節度、節約。
区切り、限界。
☆
原文卦名「節」。
この卦に出会って思い出すのは、タロットの「節制(Temperance)」のカードだ。
ウエイト版は象意が盛り沢山だが、マルセイユ版はシンプルに陰陽のバランスを前面に出しているようにみえる。
陰陽云々はどちらかというと易の領分で、節卦は、全体構成もおあつらえ向きの三陰三陽卦。
タロットの方はふたつのカップを天使が持っているが、天使自身、男(通常は陽)でも女(通常は陰)でもない。
経文の方は陰陽のバランスというより、節度そのもののバランスを説いている。
曰く「苦節不可貞」。
苦節はやりすぎの「節」のことで、やりすぎはNGである。
私事だが、惰性で習慣的に続けていた飲酒(晩酌)はやめたが、酒をやめたわけではない。その機会も少なくなったが、人と外で会うときや週末には飲んだりもする。
これを「断酒」、金輪際一滴だって飲むものか! とやってしまうと「苦節」になり、いよいよもって禁が守れなくなったときに、反動でかえって飲み過ぎたりする。法律で禁じたりすれば、たちまちブラックマーケットが立ち上がる。禁酒法は悪法のひとつにあげられることも多い。
綴りを辞書で確認していたとき知ったのだが、Temperanceには「節酒」「禁酒」の意味もある。
天使は左のカップから右のカップへ水を移しているように見えるが、実は酒なのかもしれない。
となると、左が取っておく方のカップで、右がこれから飲む方のカップ? いや、逆か。
ついつい、つまらぬことを考えてしまう。
