小槌の神秘 | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を
使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう!
というただそれだけのブログ……
だったんですが、
最近はまた淡々と経文に向かっております。

カミさんと映画を観に行った。
ずいぶんと久しぶりのことだ。

「銀河鉄道の父」。
なかなか良かった。
原作は読んでない。

劇中父政次郎が神保町(多分)の本屋を訪れるシーンがある。
「春と修羅」「注文の多い料理店」が山積みになっていた。

ちょうどこの頃か、この何年か後。

おそらくは映画に出てきた書店にほど近い、通神保町(*1)にある宮田紙店(*2)で帳面を買い込んで占術書を書いた人がいる。和紙製の蛇腹折りの帳面に筆で書いた。サイコロを振って回答をもらう、日常的なウラナイの本である。

何年も前に須田町にお住まいの高齢のお客さんから譲ってもらった。もらってきた他の古書と一緒にしばらく放ってあった。
占術書のタイトルは「小槌の神秘」という。


【もらった本】

このゴールデンウィークに復刻してみようと思い立った。
文フリで頒布してみたら面白いかと。

他愛ないオミクジみたいなものだと言ってしまえば、それまで。
でもよく読んでみると、オミクジとはまたちがって、味がある。

縁起物としての打ち出の小槌とその中に入っているサイコロ。
サイコロを振り出す拳は、どことなく小槌の様でもある。


【もらったサイコロ】

三冊の原書を文庫本一冊にまとめた。
巻末に解説代わりのエッセイをつけた。
ちょうどいいボリューム(70頁余)になった。

古い物を捨てる。

一見簡単なことだ。

しかし古い物を本当に切り離してしまうことなどできない。

新しい物は必ず古い物を基礎にしているからだ。

新しい物の出現により、今まで新しかった物は古い物になり、今度は新しい物を支えるという、新しい役割を担うようになる。

そうして物語は、連綿と続いていく。

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*1
現在の神保町一丁目

*2
現在のミヤタ文具店