SS 約束の記念日 | 有限実践組-skipbeat-

有限実践組-skipbeat-

こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


※出版社様、著作者様とは一切関係がありません。
※無断での転載、二次加工、二次利用は拒断致します。
※二次創作に嫌悪感がある方はご遠慮ください。

 いちよーでっすо(ж>▽<)y ☆

 調子こいて本日もお話をお届けいたしまーっす。


 それで、えっとね。いつもそうなのですけど本日も非常に長いお話となっております。それをあらかじめご了承下さいね。本当に長くて推敲時間も予定外に長くなっちゃった☆

 そして蓮キョ話は楽しいなー♪と思って頂ければ幸いです♡


 それから一応、大丈夫ですから!…と先に言い添えておきます(笑)

 何が大丈夫なのかは読み進んで頂くうちに自然と判りますので星ヨロ~



■ 約束の記念日 ■






 その日の天気は予報通り、良く晴れ渡った陽気な日だった。



 彼女は約束の時間より少し前に現れ、少々緊張した面持ちを浮かべていた。

 俺の顔を見た途端に肩をすくめ、慌てた様子で頭を下げる。



「 こんにちは!今日はよろしくお願いいたします 」


「 はい、こんにちは。他人行儀な挨拶はいいから、遠慮しないで入って?どうぞ 」


「 は…はい。失礼します 」



 温かく彼女を迎え入れたそこには来客用のスリッパが一組。



 自分のテリトリーに足を踏み入れた彼女を笑顔で導き


 あらかじめ用意しておいた

 柔らかい布素材で作られた背もたれの大きなソファに座るように促すと


 やはり彼女はどこかひきつった笑みを浮かべながら腰を下ろした。




「 やっぱり、緊張してる? 」


「 はい。ちょっとだけ… 」



 微笑ましいほどに張りつめた空気をまとい

 細い身体を満たす緊張感を正確に見て取り、小さく笑みを浮かべる。



 彼女の隣に浅く腰を掛けると、出来るだけ優しく、極力穏やかに俺は言葉を滑らせた。



「 大丈夫。なにも心配することはないよ。

 君がなるべく痛みを感じないように俺は細心の注意を払うし、君が無理そうだと思ったらそう言ってもらえればいい。そしたらすぐにやめるから。

 だから心配しないで、出来ることならもう少しリラックスしてくれたらこっちも有難いかな? 」


「 う……はい、すみません。お願いしたのはこちらなのに。

 判ってはいるのですけど。でもやっぱり初めてのことなので少し緊張してしまって… 」


クス…。まあ、そのままでもいいけどね 」





 ――――――― そう…


 いまこの子が口にしたように、彼女はこれから初めてを経験する。





 それは彼女にとって人生で最初の


 きっといつまでもその記憶に残されるだろう初体験。




 それを、自分の手で行えるという僥倖



 何より彼女が自分を選んでくれたことに素直に喜びを感じて

 自分の顔には自然と愉悦の笑みが浮かんだ。




 明るすぎれば彼女を追い詰め

 窮迫させてしまうかもしれないと考え


 天気が良いのにわざと陽の光を遮るためにブラインドは閉めておいた。



 窓に提げられたボーダーの隙間から漏れる太陽の光が

 まるで木漏れ日のように明るいラインを床に描く。



 薄暗い森の中にいるような

 そんな錯覚すら覚えさせる二人きりの室内で


 深くリクライニングする特殊なソファに身を預けた彼女は、いまドキドキしながら俺が触れるのを待っているのかもしれない。




 臆することなく腰を浮かせ、俺は浅く彼女を見下ろした。



「 ……ちょっといい?背もたれを動かすから、驚かないで 」


「 ……ハ……イ…… 」



 小さく頷いた仕草を認めて


 彼女の脇に片手を添え

 背もたれごとゆっくりとリクライニングを倒して静かに横たえさせる。



 見上げる瞳は不安げに揺らめいていて

 けれどその奥に見えるのは確かな信頼の光。


 彼女の緊張感を煽らないよう、俺は微笑を浮かべた。



「 ……大丈夫かな。平気? 」


「 はい。平気です 」


「 やめて欲しかったらちゃんと言うんだよ?我慢する必要はないからね 」


「 は……い。よろしくお願いします 」


「 うん。……それじゃ、始めるよ 」



 俺の手が彼女の頬に触れた途端

 細い肩がピクン…と揺れて


 一拍おいてさらに肌に触れると、彼女は自然と視界を閉ざした。





 ――――――― 判ってる。

 緊張するな…という方が土台、無理な注文なんだ。



 どれほど自分が笑顔を浮かべて、この子を優しく見つめた所で

 俺が近づくほどに彼女の呼吸は細く細く狭まってゆくのだろう。




 口を開けて?…と耳元でそっと囁き、彼女の動きを促すと

 はい…と小さく答えて口を開けた彼女の両手が、腰元でソファの端を握りしめた気配を感じた。



「 ……っ……ん… 」



 細い喉が微音を生み


 開かれた桜色の唇が俺の行為を受け入れる。



 やはり一切の遠慮を持ち込まずに、思うが儘にその歯列をなぞった。



「 …あっ……ふ………んっ!! 」



 瞼を固く閉ざして、けれど無防備に口を開け放つ彼女の動静を見つめ


 注意深く観察をしながら反応の鋭さを確認する。



「 ここはどうかな? 」


「 ……あっ……んん…っ!! 」



 敏感に反応を示す場所は特に執拗に


 何度もしつこく、責めたてる様に注意深くなぞってゆくと


 与えられた感覚に耐えられなくなったのか

 彼女の目じりから一粒の星が生まれ、儚く流れて消えていった。



「 ……ごめん。続けるの無理そう?つらい? 」


「 はっ…ん……。だ…大丈夫、です。だって、まだ始まったばかりじゃないですか…… 」


「 そう?無理する必要はないんだよ?辛かったらちゃんとそう言って? 」


「 はい。ありがとうございます。本当にダメだったら…ちゃんと、お伝えしますから… 」


「 …――――― 本当だね?じゃあ続けるよ? 」


「 は…い……っ!……あっ…んっ… 」




 細い腰が跳ね上がり

 俺との接触を知覚するたびに彼女の全身が小刻みに震える。


 長い睫毛を濡らす涙の粒が

 幾度もソファにしっとりと染み込んだ。



 頻繁に視線を動かし

 涙に濡れる顔を何度も見つめて


 そのたびに変化してゆく彼女の表情を見守った。



 最終章に差し掛かる頃には途中でやめることはムリな状態になっていて


 改めて彼女に視線を向けて俺は彼女の同意を取り付けた。




「 ―――――― ごめん。この先はもっと痛くなるかもしれない。

 でもここまで来たらもうすぐだから、このまま我慢できる? 」


「 ん……ハイ。…私なら平気で、すっ……!!痛っ…… 」




 強がって見せた所でやはり堪え切れなかったのだろう。


 彼女が肩を跳ね上げて思わずそれを言葉に変えたとき

 俺が傷つけたその場所から鮮血が溢れた。



 彼女が流した涙のように、瞬く間に膨れあがる赤い雫。

 それが重力に逆らう事を知らず幾重にも重なり静かに流れ落ちてゆく。




 痛みは充分すぎるほど感じていただろうに

 それでも彼女は健気に俺の行為を受け入れ続け


 その思いに応える赤い証を俺はきれいに拭い取った。




「 …… っ!! 」




 二人だけの室内で


 荒く耳に届く彼女の呼吸音は

 まるで色のついたBGMのようだった。




 恐らくは自分からお願いしたのだから…と

 彼女は律儀にその思いを守り続けたに違いない。




 ソファを握る指先は爪が白く染まるほどだというのに


 彼女は閉じた瞼の中に溢れんばかりの涙をためこみ


 それでもその細身の身体で



 どこか怯える様に震えながらも俺がする事の全てを享受し

 俺が与える総てのコトをただ素直に受け止め続けた。



「 …っ!!……うんっ……イッ……んっ… 」


「 もう、終わるよ… 」


「 ――――――― は、い… 」



 安堵の溜息をついたあと、流れ落ちたその涙は

 君が痛みを耐え抜き頑張り通したという何よりの証拠。




 そして君は知ったに違いない。



 物事には全てにおいて始まりがあり

 そしてやがては必ず終焉を迎えるのだということを。



 すべてのコトが終わり、彼女の呼吸が正常に戻ったのを見計らい


 俺はリクライニングさせていたソファを静かに元に戻した。



「 終わったよ。でもしばらくは痛むかもしれないけどね 」


「 はい… 」



 ふっと息を吐いた彼女が

 涙にぬれた睫毛を揺らして静かに瞼を開いてゆく。



 その様を眺めながら

 いつの間にか自分も



 彼女と同じように緊張していたのだと気付いてふと苦笑を浮かべた。



「 お疲れ様。よく頑張ったね 」


「 ……はい。ありがとうございました 」



 弱々しく吐き出されたお礼の言葉は細い微笑を伴った。



 気付けば淡く濡れた彼女の瞳は

 ウサギのように真っ赤に染まっていて



 けれど彼女は俺と視線を絡ませたのち


 ようやく大人の仲間入りをした気分です…と言って

 目じりに浮かんだ自分の涙をそっと拭ってから



 隠された太陽より明るく屈託のない笑顔を俺に見せてくれた。








「 ………って、なんだこれ? 」



 本来ならそれに対して決して異を唱えることなどない社が

 蓮と一緒に目を通していた台本から顔を上げると素っ頓狂な顔で口を開いた。


 次いで最後まで台本を読み切った蓮が重く顔をあげる。



「 ……――――――― 黒崎監督…。なんですか、これ?

 どうしてこんな台本なんです? 」


「 ん?なにかおかしい個所があったか? 」


「 え?…っと、そう聞き返すという事は敢えて俺から指摘してもいいということでしょうか? 」


「 指摘ぃ?ンなモンされたかねぇよ。…つかそれ、面白かねぇか? 」


「 いえ。意表を突いていて面白いとは思いますけど… 」



 そう返答しておきながら

 蓮は隣にいる社と視線を交わすと今度は窺うように口を開いた。



「 社さん、どう思います? 」


「 ……俺、たぶん台本に目を通し始めて5秒もしないうちにキョーコちゃん、顔を真っ赤にして有り得ない奇声を発すると思う。それできっと自主的にカーテンに巻かれるんじゃないか? 」


「 ……ですよね 」



 一も二も無く同意を添えると、蓮は頭を抱えて長い溜息を吐き出した。




 CM監督、黒崎 潮。



 斬新かつアーティスティックなCMを作り上げる個性派監督として知られるこの人物が作り上げる作品は、常に注目を集めることで知られている。



 特に数十秒しかない短時間の映像の中で


 非常にインパクトのあるドラマ仕立てのコマーシャルフィルムを作り上げる彼の腕前は一級品と太鼓判つきで、依頼主のみならず視聴者サイドの好感度も極めて高く、業界でも一目置かれていた。




 しかし……。



 最後まで目を通した台本を一瞥し、蓮はまた小さく溜息をついた。



 特異な感性を発揮しているのは何も映像だけにとどまらないようだ、と


 一目見たとき脳裏に浮かべた率直な感想をリフレインしながら、非常に個性的な外見を有する監督へ視線を投げ、胡乱げに目を細める。





 正直なことを言えば

 これをきっかけにあの子に警戒心を持たれたくない。




 そんな蓮の思いには気付けなかった社は


 担当俳優の手にある台本にもう一度視線を落とすと、そのページを覗き込みながら感心したように口を開いた。



「 しかし、ある意味すごいよな。

 歯科治療を施す歯医者とその患者ってだけなのにこの意味深な流れ…。こういうのを鬼才って言うんだろうな 」


「 それは、確かに俺もそう思います。

 親知らずなんてある程度の年齢に達しないと生えませんからね。その治療を初体験と呼ぶことで別の事をイメージさせるっていうの、斬新でいいですよね。

 ……でもこれ、映像にしたら面白さが活かされないんじゃないですか?実写の無い文章だからこそのユーモアだと思うんですけど… 」



 瞬間、蓮のつぶやきを聞き逃さなかった黒崎は膝を叩き、即座に腰を上げると蓮を貫かん勢いで鋭く人差し指を突き出した。



「 か――――――― っ!!おい、敦賀蓮!! 」


「 はいっ?! 」


「 お前、俳優だろ?言葉だけが意味深で妖しい世界を伝える手段だと本気で思ってんのか?違うだろ?お前はそんな奴じゃないはずだ!そうだろ、若手ナンバーワン!

 役者ならそれを体現しろ!視聴者にそれを惜しみなく魅せろ。

 言っておくけどな、俺はそれを撮る側の人間なんだ。お前が出来ないと言うなら他を探す。それでいいか? 」


「 いえっ!!俺が演ります 」


「 だったらグダグダ言う必要ねーじゃねーか 」



 勢いよくフン!…と踵を返し

 再びどっかりとイスに座った黒崎の横顔を眺めながら


 監督の言う通りだ…と考えを改め直し

 蓮はもう一度、役者魂を簡単に煽った黒崎が用意した台本に目を通し始めた。



 そのまま口をつぐんだ蓮の顔を、社は心配そうに覗き込む。



「 蓮。いくらお前でも無理じゃないか?俺が思うにキョーコちゃん、リンゴより真っ赤になってハレンチを連発すると思うぞ? 」


「 いえ。あの子は案外、仕事だと割り切れる子ですよ。

 …でも、そうですね。全く危惧が無いと言えば嘘になります。だったらいっそ、最上さんに台本を読ませなければいいかと 」


「 おまっ!! 」


「 監督。いいですよね?彼女には一切、この内容を告げないで下さい。

 親知らず治療を受ける女性をアドリブで、と伝えれば彼女はその通りに演じます。カットがかかるまで演技を続けろと指示をして下されば中断することもありません。

 あとは俺を信じて俺に任せて下さい 」



 挑戦的な瞳で

 けれど決して無謀ではないだろう確かさを含んだトップ俳優の言葉に


 黒崎はニヤリ…と笑った。



「 ふふーん、了解。お手並み拝見… 」




 後日、歯科医師会からの依頼を受けて黒崎潮監督が制作した

 この歯科受診を推奨するコマーシャルフィルムは異例の大反響を呼んだ。



 実はこのCM、蓮の言葉を受けて閃きを得た黒崎潮が、当の依頼元である歯科医師会にそれを提案。


 医師会はもちろんその妙案を受け入れた。



 文字特有の世界観を活かすため

 敢えてラジオCMからオンエアを開始するという戦略を講じたことが功を奏し



 電波に乗ったと同時に電光石火の勢いで巷の話題をさらった挙句、さらに人々の関心を巧妙に惹きつけた。



 視聴者の想像力を煽るだけ煽ったことで

 ラジオ放送でも類を見ない異例の注目度を浴び



 絶好のタイムラグを経たタイミングで今度はテレビCM放送を開始。




 各々の脳内で繰り広げられていただろうそのシーンが確かな映像となった視聴者の驚きはいかほどだっただろうか。


 注目されたのはむしろとても自然で、さらに裏切ることを知らない血の通った蓮の演技が人々の関心を根こそぎ奪った。



 以前より定評のあった映像技術と、黒崎ならではの度肝を抜くカット割り。

 そして場面切り替えの闊達さと軽快な歯切れ感。



 何より、敦賀蓮扮する妙に色気を醸した夜の帝王バリな歯科医の姿は、ラジオCMで想像した以上のもの。

 対して共演を果たした京子はこれ以上ないほどピュアな雰囲気。



 円熟な艶を醸す歯科医と、純然に満ち溢れた患者。


 CMで繰り広げられたのは極めて日常的な出来事の延長線に過ぎなかったにも関わらず、この二人が放った危ういアンバランスさは、より一層、視聴者のイケナイ妄想を駆り立てた。




 好評価は千里を走り、またCMを連続ドラマ仕立てにした事で視聴者に斬新な印象を刻み込む。


 本来の目的であった潜在患者を掘り起こすには充分すぎるほどの刺激だったようで、歯科受診を希望する患者の数は日を追うごとに増加の一途を辿った。




 ちなみに、このCMのタイトルは、『 約束の記念日 』




 本来、制作されるCMには内容の有無にかかわらず必ずタイトルが付けられる。


 業界ではひどく当たり前のこれは、けれど基本的にその情報が画面に投じられることは無いため、一般視聴者の意識にCMタイトルが認知されることは無いのだが。


 ……にも拘らず日本国民の8割がこのCMタイトルを記憶したのは、これがその年のラジオCM部門およびテレビCM部門で賞を総なめにしたからである。





 余談であるが

 このCM撮りはもちろん、一発OKでの撮影となったのだが



 アドリブで…と指示を受けたキョーコが取ったある言動に




 蓮が一発KOに陥っていたことは



 本人以外、誰も知らない。









     E N D


クス…( ̄▽+ ̄*)……面白かったですか?

最初にお伝えしておいた通り、大丈夫でしたでしょ(笑)


そして読んで下さった方の頭の中に正しくそのシーンが展開されていたなら嬉しいな♡…と思います。


ちなみに正しく…というのは当然…むふふなシーンですよ♡♡♡( ´艸`)

だってそれを思い描いて欲しくて、一葉、いつもより推敲に時間をかけて頑張ったのですもの


もうすぐ歯医者の予約日だなーって思いながら、仕事中に(←こら)治療内容を脳内で思い描いたとき、これを言葉で表現すると妙にセクシーだな…と気付き、蓮キョ妄想で頑張ってみました。


なので二度読みする時はぜひ、親知らずの歯科治療を受ける患者と歯医者のイメージで読んで頂けたらと思います。また別のテイストで楽しんで頂けると思います(笑)


そして凝りもせず最後におまけ…をつけようと思ったのですけど

なんと文字制限に引っかかってしまって一度にUPが出来ないという驚きの事態に。


おまけは改めて別記事でUP致しますので、お付き合い頂けましたら幸いです。



⇒約束の記念日・拍手

Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止


※こちらがおまけです⇒『約束の記念日・おまけ』


◇有限実践組・主要リンク◇


有限実践組・総目次案内   

有限実践組アメンバー申請要項