他人様のお話は読まない。
すぐ真似したくなるから……
などといっておきながら、暇に任せて近頃は、ちょこちょこ目についた作品を読んだりしている。
町の本屋さんには消えてほしくないので、ときどき書店でふつうに本を買う。
書店で偶然見かけて、上下ともなるとちょっと高いが、よさそうだと思ったので買ってきた。
「家守綺譚」。
原作小説を漫画化した作品である。
時は明治。その父君の依頼により亡友の実家を預かることになった、駆け出しの作家青年の話。
常に「水」と関わっているお話で、水は、人の心やその深いところ、今風にいうなら潜在意識の象徴である。
幽霊や物の怪は水場に出るというが、この作品でも最初から亡友が至極平然と登場する。
というよりこの連作、生身の人より物の怪の方が数多く登場しているのではあるまいか。
主人公ははからずも水際、この世とあの世の境界近くに住むことになった。
私たちがふだん自分だと思っている「顕」在意識の部分は、潜在意識という大海に浮かぶ儚い小舟のようなものだ。
耳なし芳一を引き合いに出すまでもなく、あまりそっちの方と関わっていると、小舟に穴があいてたちまち浸水してくる。
気づいたときには、あっという間に大海に飲み込まれてしまう。
ああ、真似したい。