「ニュータイプの時代」について | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●おススメの書籍

僕は、月にだいたい5冊くらいの本を読みます。

今回読んだ本は、なかなか良かったです。

「ニュータイプの時代」という本です。

この本の内容を説明した後、この内容を、有資格者としてどう活かしていけばいいか言及したいと思います。

 


 

この本の作者は、山口周さんです。

経営コンサルタントです。

この本の目次は以下のとおりです。
 

第1章 人材をアップデートする6つのメガトレンド
第2章 ニュータイプの価値創造
第3章 ニュータイプの競争戦略
第4章 ニュータイプの思考法
第5章 ニュータイプのワークスタイル
第6章 ニュータイプのキャリア戦略
第7章 ニュータイプの学習力
第8章 ニュータイプの組織マネジメント

 

 

●ニュータイプとは

ニュータイプという言葉聞いて、一番最初に思い出すのは、『機動戦士ガンダム』ですね。

このアニメの中のニュータイプは、予知能力やテレパシーといった超能力を有する人という意味です。

この本で扱っているニュータイプは、ガンダムのそれではありません。

文字通り、これまでの古いタイプではなく、新しいタイプという意味です。

作者は、ニュータイプについて、書籍冒頭で以下のような説明をしています。

 

自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材

 

これだけ読むと、ニュータイプとは、要するに若い人なのではないか?って思ってしまいます。

ガンダムで用いられるニュータイプとのギャップが大きすぎて、思わず読むのを止めようかと思ってしまいました。

しかしながら、読む進めていくうちに、ニュータイプの真の意味合いが解ったきます。

 

この本を読んでいると、VUCAという言葉が頻出します。

VUCAは、

V =volatile(不安定)

U =uncertain(不確実)

C =complex(複雑)

A =ambiguous(曖昧)

の頭文字をつなげとものです。

僕らが生きている現代社会は、様々なのとがVUCA化しています。

社会がVUCA化すると、これまで価値のあったことが無価値化するのだそうです。

具体的には、①経験、②予測、③最適化です。

確かに、時代が変われば、これまでに培った経験は、役に立ちません。

また、複雑で不確実なら、変化を予測できませんし、不安定で曖昧なら、何が最適か見極めることができません。

つまり、これまでのやり方を踏襲する「オールドタイプ」では、新たな時代に追従、創出することは不可能というわけです。

というわけで、VUCAに対応できる人が「ニュータイプ」です。

このため、「ニュータイプ」は、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強いといった特徴があるというわけです。

 

●ニュータイプになるためにやるべきこと

ニュータイプになるために何をすればいいのか?

この本の中で、以下のようなことを推奨しています。

 

①リベラルアーツを学び、これを活用して構想する

②自分が活躍できるレイヤーを探して、そこで努力する

③問題の正解を探すでのはなく、問題を見つけ出し提起する

④論理だけで動くのではなく、論理と直感を状況に応じて使い分ける

⑤組織のルールよりも、自分の道徳や価値観に従って活動する

⑥命令に駆動されて働くのではなく、好奇心に駆動されて働く

⑦方法でななく、目的をフォーカスする

 

このうち、②、⑦について、印象的な話が書いてあったので紹介します。

 

●自分が活躍できるレイヤーで努力する

この書籍では、「1万時間の法則」について紹介があります。

大きな成功を収める音楽家やスポーツ選手等、一流になった人は、1万時間のトレーニングを積んでいるという話です。

この法則は、努力の大切さを説くものです。

もちろんですが、どんな人でも1万時間努力すれば一流になれるわけではありません。

ただし、自分の活躍できることを見つけて、それを1万時間努力すれば一流になれる可能性は高いです。

 

IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授は、スポーツ整形外科医を目指していたそうです。

しかしながら、研修医の期間中、自分は手術が下手であることを悟ります。

向いていないと感じ、2年で路線変更し、薬理学研究科に入学します。

しかしながら、ここでも自分には合ってないと挫折することになります。

そして、再度キャリア転向し、いよいよ遺伝子工学の道に進むことになります。

自分が活躍できることを探し、努力して、その結果、IPS細胞を発見することになります。


山中教授はとてつもなく頭の良い人ですが、整形外科、薬学の分野で一流になったわけではなく、遺伝子工学の道を見つけ、そこで努力したから一流になれたわけです。

私たちも同じです。

まずは、自分にあったものを見つけ、そこに1万時間の努力を投入すれば、ノーベル賞とまでいかなくても、その道のプロになれるというわけです。

なるほどですね。

 

●目的を明確にする

国内に格安航空会社がいくつかありますが、最も有名なのはピーチ・アビエーションだと思います。

ピンクの航空機が目印ですね。

このピーチの創業者のミッションステートメントは、「世界から戦争を無くす」です。

世界平和を実現するために、格安航空会社を創業したというわけです。

これにはどんな意味があるのか?

 

創業者曰く、

 

友達がいろいろな国にいるという状態を作れば、戦争をしなくなる。

そのためには、若者が海外に出て、様々な文化、様々な人と知り合って欲しい。

だからこそ、若者が気軽に海外に行くことができるよう、格安航空が必要。

 

なるほどですね。

目的が明確になれば、判断軸ができますから、経営者や上司は、方針を示しやすいです。

また、これに従事するスタッフも、働く意味を知ることができ、モチベーション維持に繋がります。

 

●技術士のVUCA対応について

VUCA対応は、V不安定、U不確実、C複雑、A曖昧に対処することを意味します。

 

複雑なものはシンプルにして、曖昧なものは明確にする必要があります。

これは、問題の原因を明確にすることを意味します。

ここで、技術士に求められるコンピテンシーの、「問題解決」の1つ目を見てみましょう。

以下のとおりです。

 

【問題解決】

①業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。

 

技術士は、問題の本質を明確にすることを生業としています。

複雑、曖昧なものに対処することができるわけです。

 

次に、不安定、不確実なものに、対処する必要があります。

これは、対応性の高い対策を提示することを意味します。

ここで、技術士に求められるコンピテンシーの、「問題解決」の2つ目と「評価」を見てみましょう。

 

【問題解決】

②複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

【評価】

業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。

 

技術士は、選択肢を用意して、これらを評価することを生業としています。

不安定、不確実なものに対処することができるわけです。

 

このように、技術士は、VUCA対応することを目標にしたエンジニアと言えます。

つまり、技術士として、技術士らしく仕事をすれば、自ずと、ニュータイプの時代を生きていくことができるわけです。

 

 

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