SS 無彩色高飽和 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 調子に乗りました、一葉です。(///∇//)

 本日のこちらは既に本誌の続き妄想からは離れておりますが(笑)、ありがたくも続きを!…とリクエストのお声がけを頂き、執筆してみました。



 ちなみにスタートは本誌続き妄想チック『淡くて甘い毒の華』で、この続きを『有彩無色』でお届けいたしましたがその続き…ということになります。



 当然のことながら本日のお話にもネタバレは含まれておりません。

 ネタバレが含まれていた前々話から読まないとお話が通じないかな…とは思いますが、本日のこれはノリで最後まで読めるようなレベルのものになっているかも…と思います。



 コミックス派でネタバレ回避お嬢様は自己判断でお願いします。


 ちょっとだけ補足しておきますと、兼ねてから関心が高いバレンタインデーネタで、蓮君のお返しはあの時の頬チューだった…という一葉見解が軸になっております。





 お楽しみいただけたら嬉しいです。


思いついたままをそのままお届け

■ 無彩色高飽和 ■





 翌年、バレンタインデーを過ぎたあたりからある噂が膨らみ出し、ホワイトデーを迎える頃にはすっかり巷を席捲していた。



「 敦賀さん!!あの、お話を伺いたいのですがっっ!! 」


「 お願いします!皆様が気になっている事ですから! 」



 ターゲットになったのは一人の男。


 素でブリザードを振りまく敏腕マネージャー・社 倖一に阻まれながらも果敢にインタビューに挑む記者たちの熱意は脱帽もので、ずーっと無視を決め込んでいた、実力派トップ俳優と名高い敦賀蓮は満面に笑顔を咲かせて局の入り口で足を止めた。



「 こら、蓮!! 」


「 いいですよ、もう社さん、少しぐらいなら。

 ……どうしたんですか?そんなに皆さん目の色を変えて 」


「 どうしたって、ご存じなんでしょう?我々が何を聞きたいのかってことは! 」


「 そうですよ。笑って誤魔化さないで教えてください!! 」


「 敦賀さん?!本当なんでしょうか?ご結婚なさるって言うのは?! 」


「 お相手はどなたなのでしょうか!? はぶっ 」


「 噂によるとお二人はすでに一線を越えられているとか?!ふおっ 」


「 いつ頃からご結婚を意識されるようになったのでしょうか? ひぐっ 」


「 ぜひ教えて頂けませんか、ぬおっ 」



 質問のあとに聞こえる醜い音声は、記者たちが我先にと詰め寄り他者を貶めているからであり、決してマネージャーが制裁を加えている訳ではない。


 まぁ、まぁ、落ち着いて…と優美な動作で右手の平を掲げた蓮は、余裕綽々に目を細めた。



「 教えるも何も…。皆さんからの質問を拝聴する限り噂だけが独り歩きをしているみたい、という印象ですね 」


「 じゃ…噂は根も葉もないという事でしょうか?! 」


「 一線はまだ越えられていないということですか? 」


「 一線を越えるどころか、俺はただこの身と心を、ホワイトデーの日にある女性に捧げますという約束をしただけですよ 」


「 それはっ!!お相手はどなたなのでしょうか?! 」


「 そんなの、もう皆さん、ご存じなんじゃないですか?なのにこれ以上の何を俺から聞き出したいって言うんです?あとはただ、俺を応援して下さいませんか?

 ホワイトデー当日、京子が素直に俺を受け取ってくれるように。俺の望みを叶えてくれますように…と 」


「 おおおっ!!やっぱり京子なんだ!! 」



 満面にしてやったりな笑顔を浮かべ、蓮はそれじゃ…と言って局に入った。


 その後ろ姿を見送った記者たちはこうしちゃおれんとさらに活発に動き出し、まるで熱せられた鉄板の上に落とされた水滴の如く素早く弾け、もう一人のターゲットを目指して消える様に飛んで行った。




 もうお察しの事だろうが、当然のことながらこれは全てトップ俳優が仕組んだことである。


 昨年のバレンタイン同様、今年もLME事務所の後輩であるキョーコは、蓮にバレンタインプレゼントを用意した。

 蓮はもちろん、それを彼女から受け取ったのだが、去年とは違うことが一つ……いや、正確には二つあった。



 まず、キョーコが宣言した通り、彼女が用意したプレゼントはワインゼリーではなかった。

 そしてもう一つ。蓮がそれを受け取った場所は二人きりの楽屋ではなかったのである。




「 ……敦賀さん。こんなタイミングで本当に大丈夫なんですか? 」



 キョーコは周囲を気にしながら用意したそれを蓮に捧げた。



「 うん、平気だよ。それよりごめんね、こんな所まで来てもらっちゃって。でも俺、このあとスケジュールが詰まってゆっくりしていられなくて…。ありがとう。本当に嬉しいよ 」



 場所は蓮の生番出演が終わった直後の撮影スタジオの中。周囲に人はわんさかいた。


 当然の如くこの場を指定したのは蓮の方で、そこしか時間がないとさりげなく(?)キョーコに漏らして実現したことだった。


 実はこのあと、蓮は関係者以外は蟻の子一匹入る事の出来ないシークレットのドラマ撮影に入る予定だったのだ。そうなれば暫く顔を合わせる事も出来ない、とそう伝えられてしまって焦ったキョーコがいつなら平気かと尋ねて指定されたのがここだった。



 約束通り、ちゃんと蓮に渡せたことでキョーコはほうっと笑顔を浮かべた。



「 いえ。今年もお渡し出来て良かったです。この後も頑張ってくださいね 」


「 ……うん、俺も。もらえて良かった。じゃ、約束通り三倍返し 」


「 うにゅっ?!い…要らないですよ、敦賀さんっ!!! 」



 要らないと言われて引っ込むほど蓮は紳士では無い。当然だ。これは策謀なのだから。



 ちゅ…と触れたのはキョーコのおでこ。

 ご丁寧にもキスは3回。がっちり優しくキョーコの顔を固定した。



「 なんで?約束しただろ、3倍にして返すって。あ…もしかして5倍が良かった? 」


「 そっ…そんな約束していないじゃないですか。去年、敦賀さんが一方的にそうしようかなって呟いただけで… 」



 ざわり…と空気が変わったのは言うまでもない。


 声を潜めるでもなく、悪びれる様子も無く

 どちらかと言えばそれは堂々と披露されたやり取り。



 それでも真っ赤な顔になってしまったキョーコを見降ろし、蓮は更に続けた。



「 でも君、俺がそう言っても嫌って言わなかっただろ。それから、一ヶ月後のホワイトデーには約束通り、俺を君にあげるから 」


「 …っっ!!! 」



 くれるって言うなら貰ってやろうじゃないの…と言いたい所ではあったが、さすがにこんな公衆の面前では冗談だと判っていても容易く了承の言葉など口に出せない。


 どうせからかっているだけなんだし。

 そう自分に言い聞かせながらキョーコは何でもない風を装い、蓮のそれに笑顔で返した。



「 ……やだ、それ本気だったんですか?でも私としてはちょっとプレゼントが大きすぎる気もしますので、受け取りに関しては考えておきますね? 」




 更に周囲の空気が変わったのは言うまでもない。

 抱かれたい男ナンバーワンの申し出を、後輩が笑顔で受け流したのだ。



 キョーコが失礼しますと礼儀正しく去ったあと、蓮はここぞとばかりの詰めの一歩を決して忘れはしなかった。



「 ……いまのはここだけの話にして下さいね。俺、フラれちゃうかもしれないので… 」



 これが蓮の策だったなど、誰が思いつくだろう。


 蓮の言った『ここだけの話』話はこれ以降、あちこちでやはりここだけの話として囁かれ、いつしか押し寄せる波にまで成長。



 日を追うごとに波は更に大きくうねる様になっていたが、この件に関して蓮は口を閉ざしたままだった

 それが解放されのはホワイトデー直前。もちろんこれも計算である。



 そしてホワイトデー当日、記者へと形を変えた津波が蓮の正しい導きによりキョーコの元に押し寄せた。



「 京子さん!!敦賀さんがやっとあなただと認めました! 」



 こうなるともう、キョーコ的には自分の迂闊さを呪うしかない。


 多くの記者からマイクを向けられたキョーコは逃げるでもなく、無視するでもなく、ただ背筋をピンと伸ばして堂々と深い溜息をついた。



「 京子さん、今日はホワイトデー当日ですが、もうお心は決まったのでしょうか?! 」


「 敦賀さんは身も心も京子さんに捧げると仰っておられましたよ!我々に応援して欲しいとまで言っていらしたのをご存知ですか?! 」


「 男の純情を受け止められるのでしょうか?!世間の皆さんは敦賀蓮をフルなんて許せないなどの声も上がっておりますが… 」


「 京子さん。トップ俳優から身を捧げられる秘訣ってなんですか?是非、私自身の参考にしたいのでそれを教えて頂けませんか~~ 」


「 職権乱用しない!京子さん、どうなさるおつもりなのか、是非お聞かせ願えませんか? 」



 一斉にマイクが向けられキョーコは気持ち頬を引きつらせた。



「 ……まだ、敦賀さんにお伝えしていないそれを先に皆さんに話せと、こうおっしゃるんですか? 」



 まさに正論。

 それは出来かねますね、と続けたキョーコの態度はまるで冷たくあしらう女王様。


 それがやけにカッコ良く見えたのか、記者たちは申し合わせたように驚嘆な雄たけびを揃ってあげた。



「 おおおっ!!それもそうですね! 」


「 でも、こんなに世間はお二人に注目しているんですよ!ってことは当然、どうなったのかをご報告いただけるんですよね?! 」


「 これから?これから京子さんは敦賀さんの所に向かわれるのでしょうか?! 」


「 そちらに我々も付いて行ったら… 」


「 ダメに決まってます!!! 」




 何がどうしてこうなった。

 キョーコがそれを考えた所で分かるはずもない。


 いや、判る事はあった。



 先の先まで見通してしまう、演技の神と自分があがめる蓮がこれを予見していなかったはずが無い。

 つまり、全て彼が仕組んだということだけはキョーコにも判っていた。



 敏腕マネージャーの導きで某ホテルの一室に向かったキョーコは、落ち着き払った様子でソファに深く身を沈め、自分を見ながらクスクスと笑っている蓮に向かい、開口一番こう叫んだ。




「 本当にもう、知りませんからねっ!!! 」


「 知らないとは冷たいな。もちろん、俺を貰ってくれるんだろ? 噂、どうして流れちゃったのかな。俺、みんなからの応援を背負っちゃっているから、肩見狭い思いはしたくないな~と思うんだよね? 」



 そうね!

 くれるって言うんですもの、断るなんて勿体ないわ。



 しかも世間の波は受け取って当たり前…との見解が大多数で、敦賀蓮からの申し出を断るなんて絶対許されない…の声まで上がっている。


 もしこれを無視して断ろうものなら無礼千万、別の恐怖が考えられ、うっかり夜道を一人で…なんて歩くことも出来なくなる。




 ホワイトデー当日の夜。

 二人が顔を合わせたホテルの、別の一室を借りて開かれた3分間だけの記者会見。


 用意されていたイスに座るでもなく蓮を携えて現れたキョーコは、質問を受け付けもせず一礼してから口を開いた。



「 結果、お断りするのも失礼かと考え、何よりくれるって本人が言って下さってますので、ありがたく頂戴することにいたしました! 」


「 ……という事で、おかげで彼女に受け取ってもらうことが出来ました。皆さんからの応援を頂きまして本当にありがとうございました。心から感謝します 」



 その記者会見で何より印象に残ったのは、プレゼントを受け取る側のキョーコよりも、受け取られる側である蓮が浮かべた心底満足そうな笑顔。



 それを見た誰もが惜しみない祝福の拍手を送っていたとかいなかったとか。




 そしてしばらくの間、世間では『くれるって言うなら貰ってあげる』…が、大流行し、小学生のみならず園児たちまでこぞって真似た。






     E N D


はっちゃけ過ぎていてすみません(笑)スピード感半端ないし。


高飽和とは、飽和度が高いという意味。

飽和度というのは色の3属性の一つで彩度とも呼ばれ、同一の色調の色でも無色に近い物から色調の鮮やかなものまで様々な変化を持つその変化の度合いを飽和度と呼びます。


つまり、二人の未来は輝かしく眩しいだろってイメージです



どういう訳かやけに羽目を外した蓮君になってしまいましたが、それが思い浮かんだのですからしょうがないです(笑)


ご期待頂いた内容と違っていても、笑ってお許し頂けたら幸いです。

おねだりリクエスト、有難うございました!!



⇒無彩色高飽和・拍手

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