攣如な占例 | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

※アフィリエイト記事ではありません。 
 

この記事もそうだが、プレーンテキストとして文章を書くときはポメラを使っている。

 

ポメラは最初に発売された頃からずっと使っていて、キーボードがスライドして文庫本サイズに折りたたまれる最初の機種(美しかった)はお茶の水の紀伊國屋丸善で買った。ひとまわり以上昔のハナシだ。

 

限定機種が抽選販売されるのを知ったのは、応募期間の最終日、締め切りの2時間ほど前に見たネット記事で、よく考えもしないで応募した。

 

翌日、 結果がちょっと気になって、珍しく卦を立てた。


サイコロによる無筮立卦(略筮)だが、得卦は中孚の五で、当選することはすぐにわかった。
 

易はこういう、YES・NOがハッキリした占的には呆れるほど強いことがある。どちらでもいいやと思っていればいるほど的占率は高くなる。過剰ポテンシャルが低くなるからだ。こうあってほしいという願望がほぼ必ず入り込むので、自分で自分のことを占う独り占いこそは、実は一番むずかしい。

 

言葉は悪いが、正直にいうと、内心どうでもいいと思っている赤の他人のことの方がよくわかる。易に限らず占者なら誰しも思い当たる節があるはずだ。


中孚の五爻辞は「有孚攣如、无咎。」である。
結果はもちろん当選で昨日知らせを受けたが、「有孚(マコトアリ)」「无咎(トガナシ)」はいいとして「攣如」の意味が最後まで解らなかった。

「攣」の字は痙攣(ケイレン)のレンで、ひっぱられること。
ケイレンの場合は自分の意志とは関係なく「ひきつれて」動くこと。
小畜の五でもまったく同じ「有孚攣如」の句が見られる。小畜は「とどめられる」という意味の卦なので、後ろ髪をひかれるというか、たとえば情にひっぱられて……という感じはなんとなく解る。

「攣如」=「ひかれるがごとし」というわけだが、この占的の場合、いったい何が何にひっぱられて「つれて」動くのだろう? と首をひねってしまった。

結局わからないまま、他の当選者と一緒に(ひっぱられて)当選するって意味かな、とかなんとか、テキトーな判断ですませていたが、ふと腑に落ちることがあった。

最初の機種は壊れてしまったのでもうないが、今つかっているコレを含めて家にはすでに5台のポメラがある。どれもまだまだ使える。新しい機種が出る度に……ではないが、目についた新しいモデルは、つい買ってしまうことが多い。

つまり「攣如」の「攣」はひっぱられるというよりも、「つらなる」の方のニュアンスだったというわけだ。ほどなく新しいポメラが、仲間に「つらなるがごとく」やってくるだろう。
もっとも、すでに家にある仲間にひっぱられて、という解釈も成り立つだろうが。

収集癖もなく(たぶん)、コレクションしているつもりはこれっぽっちもないのだが、タコじゃあるまいし、マウスに至っては8個もある。マウスだって別に、集めているわけではないのだが……
残された課題は、この惨状を妻にどう説明するかである。
そこまでは易も助けてはくれなさそうだ。