 ハッ! 」
不破が乾いた笑いを吐き出したそのとき、俺の頭上を何かが飛んだ。
俺の背中側から飛来したそれは、恐らくフェンス向こうの女学園側からこちらに来たに違いない。
それはまるで天から舞い降りた天女のように宙を舞い、わき目もふらず不破の頭上に降り立った。
為す術もなく仰向けにぶっ倒される不破。
彼に跨ったニワトリは、トサカに来たとばかりにらしく叫んだ。
「 コッ……コケ――――――― ッ!!!!! 」
敵味方に関係なくこの場にいた誰もが目を点にした。
ぬいぐるみのくちばしを武器にして、キツツキの如く不破を責め立て、つつき倒すニワトリ。
「 コケッコッコッコッコッコッコケーッコッコッ…… 」
「 痛て、いてっ、うわ何だよコイツ、痛てっ痛て、ちょっと待て!なんでこんな痛てぇんだよっ!! 」
不破の上で愛らしく丸まった背中がなおも不破をつつき倒す。その様をしばし眺め見ていた俺は、とめどなく流れ落ちる汗を拭ってから一笑を浮かべて手を伸ばした。
「 ちょっと待て。誰も手を出すなって言っただろう 」
「 コケッ!!!コケコケコケコッ!!! 」
着ぐるみなのにニワトリに徹している返答がおかしくて。
同時に自分が手配したはずの10体の種類を思い出し、あり得ない…と口元を緩めながら俺がニワトリを抱きかかえたとき
タイムリミットを知らせる鐘の音が中庭を包んだ。
「 ……っ……終わ……った… 」
その時の俺の心境は、長い
長い旅路を終えたかのようだった。
協力してくれた全ての人に、ありがとう…と言いたい気分で
5時間という長丁場を
我ながらよく頑張った…と思った。
15時を知らせるチャイムの音が、俺の緊張の糸を切ってしまったに違いない。
終焉を告げる鐘の音をかき消す大観衆の歓声すら耳に届かず、俺はニワトリを抱きかかえたままその場で膝をついてしまって、図らずもニワトリに頭を預ける形であっという間に意識を手放した。
……ごめん。俺、少しだけ休んでいいかな。
本当は、これが終わったらすぐ君を探しに行こうと思っていたのに。
ごめんね。だけど目覚めたらすぐ君を捕まえに行くから。
だから少しだけ休ませて……。
身体はかつてないほど疲れていた。
それとは逆に、気持ちは清々しいほど充実感でみなぎっていた。
⇒15話 に続く
棒を持ったショータローを襲ったのはもちろん坊です(笑)
⇒恋する生徒会長◇14・拍手
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