35歳という年齢の持つ意味 | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●35歳という年齢

「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」、これは、文科省技術士分科会が発表した文書です。

この前文に、遅くとも35歳までに技術士試験を合格して活躍するべき、そういう内容が記されていました。

 

具体的に35歳という年齢が示さていることに驚きましたが、同時に、なぜ35歳なんだろう?という疑問を覚えました。

そこで、35歳という年齢について考えてみました。

 

●30代を後悔しないためにやるべきこと

まずは、30代という世代について考えるため本を読もうと思い、アマゾンで「30代」と入力してみました。

上位の方に出てきた「30代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則(著:大塚寿)」を読んでみました。

この本は1万人の方を対象に、「30代にやっておけばよかったと後悔してること」をリサーチして、作者の意見をまとめたものです。

 

例えば、以下のようなことがピックアップされています。

 

・「自分のテーマ」を見つけるべきだった

・リアルな人生設計を描くべきだった

・チャンスにすぐ対応すればよかった

・誰と付き合うのか真剣に考えるべきだった

・コミュニケーション能力を身につければばよかった

・真面目だけではうまくいかなった

・会社や上司の本音を理解する努力をすればよかった

・組織の中で自分を貫けばよかった

・体をきたえるべきだった

・結婚するべきだった、結婚するべきではなかった

・家を買うべきだった、お金を貯めるべきだった etc

 

30代というのは忙しい時期です。

しかしながら、多くの先輩方が、自らの30代を後悔しているわけです。だから、こうした後悔をしないですむよう、忙しい中ででも、いろいろと考えるべきなんですね。そして、いろいろ考えた後、何からかの「行動」をすることが重要なんでしょうね。

 

 

●35歳という年齢の持つ意味

30代を迎える前、つまり、10代、20代というのは、人生の育成期間です。高校や大学に通っていれば、親の保護下ですし、成人して組織に属していても、上司、先輩の指示に従って行動すればいいわけです。

つまり、頑張っていればいいわけです。

例えば、コンサルタントであれば、先輩や上司の指示に従って作業をすればいいわけです。

 

しかし、30代になったら、10代、20代のようにはいきません。自分で考えて、行動する必要があります。しかも、結果を出すことが求められます。

つまり、ただ頑張っているだけではダメなんですね。

例えば、コンサルタントであれば、自分で顧客の課題を分析して、期限までに対策を提案する。同時に、その提案によって、顧客に対して実利益を提供するわけです。

 

一方、40代になったら、10代、20代に仕事に対する姿勢を教える必要があります。何をやるべきか具体的な指示を出す必要があります。同時に、スタッフが、自分で考え、行動して、結果を出せるよう、自主性と能力を育てる必要があります。

つまり、40代は、自分以外の人が頑張ってくれるようにするマネジメント能力が必要になるわけです。

 

そして、ここからが重要です。

35歳というのは30歳と40歳の中間なんです。

 

だから、35歳という年齢は、次のことを期待されています。

 

自分で考え、行動して、結果を出せるようになった成長した上で、自分以外の誰かに考えてもらい、行動してもらい、結果を出してもらえるような能力を身につけていけること

 

20代の考え方のままでは自立できませんし、30代の時点で40代にやるべきことを理解していなければ、組織が欲しがる人材に成長することが難しくなります。

 

だから、35歳という年齢にはちゃんとした意味があって、35歳という年齢の持つ意味を自覚しながら努力をした方がいいわけです。

 

 

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

 

今回、ご紹介した「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の前文(35歳の記述)は、以下のとおりです。

 

技術の高度化、統合化等に伴い、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化している。これらの者が業務を履行するために、技術ごとの専門的な業務の性格・内容、業務上の立場は様々であるものの、(遅くとも)35歳程度の技術者が、技術士資格の取得を通じて、実務経験に基づく専門的学識及び高等の専門的応用能力を有し、かつ、豊かな創造性を持って複合的な問題を明確にして解決できる技術者(技術士)として活躍することが期待される。

 このたび、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)について、国際エンジニアリング連合(IEA)の「専門職としての知識・能力」(プロフェッショナル・コンピテンシー、PC)を踏まえながら、以下の通り、キーワードを挙げて示す。これらは、別の表現で言えば、技術士であれば最低限備えるべき資質能力である。

 技術士はこれらの資質能力をもとに、今後、業務履行上必要な知見を深め、技術を修得し資質向上を図るように、十分な継続研さん(CPD)を行うことが求められる。

 

さて、ここまで読んでいただいた30代の技術者の皆様、

せっかくの機会ですから、技術士試験を受験する中で、自らの成長を促してはどうでしょうか?

 

なお、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の詳細をご覧になりたい方は、こちら をクリックしてください。