つぐなう。
☆
経文ではおそらくは亡き親の後始末をする子の様子が描かれる。
ほころびを[繕|つくろ]うともとれるこの卦を目にしたとき、思い出すのはいつも、自分が面倒をかけた人たちのことだ。
迷惑をかけたらかけっぱなし。
そのままハイサヨナラという、不義理のカタマリのようなこの人生。
借りは返せていない。返せない。
しかしもし、巨大な「流れ」というものがひとつきりあるだけ……という姿がこの宇宙の実態だとしたら、なんらかをその「流れ」に還元することができれば、借りは返せたことになる……のかもしれない。
直接その人にでなくても。
詭弁だろうか。
いいわけだろうか。
まあたぶん両方だろう。
それでも樹は伸び続ける。
季節もめぐっていく。
