少し行き過ぎ。
☆
少しの行き過ぎである。
まだ取り返しがつく。
卦辞では「可小事、不可大事(小事には良く大事にはNG)」とある。「飛鳥遺之音……」と続く。飛鳥というのは全体の[象|かたち]から。初、二の陰爻と五と上の陰爻が翼、三と四の陽爻が胴体。これを飛び去って往く鳥の姿と観る。
♪ さ~っと飛び越す~飛鳥の翼
スキーの歌だ。ただし、調子に乗ってばかりもいられない。卦辞はさらに「……不宜上、宜下(上はよろしくない。下はよろしい)」と続き、これ以上高く飛んではだめだという。
この卦はまた、大きな坎の象でもあって、困難の中にいる、低いところへ下る等々、万事控えめにという意味に通じる。前回の誠心(中孚)とは逆に、互いが背き合って(口が上と下を向いて背中合わせの象と観る)和合しないともとれる。
卦辞で「大吉」(大いに吉)とあるのは、「宜下」、下ることができればという条件付きだ。これが本格的に行き過ぎてしまうと、よく対比して説明される第二十八卦「重荷」(大過)になってしまう。こうなると、内に抱えている陽が多すぎて歯止めが効かなくなる。
