手放すこと。明け渡すこと。
ま、いっか。
☆
もとは「泰」卦で、「泰」の九三(下から三番目の陽爻)が、上九(一番上の陽爻)として献上された象であると観る。己の側(下卦)の陽爻を減らし、その陽爻を相手側(上卦)に送る。「泰」は安泰の象であり、できることなら、その状態を維持していたい。それを崩してまで、敵に塩を送る。
原文卦名は「損」で、「損」は減らすという意味だ。この「損」と次の卦である「益」は対概念で、六五と上九の爻辞には「益」の字が現れはじめる。塩を送られる側である。
書いたり、口先だけで言うのは簡単だが、ふつうは塩を送るなんてことは、できやしない。「損」が「損」に見えているうちはダメなのだ。早くする、一人減る、臣を得る、家をなくす……目に見える文とは裏腹に、この卦の本質は目先の損得ではなく、如何に己を虚しくすることができるか? ということにありそうだ。
