SS その男、策士につき ◇2 | 有限実践組-skipbeat-

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 いちよーでっすо(ж>▽<)y ☆

 現代パラレル蓮キョの続きをお届け致します。


 お楽しみ頂けたら幸いです。


 前話こちら⇒その男、策士につき・1


■ その男、策士につき ◇2 ■





「 ありがとうございました~ 」


「 お疲れさーん。会計する幹事以外はみんなさっさと外に出て~ 」


「 はーい 」



 忘年会が終わった。


 フラフラしながら促されて向かった店舗入り口。店の扉が開くと12月の夜だと実感する冷気が入り込む。

 いつもだったら寒いと首を縮めるところだけど、火照った頬に当たった風はとても心地良く感じられた。



「 おーい。せっかくだから二次会しようぜ~。はい、行く奴、挙手!! 」


 先に外へ出た誰かが張り上げた声が聞こえて、あちこちから応答の声が響く。


「「「 行くー!! 」」」


「 ……ね、敦賀君、絶対来るよね! 」


「 来ると思う!だって、いつもは来るとか言っておきながら来ない方が多いのに今日は本当に来たじゃない 」


「 よねっ!当然、行くでしょ、二次会? 」


「 うん、行く!早めに行って敦賀くんの席、キープしちゃおうよぉ 」


「 そうしよ! 」



 幾人もの参加の声は私の耳にも届いていたけれど、正真正銘そのときの私は、手はもちろん顔すら上げられない状態だった。



 ……二次会。

 敦賀さんも行くのかな…。


 敦賀さんが行くなら私も行きたい。そう思ったけれど、さすがに今日は無理かもしれないとも思った。

 まさか、こんなに酔っちゃうなんて……。



「 ちょっと、ちょっと。キョーコちゃん、大丈夫?二次会どうする? 」



 私がここに着いた時はかなり酔っていた風だった光先輩の方が、いまは私よりよっぽどしっかりしていた。

 光先輩は壁を伝いながらヨタヨタ歩く私を見つけて声をかけてくれて、私の顔を覗き込みながら手を差し伸べてくれたけれど…。



「 光先輩……二次会、私、無理かも… 」


「 不参加にする?じゃ、俺が送ってあげようか? 」


「 いい…ですよ。先輩は参加して来て下さい。私、帰ります…ので……あっ!! 」



 伝う壁がなくなって、店外に出た途端に膝が折れてしまった私を素早く支えてくれたのは私の後ろにいた人だった。



「 最上さん!!……あっぶな…大丈夫? 」


「 ううう……気持ち悪いですぅぅぅ~~~ 」


「 だよね。あんなに飲むからだよ……って、もとはと言えば俺が勧めたからか… 」


「 あの!!営業部の手を借りなくても彼女は平気なんで手を放してもらえますか?! 」


「 いやでも、最上さんがこんなになったのって恐らく俺に責任があるから… 」


「 蓮。みんなは一足先に行かせたぞ。お前は二次会どうすんだ? 」


「 社さん、俺、行きません。彼女を送りますから 」


「 あ?……はっはーん。そうなったんだ 」


「 ……です。だから 」


「 ああ、はいはい。想定内、了解 」


「 ちょっと!いいって言ってるじゃないですか。彼女は俺が送っていきますから! 」


「 誰? 」


「 最上さんと同じ部署の人です 」


「 なーる。ということは総務部の… 」


「 石橋光です!!  」


「 おー、石橋君!俺は営業部で主に蓮のアシスタントをしている社。じゃあ君は平気そうだから互いの部の親睦を深めるために俺と二次会に行こうか! 」


「 ちょっと!!なに強引に…… 」


「 大丈夫。彼女のことは蓮が悪いんだからあいつに責任取らせればいいから。…な?蓮 」


「 ええ。最上さんは俺が責任をもって送って行きます 」


「 …だって。はい、じゃあそうしよう。石橋君は俺と一緒に二次会へレッツGO! 」


「 えっ?いや、俺は彼女を~~~~~~っ!!ちょっと、引っ張らないで下さいよ!! 」


「 蓮。判っているだろうけど携帯の電源は落としておけよ 」



 私の周りでしばしの喧騒があったみたい。


 私の意識はだいぶ朦朧としていて、その間、自力で立っている事さえ怪しくなっていた私を変わらず支えてくれていたのは敦賀さんに違いなくて、光先輩の声が聞こえなくなると敦賀さんがクスリと笑った気がした。



「 とっくにオフ済みです 」



 いい香りが漂っている。

 覚えてる。これはあの時と同じ香り。


 部署配属された初日。混み合うエレベーターで偶然この人と一緒になった。そのとき嗅いだこの香り。

 やっぱり敦賀さんだったんだ。



「 ……ほんと有能だよな、社さんは 」


「 ……っ… 」


「 最上さん、帰ろうか。歩ける? 」


「 …ん…… 」



 ピタピタと頬に触れた大きな手の感触に瞼を開き、私を見下ろす敦賀さんをぼんやりと見つめた。



 これは、神様が恵んでくれた千載一遇のチャンスってやつだろうか。

 だけど私は自分の身の程を知っていた。



 二次会に参加する誰もがきっと敦賀さんの到着を心待ちにしているに違いない。

 さっき届いた女性同士のあの会話。あんな内容の会話はきっとあちこちで繰り広げられたに違いないし、第一、初対面の私がこんなことで敦賀さんに迷惑をかける訳にはいかない。



「 あの……らいしょーふれす。最上キョーコは一人で帰れまふので 」


「 ……いや。こんな少しの間にそんな呂律になったんじゃ説得力皆無なんだけど 」


「 いえ、らいしょーふ!なぜならこれより私は無言で帰宅しよーと思いまフので。ご心配にはおよびまへんっ 」



 そう言って敦賀さんから身を起こし、歩き出そうとした私を敦賀さんは激しくツッコミ、慌てて私を引き止めた。



「 絶対に無理だ!!!最上さん、ちょっと待って! 」



 逞しい腕。大きな体。

 忘年会が終わって出た外はやけに息が白く弾む。


 最初は涼しいと思ったけれど、いまはもう違っていた。

 敦賀さんから離れた途端、背筋は寒々としていた。



「 敦賀さん… 」


「 うん? 」


「 あったかーい♡れふね、敦賀さん。ギュッ♡ 」



 しらふだったら絶対に出来なかったことだけど、この時の私からはたぶん、躊躇と羞恥が抜けていたと思うの。

 引き止められて縮まった距離を更に縮めようとしたのか、私は前が開いたままの敦賀さんのコートの下に自分の腕を滑り込ませた。



「 ……ちょっ…あの、抱きつかれるのは嬉しいんだけど、そんな無防備に甘えられると理性が飛びそうっていうか… 」


「 りせい?飛ぶならそれでいいと思いまふ。ガマンとかする必要ないれすよ? 」


「 …っ!!酔ってるからってサラッとなんてこと言うんだ、君は 」


「 でも、ツラかったらぁ、辛いって態度に出した方がいいとおもいまふ… 」


「 え? 」


「 敦賀さん、ここ二、三日元気が無かったれしょう?私、見ちゃったんだから。

 一昨日の昼…屋上で敦賀さんが肩を落としていたのを。何かあったのかなーって気になったんですよ… 」


「 ……まさか、最上さんって俺を知っていた? 」


「 やらぁ。知っていますよ。LMEで敦賀さんを知らない女性なんていないれすよ 」


「 本当に? 」


「 本当に。敦賀さんが私のことを知らなくても私は… 」


「 俺、知っていたよ 」


「 え? 」


「 君のこと、俺、知っていたよ? 」


「 へぇぇ?どうして敦賀さんがぁ? 」


「 覚えていないかも知れないけど、俺、前に君……っ…ちょっ…最上さん?! 」




 もう本当に情けないけれど、このとき私は限界だったの。


 抱きついた敦賀さんの身体は妙に温かくて

 これでも必死に起きていようとしたのだけどお酒の力に負けてしまった。



 だから残念なことに敦賀さんとの会話の記憶はここでプツリと途切れてしまって、次の瞬間にはふわりと身体が浮いた事で、私は本格的に瞼を閉じてしまっていた。






 ⇒◇3へ続く


確信犯とそのアシスタント♡(〃∇〃)笑


ちなみにこの蓮くん、基本的にはフェミニストなのだけど仕事の時は厳しい顔を見せる人という設定。

特に会話中に話を割って入られるのが嫌いで、空気を読めない奴は営業じゃないと辛辣に注意するお方なのですけど、この先この設定を入れるシーンがないし入れなくても特に支障がないので欄外で呟いてみた。



⇒その男、策士につき◇2・拍手

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