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生活保護の母子加算が昨年の3月に完全廃止されました。
これにより、浮いた予算はたった180億円です。
こんなことをして、良かったのかなあ。
これを受けて、
参議院で生活保護の母子加算復活法案が野党の賛成により成立しそうです。
衆議院では、再び、与党の力で否決なんですかね。
格差社会の底辺にいる人たちをいじめているとしか思えないです。
母子加算復活法案 本日参議院で審議・採決 反貧困ネットワーク事務局長 湯浅 誠 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 一般母子世帯の子どもの貧困率は66%といわれる。これを放置して いいのか。国会の意識が問われている。 厚生労働省は、2003年「生活保護制度に関する在り方を検討する専門 委員会」の意見を受ける形で、06年度より生活保護の母子加算を3年かけて 段階的に廃止する決定(大臣告示による)を行い、08年3月31日をもって母子 加算を全廃した。これにより、浮いた予算は180億円。 しかし昨年秋の「派遣切り」以来、セーフティネット構築への関心は急速に 高まっており、その中で、野党4党の共同提案として6月中旬、「母子加算 復活法案」が衆議院に提出された。与党は審議入りを拒否、野党は多数を 占める参議院に再提出を決め、6月23日参議院厚労委員会で趣旨説明、 本日25日審議・採決の予定である。 民主党等が主催する一連のヒアリングの中で明らかになってきたことは、 母子加算削減で、子どもたちが「高校受験費用が公立高校1校分しか出ない ため、自分の実力よりも何ランクも落として確実に合格する高校を受験 せざるを得ない」、「修学旅行に行くことを自分から辞めると言い出した」 などという実態だ。 また、上述の委員会の委員からは「自分たちは母子加算削減が適当だ などという結論は出していない」という異論も続出。厚生労働省がわずか 30~40だけのサンプルで「生活保護を受けている母子はもらいすぎ」との 結論を出していたことも明らかになった。母子加算削減が、人々のニーズや 均衡に応じた政策であるよりも、「骨太の方針2006」で定式化された「社会 保障費2200億円抑制」の流れの中で政治的に差し出された疑念の ぬぐえないことが明らかになってきた。 厚生労働省は、「検証に用いた元データはすでに廃棄して手元にない」、 「委託して作成した調査報告書も既に破棄した」など、母子加算削減の 根拠のあいまいさ、管理のずさんさを露呈している。 問題の本質は、平均年収が一般世帯の3分の1(約210万円)しかなく、 総じて貧困の中にある母子世帯の「より低い」層に合わせることが、 果たして子どもの健全な育成にとって良いことなのか、という点にある。 こうした視点は廃止を決めた当時には社会の趨勢とはならなかった。 「まだ削れるはず」「甘えがあるはず」という“自己責任論”の中で、 次世代を担う子どもたちの健全な育成をサポートできる社会を、という 視点は乏しかった。 厚生労働省が出している「代替策」(就労促進費など)が有効に機能 しないことは、疲弊しきった福祉事務所の実情を知る現場の人間たちに とっては常識である。 またも現場を知らない官僚や国会議員たちに人生をずたずたにされる 人たちが増えるのか。子どもの健全な育成が、政争の具にされるのか。 耐えられない思いで、それでも諦めるわけにもいかないので、私たちは 日々与野党に対する働きかけを続けている。 <湯浅 誠 氏 プロフィール> 1969年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。 90年代より野宿者支援に携わる。「ネットカフェ難民」問題を数年前から指摘し 火付け役となるほか、貧困者を食い物にする「貧困ビジネス」を告発するなど、 現代日本の貧困問題を現場から訴えつづける。『反貧困―「すべり台社会」 からの脱出』(平和・協同ジャーナリスト基金賞大賞)など著書多数。 NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 事務局長他も務める。 反貧困ネットワーク http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/