広島県が転出超過の多い理由 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

「転出超過」は、県外から転入してきた人口よりも、県外に転出した人口が多い状況です。

転出超過人口が、最も多かったのが、広島県でした。

以下の通り、2位以下を大きく引き離しています。

 

1位 広島県 11,409人

2位 愛知県   7,408人

3位 兵庫県   7,397人

4位 福島県   6,579人

5位 長崎県   6,439人

 

国内全体の転出超過の数値は、以下の通りです。

 

東京周辺の都道府県は、東京に牽引され、転入超過になっています。

関西地方の主要都市の大阪、九州地方の主要都市の福岡も、転入超過です。

ところが、中四国地方の主要都市である広島は、転出超過です。

しかも、広島県の転出超過は、3年連続で全国ワースト1位です。

これは、生まれも育ちも広島の人間には、ショックなデータです。

 

それでは、なぜ、広島県は転出超過が多いのでしょうか?

 

このことについて、チャットGTPに質問してみました。

 

回答は、以下の通りです。

 

1 高い土地代と生活費

 土地代が高いため、家を建てる際に負担が大きいと感じる人がいます。

 市内の駐車場代も高いことが影響しているかもしれません。

2 子ども医療費の所得制限

 子どもを持つ家庭にとって、「こども医療費」の所得制限が厳しいと感じる人がいます。

 このため、県外へ移住する選択肢を検討する人もいます。

3 地域経済の変化

 大企業の撤退や移転により、地方経済に影響が出ていることがあります。

 例えば、日本鋼管や日新製鋼などが撤退したことで、福山や呉などで人口流出が進んでいます。

4 就職先の選択肢

 東京などの大都市での就職を希望する学生が増えています。

 オンライン面接の普及により、東京や大阪の企業を受験しやすくなったことも影響しています。

5 若年世代の流

 20歳代の転出超過が顕著であり、東京一極集中が浮き彫りになっています。

 広島県内の大学でも、県外就職率が増加していることが報告されています。


なるほどですね。

ただ、疑問があります。

僕の見解を述べていきたいと思います。

 

●若年世代の流出と就職先の選択について

大学生が就職先を決める際、東京を選ぶのは理解できます。

転職する人が東京を選んで、千葉、埼玉をベッドタウンに選ぶのも理解できます。

関東圏の多くの町が転入超過になっています。

しかしながら、関東圏以外の他の地方は、広島と同じ条件のはずです。

単に、広島は人口が多いから、それに比例して、転出超過が多いのでしょうか。

都道府県別の人口順位は、以下のようになっています。

 

1 東京都 12,064,101人

2 大阪府 8,805,081人

3 神奈川県 8,489,974人

4 愛知県 7,043,300人

5 埼玉県 6,938,006人

6 千葉県 5,926,285人

7 北海道 5,683,062人

8 兵庫県 5,550,574人

9 福岡県 5,015,699人

10 静岡県 3,767,393人

11 茨城県 2,985,676人

12 広島県 2,878,915人

21 岡山県 1,950,828人

 

広島は12位です。

岡山と比べると、人口が多いから、その分、転出超過の人数も多くなっている可能性があります。

しかしながら、静岡や茨城は、広島よりも人口が多いのに、転出超過の人数は広島よりも少ないです。

これら2県は、東京に近いと言えば近いです。

ただし、北海道は東京から遠いです。

北海道は、広島よりも人口が多いのに、転出超過の人数は広島よりも少ないです。

それに、東京からの距離で考えれば、岡山も転出超過が相当多くなるはずです。

就職による引っ越しを、転出超過ワースト1の主原因にするのは、少し疑問が残ります。

 

●地域経済について

都道府県別のGDPの順位は、以下のようになっています。

 

1位 東京都 115,682,412百万円

2位 大阪府 41,188,364百万円

3位 愛知県 40,910,717百万円

4位 神奈川県 35,205,391百万円

5位 埼玉県 23,642,796百万円

6位 兵庫県 22,195,171百万円

7位 千葉県 21,279,583百万円

8位 北海道 20,464,601百万円

9位 福岡県 19,942,412百万円

10位 静岡県 17,866,284百万円

11位 茨城県 14,092,237百万円

12位 広島県 11,969,086百万円

22位 岡山県 7,842,490百万円

 

広島が突出して、経済が悪化しているわけではないようです。

経済を、転出超過ワースト1の主原因に位置付けるのは、疑問が残ります。

 

●子供の医療費について

広島市は、中学校までしか、医療費の補助がでません。

他都市では高校まで医療費の補助が出るところもあります。

これが住みにくいという印象を与えている側面があります。

ただし、転出超過は、子育て世代だけではなく、全ての世代で発生しています。

子供の医療費を、転出超過ワースト1の主原因に位置付けるのは、大いに疑問が残ります。

 

●土地代について

都道府県別の地価を調べてみました。

トップ10と1m2当たりの地価は、以下のようになっています。

 

1 東京都 1,085,633円/m2

2 大阪府 372,652円/m2

3 神奈川県 302,246円/m2

4 京都府 245,420円/m2

5 愛知県 224,880円/m2

6 兵庫県 160,910円/m2

7 福岡県 153,319円/m2

8 埼玉県 150,639円/m2

9 千葉県 115,165円/m2

10 広島県 108,676円/m2

18 岡山県 48,667円/m2

 

広島と岡山を比べてみます。
広島の地価は、10位です。

岡山県の地価は、18位です。

岡山県の地価は、広島の半値です。

 

広島のGDPは、12位です。

岡山のGDPは、22位です。

岡山のGDPは、広島の8割くらいです。

大差はありません。
 

ここからは、僕の推測です。
広島市は、山間部が多く、平野部が少ないです。

このため、山間部に多くの団地が造成されましたが、この開発には、相応の費用が必要になります。

このコストが地価に乗っかているわけです。

これが、広島市は住みにくいという印象を与え、広島県の印象になっていると思うわけです。


それから、公共交通機関としては、路面電車とアストラムラインがありますが、これらは特急がありません。

これらは各駅停車です。

このため、移動に時間がかかります。

 

つまり、団地に住むためには相応のお金が必要で、団地から市街地に移動するのは時間がかかるわけです。

 

若者目線で観ても同じことが言えます。

広島は、都心部に大学がほとんどありません。

修道大学や広島市立大学は、山間部にあります。

広島大学は、市外の東広島市にあります。

つまり、こうしたエリアに住んでいると、市街地に移動するのに時間がかかるわけです。

これが広島は住みにくいという印象を与えているのではないか、そう思うわけです。

 

●改善策について
広島には、名物や名所があります。

名物としては、お好み焼き、汁なし担々麵、つけ麺、カキ、、穴子や子鰯の刺身、レモン、日本酒等があります。

名所としては、宮島、大久野島、平和公園、西条の酒蔵、尾道の街並み等があります。

それから、野球はカープ、サッカーはサンフレッチェがあります。

広島に対して、好印象を持っている方は、多くいると思います。

しかしながら、こうした観光資源だけで、定住者を増やすのは難しいです。

このため、地価と移動時間が問題になっているのであれば、それを改善する方策が必要になります。

もちろん、転出超過の原因が、地価と移動時間であるとは限りません。

的外れかもしれません。

ただ、こうした仮設を立てて、それを検証しながら、改善策を講じることが重要になると思います。