苦しいときの辞占頼み | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

占例です。

 

祖父が使っていた時計をもらいました。

 

昔の懐中時計です。

機械式、手巻きです。

ゼンマイを巻いてみると、ちゃんと動きます。

 

ずっとタンスの中にあったものなので、オーバーホールしてから使うことにしました。

風防の内側に水滴様のものも付いてるし。

 

メーカーではこんな骨董品のオーバーホールはしてくれません。

いや、してくれるかもしれないけど、スイスへ送り返してジャッジして、ゴーとなっても、そりゃ運賃、工賃で、10万、20万は……

 

とまあ、正規代理店ではそんなことをいわれました。

 

けどありがたいことに、こういうビンテージを専門にオーバーホールや修理してくれるお店もありまして、そういうお店にお願いすることにしました。

もちろん費用はそれなりにかかりますが10万、20万なんてことはない、と。

 

お願いしたのが4月の半ば過ぎで、やれやれと思っていたのですが、これが待てど暮せど音沙汰なし。

 

まあ最低でもひと月くらいはかかると聞いてはいたのですが、5月、6月……とうとう9月になってしまいました。

 

そんなに苦戦してるのかな。

まさかぶっこわしたとか。

不安にかられるとロクなことを考えません。

 

さすがにこれは、ちと電話してみよう、

いやその前に、ということで、

易に軽くお伺いをたててみました。

 

占的はこんな感じです。

 

「オーバーホールに出した時計、どうなってる?」

 

あまりいい質問ではありません。

 

アバウトすぎる。

 

占的(質問)がイイカゲンだと回答が読みづらくなります。

まあ自業自得っていうか。

作用反作用っていうか。

 

「ベストな質問ができたときにはすでにそこに答えがある」

 

っていうのは、真理なんでしょうね。

 

それはともかく、このイイカゲンな占的でもって、サイをふって出た卦が「比」の五爻変でした。

五爻変なので之卦は「坤」になります。

 

おおまかにいって周易には象占と辞占というやり方があります。

象占というのは易卦のカタチと大意から占う方法です。

辞占というのは卦爻辞という文章から占う方法です。

たいがいはそのふたつを適宜ブレンドして判断します。

 

経文を全部覚えていればハナシは別ですが、ぼくにそんな芸当はできません。

辞占をしようと思えば易経を見なければならない。

易経がいつも手元にあればいいのですが、そうでないときもある。

スマホにPDFは入っていますが、スマホのPDFビュワーってのもなんか見づらい。

 

いきおい、象占のウエイトが高くなります。

 

だいたいそれで事足りるんですが、今回はさっぱりわかりませんでした。

いや、いろんなことが頭をよぎることはよぎるのですが、占的がエーカゲンなこともあって、どれもしっくりこない。

みなさんもちょっと、以下の卦のカタチを眺めてみてください。

 

「オーバーホールに出した時計、どうなってる?」

 

の答えがでてるでしょうか。

 

   

       【水地比】

 

答えが出てきた方もいらっしゃるかもしれませんが、ぼくはサッパリでした。

 

それでまあ、しぶしぶめんどくさげに拙作の易システムハンドブックをひっぱりだす。

まあったく、手近にテキストがあってもこの有様です。

ニンゲンってのはつくづくものぐさにできてるんですね(ぼくだけかもしれませんが)。

 

で、68:水地「比」の五爻の文章を読んだら、すぐに答えがやってきました。

「比」の五爻にあったのは次のような文章です。

 

「親しむことをしめす。

三方から狩りたてるが前方に逃げる獲物は追わない。

領土の人民、警戒を解き親しむ。」

 

回答はスイングしています(と、ぼくは観ました)。

 

スイングというのは、ぼくが勝手にそう呼んでいる現象で、易が占的そのものに答えないでその周辺状況を指し示すことです。

 

どうスイングしているかというと、時計のそのもののことというより、電話をかけようとしているぼくの態度に関するアドバイスに観えたわけです。

 

まずは、親しむことを示す、狩り立てるんだけれども獲物は追わない、つまり、相手をせめるような態度はとらない、せかさない、ということ。

 

クレームはもとより、クレームにつながりかねないこういう確認は、ついつい「おれは客だぞ文句あんのか」的な、どちらかというと、あまりお品のよくないバイブレーションが発散されてしまって、よけいに事態の悪化を招くこともあるのではないか……

易はそこのところを指摘しているように観えました。

 

つぎは「領土の人民、警戒を解き親しむ」と続きます。

この「領土」が、電話しようとしている相手先の会社のように観えました。

追い込まないようにした結果、こうなりますよ、ということです。

 

なるほど、ということで、易のアドバイスに従って電話。

 

もちろん先方は平身低頭ですが、せめない、せかさない。

いえ是非じっくりやってください、確認で電話しただけです、ってな感じで。

まあ実際、急ぐ用事じゃない。

たとえ時間がかかってもちゃんとしてもらうに越したことはないわけで。

 

ランニング→調整のくりかえしで時間がかかっていたようで、実際に仕上がったてきたのは10月に入ってからでした。

 

風防もきれいになって、日差+15秒の精度で、ひと巻き40時間動きます。

オーバーホール後、半年の保証もついて、けっこうなことです。

 

こういう、ちょっとした易占……

お伺いは、気持ちを静める一息の深呼吸のようなものでもあります。

 

それではまた。