どうも(。-人-。)一葉です。今日も今日とてマイペース更新。
昨日はきちんと本誌を手に入れましたが、諸事情がありまだ読めておりません。お預けワンコ状態をしばし愉しもうと思っております。
さて、いつものように原作沿い両片想い蓮キョです。
ちなみに若干、長めですかね。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
■ 4つの差 ■
毎度おなじみに思われるかもしれないけど、ラブミー部として依頼された事務処理仕事ならやはりラブミー部室が妥当なところ。
そんな訳で私たち三人は、当然の如くそこに居た。
部室にこもって早3時間。
黙々と作業を続けてきたけれど、延々と続く仕事量の多さに負けじ魂で頑張っていた私の右隣で天宮さんが一番早くに音を上げた。
「 もういや ――――― っ!!やってもやっても終わらないじゃないのよっ!だから嫌なのよ、大手事務所ってぇぇぇ~~~!!! 」
お芝居に関しては呆れるほど見上げた根性を出す癖に、天宮さんはそれ以外のことに根気を使う気はないらしい。
天宮さんの言葉に触発されたのか、マイ親友であるモー子さんもわずかながら眉間に皺を寄せるとやはり作業の手を止めた。
「 全く同感だわ。これが全部自分宛て…とかなら別の感慨が浮かぶのかも知れないけど 」
ご存じの通り、芸能界には芸能人を区分するジャンルというものが存在している。
芸能人はそのいずれかのジャンルに該当し、それはそのまま仕事の中身を左右する肩書きになると言っても過言ではない。
そして、大手芸能事務所であるLMEには現在3つの大きなセクションが存在していて、いま私たちが戦っている仕事はそのうちの一つである歌手部門から請け負ったものだった。
「 感慨…。浮かぶかしら、私。
こんなに大量のファンレターが自分宛てに来るとか…想像も出来ないんだけど 」
そう。仕事内容はファンレターの分類だった。
誰の…という説明は出来ない。
俳優部、タレント部、歌手部…とある中で、やはりファンレターの凄さを誇るのはミュージシャンだと言えるだろう。
コンサートやライブ、握手会などで一般人と触れ合う機会が一番多いのはやはり歌手に違いないから。
けれどここからが重要な所。
普通、ファンレターなんてファンクラブに送られるものだろう…と考えるのが一般的。
でもデビュー出来たからと言ってすぐファンクラブが設立されるほど世の中そう甘くはないのだ。
特にLMEでは過去、自分もお世話になった新人発掘オーディションなるものが毎年必ず開催されていて、新人歌手だって毎年必ず誕生しているのだ。
そのうちの何パーセントがファンクラブ設立にこぎるけられるのか…を知れば、現実の厳しさを知ってのたうち回る人もいるかもしれない。
そんな訳で、いま私たちがしている作業というのは、まだファンクラブを持っていない新人アーティストたちあてのファンレターの分類だった。
山と積まれた段ボール箱に視線を移した天宮さんは、再び不満を爆発させた。
「 もう嫌ぁ!!なんなのよ!同じファンレター分類でも役者宛てなら自分を鼓舞出来るのにぃぃぃ!!! 」
そう言って派手に手紙を舞い上げ、勢いよくテーブルに突っ伏した天宮さんの隣で私は思わず苦笑を浮かべた。
そうかしら…。
天宮さんなら宛名を見た途端、自分の方が実力があるのに…とか言って、今とは比較にならないほどの猛毒を吐きそうな気がするんだけど…。
「 けど実際、こうも自分に関わりが無い仕事だとやる気なんて出ないわよね。しかも紙って指先が荒れやすくなるから嫌なのに。台本ならいくらだって目を通すけど… 」
「 え?モー子さんって一読しただけで暗記しちゃうのに何度も台本に目を通したりする? 」
「 だから!そのぐらい気分が違うってことよ 」
「 ねぇ?ちなみにLMEで一番ファンレターを貰う役者って言ったら、やっぱり敦賀さんなの? 」
「 さぁ?そう言えば聞いたことはないけど。…キョーコ、そうなの? 」
「 なっ!どうして私に聞くのよ!知らないわよ、そんなの 」
「 どうしてって、この中で一番、敦賀さんと親しいのはアンタだと思ったから聞いただけじゃないの。そんなに顔を真っ赤にしたりして…。自意識過剰ね 」
「 やだ、京子さん。自意識過剰~ 」
「 ちっ…違うもん!!それに、もし敦賀さんにそう聞いたとしても分からないって言うと思うわ! 」
「「 そうかしら? 」」
「 そうよ!だって、敦賀さんがそんな小さなことを気にするとは思えないもの!
LMEで一番ファンレターを貰ってる役者って俺だよ…とか、敦賀さんが言うとは思えない。マネージャーの社さんならともかく! 」
ええ、根拠はないけど確信はあるわ!
たとえ事実がどうであったとしても敦賀さんがそれを気にするとは思えない。
なぜなら、私が愛する敦賀さんはそんな小さな男じゃないから! ←断言
「 ……うん、まあ。そうね。一理あるかも 」
「 確かに。そういうの、言いそうもないですよね。だから逆に言ってくれたら面白いかな、とも思いますけど 」
「 面白さを求めないで!それより頑張ってやりましょ!モー子さん、ほら、天宮さんも!
これはラブミー部で請け負った仕事なのよ!私たちがやらないと終わらないの 」
「 はいはい、やるわよ 」
「 そうよね。やらなきゃ絶対、終わらないんですよね… 」
少なからずの無駄話を休憩時間と捉え、私たちはまた地味な作業に戻った。
じっと座っているだけなのに、やけに重労働に感じるこの仕事。
徐々に室内が暗くなり始めればさすがに集中力も途切れて来る。
やってもやっても終わらないと最初に音を上げた天宮さんのセリフが、いつの間にか自分の肩にも重くのしかかっていた。
それでも、やらなきゃ終わらないのだ。
それをたぶん3人が3人とも頭の中で繰り返していたと思う。
敦賀さんと社さんの言葉を、私たちが耳にするまでは……。
「「「 …………… 」」」
それは誰からともなく手を止めて
今日はもうそろそろ止めにしようか、な雰囲気が漂って来た頃だった。
LME事務所で恐らく一番の稼ぎ頭であろう敦賀さんが、マネージャーである社さんと共にラブミー部室に顔を出した。
相変わらずお忙しいのでしょうにお二人はそんな大変さを全く感じさせず、ご丁寧にノックをしたあといつもの和やかな雰囲気で笑顔を浮かべた。
「 失礼するねー 」
「 おっと…。すごい手紙の数だね。お疲れ様 」
「 おおっ!!本当にすごい量だね。段ボール何箱だ?話には聞いていたけどこれを3人でやっているなんてエライ、エライ 」
お二人の言葉に含まれていた労いの言葉がジーンと染みて
天宮さんもモー子さんも軽く息を吐き出して、窮屈だった疲労感を追い出していた。
「 敦賀さん、社さん、お疲れ様です!むさくるしい所へようこそ 」
「 むさくるしいって、最上さん。……確かにむさくるしいけど 」
「 こら、蓮。なに正直な感想を口にしてんだお前は。キョーコちゃんたちはその中で一生懸命仕事をしているんだぞ 」
「 いえいえ、お気遣いなく 」
「 ええ。誰が見てもむさくるしいで正解ですから 」
「 あはは。ところで、長時間座っているのって辛いんじゃない?差し入れにケーキ持ってきたから休憩したら? 」
「 え?!ケーキ??!! 」
「 わあっ!!!嬉しいですぅぅぅ!!社さん、ありがとうございます! 」
「 いいわね、休憩!休憩しましょう~~。あ、どうぞお二人とも座ってください 」
社さんの提案に天宮さんは喜んで、ケーキと聞いたモー子さんは少し複雑な笑みを浮かべた。
けど疲れていたことはもちろん事実だったから、私たち3人は素直にその提案を受け入れた。
「 それにしても本当にすごい量だね。この分だとまだ結構時間がかかりそうだ 」
「 そうなんですよー。まだ半分も終わってなくて~~ 」
「 あーねー。けどまぁ、仕事って云うのはどんなものでもやれば必ず終わるモンだから。頑張って! 」
「 そうそう。社さんの言う通りだよ、最上さん。何事もやれば確実に終わるからね。
それにこれ、特に厳しい締め切りとか無いんだろ? 」
そのとき私は、小さな衝撃を受けていた。
「 ……へ?……え…っと、はい。……ナイ…ですけど…… 」
「 最上さん?どうした? 」
「 いえ、あの…なんかいま、目からウロコが… 」
「 え?なに、キョーコちゃん。いま何かに目覚めたの? 」
「 目覚めたっていうか… 」
気付いたのはきっと私だけじゃなかった。
私が動きを止めたように、モー子さんも天宮さんもケーキを食べる手を止めて敦賀さんと社さんを見つめていた。
だって、私たちは誰一人そう考えなかったから。
段ボールに山と詰め込まれた大量の紙の束。
人海戦術以外に方法がないこのファンレターの分類をしなければならないのは仕事だから。
私たちがやらなきゃ。
とにかくやらなきゃ終わらないって……
私たちは今日、一日中、ずぅっと自分達にそう言い聞かせて頑張ってやってきた。
でも……
そうよね。やれば終わるんだ。
「 敦賀さんと社さんって、やっぱり凄いですね! 」
「 ん?何が?どこが? 」
「 本当に。トップ俳優とそのマネージャーともなると見える景色が違って来るってことなのかしら。私、まだ修行が足りないわ 」
「 私もそう思いました。そういう考え方もあるって初めて学べた気がします。私、事務所に無理言ってラブミー部に所属させてもらえて良かったです。ご教授有難うございました 」
「 はあ?なに、なに?どういうこと? 」
お二人は本当に意味が分からないって顔をして、お互いに顔を見合わせていたけど私たち三人は何度も首を縦に振って感心していた。
「 敦賀さん 」
「 うん? 」
「 私、改めて敦賀さんの偉大さを実感しました!! 」
「 え?……えっと……うん。ありがとう……? 」
それは、たった4字の差。
やらなきゃ終わらない
やれば終わる
けれど、なんて大きく違うのかしら。
私たちはこの仕事の山を見上げて
とにかくこの山を登り切らなきゃならないのだと、懸命に踏ん張っていたけど
敦賀さんと社さんはまるで、仕事という名の山の頂上に立って、そこから足元を見下ろしたかのようだった。
そうなんだ。
気の持ちようでこんなにも違う。
こんなにたくさんあるように見える仕事だけど、やれば確実に終わるのよね……。
もう、凄いな。
改めて思う。
自分が好きになったこの人は、なんて大きな人なのだろうって……。
「 やっぱり凄いな。敦賀さんは…… 」
この日、想いは一層強まり
焦がれる気持ちはさらに加速し、強く恋心に焼き付いた。
――――――― もう私、早くあなたに追いつきたい!
E N D
タイトルの4つ…を蓮キョの歳の差の事だろう、と踏んで読み進めた方は多かったかと想像。ふふ…。ごめんね、普通じゃなくて。
ちなみに思考の差っていうのは育った環境で変わってくると思いますが。
実はこのエピソード、随分前の事ですがまんま一葉とマイ親友の会話でした。
お仕事がすっごく大変なの…と愚痴っていたマイ親友が、「でもやらなきゃ終わらないから!!」を連呼したのですよね。
人の考え方が十人十色だって事は理解していたつもり。けどあまりにも何度も繰り返すものだから、どうしてそんな自縛的な考え方なのって思ってつい言っちゃったんです。
「そうじゃなくて、やれば終わるって考えたら?」って。
それまで私は自分のことを極めて普通だと思っていたのですけど、そのとき一緒にいたもう一人の友人に「さすが一葉」と言われたことで、もしかしたら自分ってば案外、楽観思考なのかなって初めて気付いたんですよ。
でも実際、自縛的な考え方って苦しいと思うのです。
これは何にでも言えることだと思いますが、楽観的に構えてこなしていった方が物事は進捗しやすい…と、一葉は思っています。
そして一葉は、一度やると決めたら最後までやり通すタイプです。えへん。
⇒4つの差・拍手
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